主婦A「今度パートに行こうと思うんだけど」
会社員C「いいんじゃない。でもあまり稼ぎすぎると扶養から外れちゃうよ」
主婦A「じゃあいくらまでならいいの」
会社員C「よく103万円までって言われているけど」
主婦A「103万円って聞いたことある。でもなぜ103万円なのかしら。ちょっと中途半端じゃない」
会社員C「僕もなぜかよくわからないよ。先生なら知っているはずだから聞いてみよう」
会社員C、主婦A「こんにちは、先生。今日はパートの103万円について教えてください」
先生B「なるほど、配偶者控除の件だね。配偶者控除や扶養控除の要件として、合計所得38万円以下となっているんだ」
会社員C「所得?」
先生B「所得とは、収入ではなく、「収入-経費」のことなんだ」
主婦A「パートの場合も、同じなの?」
先生B「そうだよ。ただし、パートやアルバイトなどいわゆる給与といわれる所得の経費は、収入によって決まっていて、収入161万円以下であれば、一律65万円。例えばパート収入90万円だったら、所得は25万円(=90万円-65万円)になるよ」
主婦A「じゃあ パート収入が103万円だと所得は38万円(=103万円-65万円)。なるほど、ギリギリ38万円だから配偶者控除もOKなんだ。それで103万円なのね」
先生「さらに、基礎控除があるだろう。これは誰でも38万円が控除できる。そうすると、パート収入103万円の所得は38万円。その所得38万円から基礎控除38万円を差し引くとゼロ。つまり、所得税はゼロ」
会社員C「さすが先生だ。今まで103万円がいいと聞いていたけどこんな理屈だったとは」
主婦A「私も103万円以下で働くわ」
先生B「でも注意があるよ。所得税は税金もかからず、配偶者控除も外れない絶妙な金額だけど、住民税では事情が異なるんだ」
会社員C「住民税は毎月給与から天引きされているけど」
先生B「ご主人の住民税ではなく、奥様の住民税が関係してくるんだ」
主婦A「私の住民税?いままで払っていないけど払わないといけないの?」
先生B「住民税の基礎控除は38万円ではなく、33万円なんだ。つまり、住民税では、5万円(=38万円-33万円)となって、住民税が発生する自治体もあるから」
主婦A「えー せっかく所得税もゼロで配偶者控除もはずれないようにするのに、住民税はかかるの?」
先生B「住民税のことも考えると、パート収入は103万円ではなく、99万円ということになるね」
主婦A「99万円か」
先生B「でも仮に住民税を払ったとしても103万円をもらった方がトータルの手取りは増えるよ」
主婦A「住民税を払った方が得ならそうする。なるほど103万円ってそういう意味だったんだね」
このコラムの執筆専門家
- 大黒たかのり
- (東京都 / 税理士)
- 大手町会計事務所 代表税理士
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