主婦A「今年から相続税が上がったって聞いたけど、うちはどうなの?」
会社員C「財産といえるのはこの家ぐらいしかないから大丈夫だろう」
主婦A「でも都内で一戸建てがある人は相続税間違いないって週刊誌に出てたわよ」
会社員C「えっ でも相続税払えて言われても現金もあまりないし。そもそもどれだけ相続税がかかるかわからないよな」
主婦A「こういう時はやっぱり先生に聞かないと。早速相談に行きましょう」
主婦A、会社員C「こんにちは、先生。お忙しいところすみません。今日は相続税のことで相談に来ました」
先生B「やあ いらっしゃい。最近相続税の相談がとても増えているんだ。基礎控除が下がったことが大きいかな」
主婦A「基礎控除ってなんですか」
先生B「基礎控除とは、簡単に言うと非課税枠だよ。ここまでの財産なら相続税は課さないという基準だね。この基礎控除がいきなり4割も下がったんだ。それで週刊誌等でも相続税の話題が増えているんだよ」
会社員C「相続税なんて私たち庶民には全然関係ないと思っていたよ。ところで基礎控除はいくらなんですか」
先生B「基礎控除は家族構成によって変わってくるんだ。例えば法定相続人が配偶者と子供2人で、合計3人の場合、4,800万円(=3,000万円+1,000万円×法定相続人の数)が基礎控除だよ。つまり、財産が4,800万円を超えるようだと、相続税がかかるということになるんだ」
会社員C「4,800万円か。最近は地価が上がっているから微妙だな」
主婦A「先生、相続税を払わなくてもいい方法はありませんか」
先生B「相続税には配偶者の税額軽減という制度があるんだ。配偶者が取得した財産が1億6,000万円か、法定相続分のいずれか大きい金額までは配偶者に相続税がかからないという制度だよ」
主婦A「1億6,000万円までだったら相続税はかからないのね」
会社員C「それなら全然大丈夫だよ」
主婦A「安心したわ。でも私だけが相続税がかからないけど、財産をもらった子供はかかる可能性はあるわよね」
先生B「そうなんだ。配偶者の税額軽減とは夫婦は大体同一世代が多いから、次の相続の時期も近いだろうということもあって優遇しているんだ」
会社員C「そうか、お前に財産をすべて残しても、お前が死んだら次に子供たちが相続税を払うことになるんだな。うまくできているな」
先生B「相続税対策では、最初の相続だけでなく、次の相続のことも考えて対策を考えないといけないんだ」
主婦A「複雑な計算は先生に任せるとして、とりあえず私は相続税を払わなくても済みそうね」
会社員C「相続は自分が死んだことを想定するからなんだか複雑な気持ちになるけど、今のうちに家族に安心してもらった方が気が楽かな」
先生B「縁起が悪いといってなかなかはなしづらい話題だけど、奥さんや子供たちのことを考えたら家族で一度話しておいた方がいいよ」
このコラムの執筆専門家
- 大黒たかのり
- (東京都 / 税理士)
- 大手町会計事務所 代表税理士
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