日経記事;『三菱自、米国生産撤退へ アジアに拠点集中 工場売却の方針』に関する考察 - 各種の事業再生と承継・M&A - 専門家プロファイル

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日経記事;『三菱自、米国生産撤退へ アジアに拠点集中 工場売却の方針』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月24日付の日経新聞に、『三菱自、米国生産撤退へ アジアに拠点集中 工場売却の方針』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『三菱自動車は米国の自動車生産から撤退する方針を固めた。イリノイ州にある工場での多目的スポーツ車(SUV)生産を打ち切る。今後は雇用を含めた存続を軸に、他社との売却交渉に入る見通し。

欧州とオーストラリアの生産から撤退する一方、タイ、インドネシア、フィリピンなどで生産能力を高めている。成長が見込めるアジアでの生産にシフトし、世界各地に供給する体制に移行する。

日本の自動車大手で、欧米両方から生産撤退するのは初めて。撤退に関する詳細は今後詰めるが、近く労働組合との協議に入る見通しだ。

イリノイ工場は米クライスラー(現フィアット・クライスラー・オートモービルズ)との合弁で設立し、1988年に稼働した。現在は三菱自の全額出資子会社となっている。2002年には年20万台超を生産していたが、セダンなど北米専用車の生産をすでに打ち切っており、現在はSUV「アウトランダースポーツ(日本名RVR)」のみを手掛けている。

年産能力約12万台に対し、14年の生産実績は6万4000台と世界生産全体の1割に満たない。北米での販売伸び悩みに加え、ドル高によって輸出が苦戦し、稼働率が落ち込んでいる。米国内の三菱自の販売シェアは1%未満とトヨタ自動車など他の日系大手に引き離されている。

三菱自は08年に豪州生産から撤退。12年末にはオランダの生産子会社を現地企業に売却し欧州生産から撤退した。一方でタイに戦略車「ミラージュ」を生産する工場を建設し、インドネシアで新工場建設を進めるほか、フィリピンでも米フォード・モーターから工場を買収するなど積極的に投資し、選択と集中を進めている。

三菱自は2000年代のリコール(回収・無償修理)隠し問題後の販売不振で経営が悪化したが、14年に負の遺産だった優先株の処理を終え、経営再建にめどをつけた。東南アジア3国を主要拠点に各地に輸出する「アジアモーター」として生き残る体制を整える。』


本日の記事は、三菱自動車の米国工場の閉鎖・撤退について書いています。現在の米国工場での生産規模が2014年の生産実績は6万4000台で、生産能力が12万台ですから、稼働率は約半分となります。

この生産水準では、工場は当然のごとく赤字になります。これは、三菱自の米国内でのSUV販売が伸びていないことが主要因になっています。

また、米国工場から海外に輸出しようとしても、US$高で輸出事業の価格競争力がなく採算性が悪化します。これは、以前の日本が異常な円高で直面していた輸出事業の不採算性と同じ問題です。

三菱自のSUVの競争力があれば、多少のUS$高でも価格競争力は維持できますが、残念ながらそのような状況にはなっていません。

通常、中小企業なら自社商品が海外市場で売れずに当該地域に作った工場が赤字に直面する場合、今後の販売増が見込めないならば、工場の撤退を考える必要があります。

一般的に中小企業の場合、海外工場の赤字状態は、人間の体で例えれば毒になりますので、早期に毒を体の外に出す、つまり、撤退や閉鎖などの処置を行う必要があります。

少々古い情報になりますが、「2006年度版中小企業白書」によりますと、中小製造業の 海外進出のパターンは、以下のようになります。

〔1〕製造工程のコストダウンを目的として進出するケース(現地販路開拓はせず、製品を日本に逆輸入する)
〔2〕親企業の海外進出に伴い、要請を受けて進出するケース
〔3〕親企業を含む海外進出した日系企業との取引維持・拡大を目的に自社判断で進出するケース
〔4〕現地市場での新規顧客開拓をターゲットに進出するケース

上記パターンあるいは要因で海外に工場を作った中小企業が、本白書によると数年後には4割強の会社が撤退している事実があります。

撤退の最も大きな理由は、販売不振つまり集客できないことによります。今回の三菱自と同じ状況になっています。

三菱自は大手企業ですから中小企業のように早期に撤退する必要がなく、会社全体で収益改善・拡大ができる時期まで実行することを延期していたのでしょう。

私が中小製造事業者の海外工場展開を支援するとき、常に撤退基準を設定するようアドバイスしています。

撤退基準は、会社の状況により異なります。例えば、3年以内に想定した売上目標にいかない場合、工場の赤字状態が3年以内に解消しない場合などになります。


一方、三菱自は、今後、タイ、インドネシア、フィリピンなどで集中的に工場を展開するようです。ベトナムも候補地に入る可能性があります。

ベトナムは、TPP交渉に入っており、この交渉がまとまれば、ベトナムは自国内で作った商品を米国市場に低い関税率で輸出できる可能性があります。

アセアンは、2015年に経済統合を行う計画をもっており、これが実現するとアセアン域内では関税が基本的にゼロになる可能性があります。

国内自動車メーカーにとって、米国市場は非常に重要な市場になりますので、三菱自も決してあきらめることなく、米国市場での拡販に最大限の努力を当然のごとく行うとみています。三菱自は、アセアン域内の工場から米国市場に輸出することを想定しているとみます。

中小企業も、対象市場やそこでの販売状況に合わせて、どこに工場を作れば良いのか、慎重に検討・計画して、実行することが重要になります。

以前は、海外の消費者市場に近いところで作るのが基本的なやり方の一つになっていました。今後はTPPやFTAなど、各国で結ばれている、あるいは今後結ばれようとする自由貿易協定の状況も勘案して工場建設の場所を決めることが重要であり、必要になります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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