ビー玉の転がる床は問題?建物が傾くとどうなるの? - 住宅検査・測量全般 - 専門家プロファイル

堀 紳一朗
忘蹄庵一級建築士事務所 代表
東京都
一級建築士

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対象:住宅検査・測量

伊藤 裕啓
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閲覧数順 2024年04月23日更新

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ビー玉の転がる床は問題?建物が傾くとどうなるの?

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建物検査

テレビのリフォーム番組で改修前にビー玉を転がして床の傾きをアピールします。ビー玉の転がる床は全て問題ありなのでしょうか?また傾き具合はどうやって確認するのでしょうか?壁でもビー玉は転がせられるのでしょうか?

傾きは水準器や下げ振り、レーザーレベルなどの工具を使って計測します。また傾きによる不具合のレベルも品確法によって基準が示されているのでそれをもとに判断することができます。品確法では「瑕疵」の判定の目安を3段階に区分しています。

 レベル1 3/1000未満の勾配 瑕疵の可能性の存する可能性が低い

 レベル2 3/1000以上6/1000未満の勾配 瑕疵の可能性が一定程度存する可能性がある

 レベル3 6/1000以上の勾配 瑕疵の可能性の存する可能性が高い

上記にも記載している「瑕疵の可能性」について少し説明しましょう。

主要構造部の安全性に問題があれば「瑕疵」となりますが、勾配の程度は瑕疵の判定の目安にすぎません。勾配の程度は瑕疵の判定の目安であって瑕疵の有無とは別の話です。

瑕疵の可能性が高いと判定されても柱や梁などの主要構造部に瑕疵があるかは詳細を調査し、原因を究明する次のステップに進まなければ判断がつきません。

新築住宅であればレベル1までの、瑕疵の可能性の存する可能性が低い3/1000未満を一つの判断基準(許容値)と考えればよいと思います。実際の紛争処理の現場ではレベル2までの、6/1000未満が実質的な「瑕疵」の判定レベルとなっていますので、売り主が誠実に対処してくれるとすれば6/1000以上の勾配があった場合となります。

中古住宅であればレベル2までの、6/1000未満であることが一つの判断基準になります。中古住宅の既存住宅売買瑕疵保険検査基準では6/1000を採用していますので6/1000以上の勾配があれば何かあった場合の保険が適用されません。

ところで、こうした傾きはどうして生じるのでしょうか?

新築で傾きがあるとすれば、施工誤差がまず挙げられます。家を建てる際に多少の誤差は出るものです。3mm程度の誤差は普通にありえます。ただ3/1000を超える誤差は稀で施工業者にとっても施工不良と感じますので気付いた時点で修正します。

中古で傾きがあるとすれば、木造の場合、木材の収縮やクリープ現象などの経年変化により建物が歪んだりする可能性があります。問題となるのは地盤が原因で基礎が歪むなどして建物全体が床・壁ごと傾く場合です。この傾きを修整するのは容易ではありません。

最後に、建物がどれくらい傾くと健康障害につながるのでしょうか?

建物の傾きによる健康障害には個人差がありますが、ある研究では5/1000で傾斜を感じ、10/1000でめまいや頭痛が生じるという結果があります。

6/1000以上の勾配があれば建物の構造部分に瑕疵の可能性の存する可能性が高く、体でも傾斜を感じ、さらに進むと健康障害にもつながる恐れがありますので、機会があれば改修するなどの対処をしてください。

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