前回は日本での住宅投資は経済的に全く採算が合わないことをお知らせしました。
住宅に投資をしても、資産が増えるのではなく減ることが判明しました。
では、住宅を購入した家計と賃貸に住んでいる家計の支出割合を家計調査の資料で確認します。
データは国土交通省平成26年住宅経済関連データから使用しています。
■持家世帯の支出
下図は全国の勤労者世帯で持ち家の家計支出の割合の推移です。
昭和51年~平成26年で非消費支出の割合は13.4%~18.9%に増えました。税よりも社会保障費(健康保険、介護保険、年金等)の負担増と税では消費税の増加です。従って収入に対する可処分所得の割合が減少しています。
住宅ローンの返済の割合が増加しています。昭和55年には4.8%で平成26年には8.8%にもなっています。それにより家計に占める資金的余力≒貯蓄等蓄財に回せるものが、昭和55の15.5%から平成26年には11.8%に減っています。前回のコラムで示しました通り、住宅投資は資産の増加という観点からはマイナス・リターンですので、世帯の財産の増加に負の状況になっています。
●持ち家比率
下図は総務省統計局の平成26年家計調査から、持家の比率です。住宅ローンを返済している世帯は2014年は37.4%で、勤労世帯の持ち家率は76%程度となっています。
■借家住まいの家計
一方借家(民営)賃貸に住む方の家計が下記です。支出総額に占める非消費支出の割合は16.9%です。固定資産税等の支出がありませんので、2㌽ほど低くなっています。但し、収入が少なければ税金等の支払いは減じます。
住居費は昭和55年の9.2%から13.7%迄上昇しています、家賃の推移は別表にて示します。
住居費を除く消費支出は平成26年では51.8%ですが資金的余力は17.6%です。
従って家計から貯蓄等に回る割合は持ち家世帯よりも高く、余裕度も高いものと推察いたします。将来に備えた資産運用に回せる部分です。
ただし、貯蓄率の高さは、住宅購入を考え頭金を準備している世帯も入っている為と考えられます。
■民営借家の家賃
下表は民営借家の家賃の推移です。関東大都市圏と近畿大都市圏では家賃が大きく異なります。香辛料などの違いもありますので単純な比較はできません。
なお、全国的に平成25年の家賃は平成20年に比べ安く為っています。
注にも記載されていますが、家賃額を居住室分(廊下や便所などの設備等は除く)で除したものです。
下表は構造別に東京圏と大阪圏の都心から~70㎞、~50㎞と離れる地帯にある民営借家の1畳賃料です。上段が非木造、下段が木造です。旧東京都庁は山手線有楽町駅が最寄り駅で現在東京国際フォーラムが建っています。距離が離れるに従い借家の世帯数が少なくなり、また家賃も大きく減じるのが分かります。世帯数が最も多いのは10㎞超20㎞の間です。
東京圏と大阪圏で借家を探される場合は、この表を参考にされると宜しいかと思います。
都心に近ければ近いほど家賃は高くなります。東京の場合10~30㎞で探されると物件が多いと思われます。
文責
FP学会会員
独立系顧問料制ファイナンシャル・アドバイザー
オフィス マイ エフ・ピー 代表 吉野 充巨場合があります
【保有資格】
ファイナンシャル・プランナー:日本FP協会認定CFP®
プライマリー プライベート バンカー:日本証券アナリスト協会認定
宅地建物取引主任者 (東京)第188140号
ロングステイ財団登録ロングステイアドバイザー&登録講師
独立系顧問料制アドバイザーとは
http://www.officemyfp.com/komonryouseiadviser.html
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