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【テーマ】
年俸制が適しているのはどのような従業員?
前回までのコラムでは、企業サイドの割増賃金負担というコスト的な観点から、一般従業員に賞与込みの年俸制を採用する積極的な効果が見出せない根拠について見てきしました。
では、いったいどのような従業員に年俸制が適しているのでしょうか? 賃金体系としての年俸制のバックグラウンドにある「成果主義賃金制度」との関連からお話しましょう。
年俸制は昨今の成果主義賃金制度への移行との結びつきからその導入を試みる企業が多く見受けられます。 その根底には、ビジネス環境のグローバリゼーションに伴う企業間競争激化に立ち向かうべく、従来の伝統的な賃金体系である「労働時間」と「給与」という相関関係を排除し、「成果」と「報酬」をリンクさせる制度(成果主義)への移行により、経営資源を効率的に配分しコスト競争力高めようとする企業戦略があります。
さらには、サービス経済化・IT化といった産業構造の変化から、いわゆるホワイトカラー労働者が増加し、従来の伝統的な工場労働を想定した給与体系が時代にマッチしなくなってきているというシステム上の限界が背景にあります。
そもそも成果主義賃金制度は
【企業】
報酬と労働時間を切り離せる → 割増賃金負担の免除 → コスト削減
【従業員】
自由で裁量の広い働き方 + 成果に見合った報酬
こうした労使双方の利害が一致してはじめて本来的な意義が出てくるわけですが、残念ながら現行の労働法制では「報酬」と「労働時間」とを完全に遮断することは困難です。(そこで現在議論が進んでいる「ホワイトカラーエグゼンプション」の話につながるわけですがこれについては別の機会に)
(次コラムに続く)