日経記事;『車部品中堅、海外企業に的 買収・提携先を活用』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『車部品中堅、海外企業に的 買収・提携先を活用』に関する考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月21日付の日経新聞に、『車部品中堅、海外企業に的 買収・提携先を活用 三桜工業、BMW向け新工場/リケン、ダイムラーに拡販』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日本の車部品中堅が買収・提携先を活用し、海外完成車メーカーとの取引を広げる。配管などを手掛ける三桜工業は中国に新工場を設け、独BMWに初めて納入する。エンジン部品のリケンも業務提携先と中国で合弁会社を設立し、独メーカーに売り込む。

主力取引先の日系完成車メーカーが欧米の部品会社からの調達を増やす中で、生き残りをかけて中堅各社は販路の多角化を急ぐ考えだ。

三桜工業は約6億円を投じ中国・瀋陽に樹脂部品の工場を新設する。2017年に稼働予定で、まず現地工場がある独BMWに納入。将来的には他の欧州メーカーとの取引も開拓し、5年後をメドに30億円の売り上げをめざす。

三桜は13年、BMWとのつながりが深い独部品メーカー、ガイガー社を買収。新工場ではガイガーの樹脂部品のほか、三桜のブレーキ配管を製造し納入する。これまでホンダや日産自動車向け売り上げが大きかったが、米国やメキシコでも欧州車向けの工場新設を検討し、売上高の約85%を占める日系メーカーへの依存度を引き下げていく。

リケンは4月に業務提携を拡大した独KSコルベンシュミット社と年内に中国に合弁会社を設置し、ピストンリングの生産・販売に乗り出す。

ピストンリングは日本と欧米で供給経路が異なるため、欧米メーカー向けの販売実績が伸びず、四輪車用で年25億円程度にとどまっている。KSの販路を生かし、手薄だった独フォルクスワーゲン(VW)や独ダイムラーへの納入を進めることで、20年度をメドに75億円に引き上げる。

ニフコも約30億円を投じ、16年夏完成を目指し米ジョージア州に新工場を設ける。14年に買収した独KTW社との合弁工場で、KTWの納入先であるBMW向けにドアノブや速度計回りの樹脂部品を作る。ニフコは欧米メーカー向けの売上比率を現在の14%から25%超に増やす目標を掲げており、これに弾みをつける考えだ。

日本の部品メーカーはこれまで、特定の日系完成車メーカーと資本関係を持つ系列企業が多かった。特に中堅企業は事業規模が小さく、資金力に乏しいため、海外工場の新設は納入実績のある日系メーカーの進出に追随することが大半だった。

ただ、グローバル化が進む中で、「日本車には日系部品」という構図は崩れてきた。日系企業に頼るだけでは、成長は難しい。中堅各社は欧米メーカーと取引実績がある海外企業と手を組み、新販路の開拓を進める。』


本日の記事は、国内中堅の自動車部品メーカーが、既存の国内自動車メーカーに加えて、欧米などの自動車メーカー向けの販路開拓を行うことについて書いています。

より小規模な中小部品メーカーの中には、すでに既存取引先だけでなく、海外の自動車メーカーやその一次下請けや二次下請けメーカーに対する販路開拓を行う企業も出てきています。

私も、数社の自動車部品メーカーの新規海外顧客企業の販路開拓や集客を支援しましたし、今も支援継続中のメーカーもあります。

自動車や電子電機業界では、すでに完成品メーカーによる強固な縦系列の下請け構造は、崩れているか、崩れつつあります。

典型的な例は、タイやベトナムなどの海外に、大手完成品メーカーや一次下請けや二次下請けメーカーによる進出に伴って、同地域に工場建設した中小・中堅部品メーカーが、既存取引先から継続して受注できなくなることです。

従来、日本国内で強固に存在していた各大手完成品メーカーによる縦系列のグループ企業運営は、当該完成品メーカーが海外進出するとともに、弱体化し変化してきました。

海外に工場建設した完成品メーカーは、海外の大手メーカーとの激しい競争に直面します。必然的にコスト競争力を高める必要があります。

自社系列外の部品メーカーが、同等あるいはそれ以上の機能・性能をもち、納入価格を安くして部品納入できるのであれば、当該メーカーから部品購入することは合理的です。

少々古いデータになりますが、中小企業庁が発表しました「2006年度版中小企業白書」にみる中小製造業の海外進出のパターンは、以下の通りなります。

〔1〕製造工程のコストダウンを目的として進出するケース(現地販路開拓はせず、製品を日本に逆輸入する)
〔2〕親企業の海外進出に伴い、要請を受けて進出するケース
〔3〕親企業を含む海外進出した日系企業との取引維持・拡大を目的に自社判断で進出するケース
〔4〕現地市場での新規顧客開拓をターゲットに進出するケース

白書による上記四つのパターンに関する考察は、以下のようになります。

・〔1〕のパターン:最大のメリットは安い人件費を活用した工場立地
〔1〕のリスク要因:時間の経過とともに、進出地域の経済成長に伴う人件費高騰や現地調達の遅れ→想定したコスト削減メリットが出ない。ここに中国に進出した企業が安い労働力を求めてアセアンなどの新・新興国に工場移管する理由がある。

・中堅・大企業との関係で考えると、仕事の多くが発注先の動向に左右される中小企業では、自発的な海外進出を意図するよりも、〔2〕や〔3〕のように親企業からの要請に応じる形や、あるいは自社判断で追随する形で海外進出するケースも1990年代以降多くなっている。

・〔2〕のパターン:ある程度販路の保証がある反面、親企業の動向に大きく左右されるため、親企業が撤退する局面に当たったとき、別の販路開拓ができていないと共倒れになるリスクがある。

・(上記しましたように)最近の国内における取引構造の変化もあって、世界最適調達を進める親企業が下請企業の仕事量を保証するとは限らなくなっている。

・国内市場だけでは先細りである、国内のみの生産体制ではコスト削減に限界がある、受注量の増加には海外マーケット進出しかないと判断とし、リスクを取って海外へ生産拠点を展開した企業も相当数いる。
しかし、現地での仕事の保証がない中で、最終的には中小企業自らの経営判断で進出するか否かの判断を迫られるような〔3〕のパターンが多くなっていることが実情。

・顧客開拓が進まないことや現地における競合相手との競争が大きなリスク。中小企業の海外進出は、取引先確保の見通しや現地市場の開拓必要性が増加

〔1〕から〔3〕のような目的で進出した企業も、次第にその目的の変化が生じ、現在では
人件費の上昇などのコストダウン効果の低下、あるいは取引先との関係の変化の結果〔4〕現地市場の開拓へ軸足を移す中小企業が多くなっている実態がある。


さらに、厳しい現実がデータで示されています。

・中小製造事業者が海外に工場を作ってから、7年後に事業継続している企業数は、4割強です。つまり6割弱の中小製造事業者が海外から撤退したり、廃業に追い込まれています。

撤退、あるいは廃業する最大の理由は、集客できないことによる売上不振です。海外に工場建設した中小製造事業者は、自前で販路開拓をしないと事業継続が難しい実態があります。

私が中小製造事業者の海外進出支援するときに、最も重要視していることが事前の販路開拓・集客の見極めです。

もし事前に販路開拓・集客が期待通りに見込めないときは、海外進出を中断してもらうこともあります。


この観点から、国内中小製造事業者が海外進出する前から、積極的に海外顧客の販路開拓・集客を行って、輸出事業を拡大する支援も強力に行っています。

自前で輸出事業を立ち上げた中小製造事業者は、海外顧客の要求仕様・機能や納入価格などの生の声を聞けますので、海外事業を肌で感じ、理解することが可能になります。

この経験・感触をもっていると、自前で海外に工場をもつときに販路開拓・集客をより容易に行えるようになります。

さらに、自動車業界は、その事業環境が激変しつつあります。ガソリンエンジン車からハイブリッド車・電気自動車・水素自動車への変化・移行、自動ブレーキや自動走行の実現、部品やデバイス・自動車に対するIoT化(Internet-of-Things)の対応などが挙げられます。

最新状況を見つつ、自社の強みを最大化する動きをしながら、世界市場で販路開拓・集客を行う努力をしないと、中小製造事業者は勝ち残れなくなっています。

私は、中小企業向け海外販路開拓セミナーの実施や、各企業の個別支援を強化しながら、1社でも多くの成功企業を出したいと考えています。

ジェトロ富山のご協力をいただいて、2015年5月19日(火)、2015年5月20日(水)に行いました「海外販路開拓のための海外営業力強化セミナー」は、その一つになります。

また、7月にジェトロ香川とジェトロ高知のご協力をいただいて、同様の海外販路開拓セミナーを開催する計画です。
本セミナー詳細は、近々にブログ・コラムで紹介いたします。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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