店長のための観る聴く問う講座：スタッフの仕事へのスタンスと店長のスタッフへのスタンス

「それじゃあ～今日の夕礼を始めます。まずは、ゲストのご紹介です。今日は、○○店の店長さんが見学に来られています。みんな、拍手～！みんな、分かってるわよね。ゲストがいらっしゃるからと言って、いつもと違っておしとやかにしようなんてことは思わないでね～」

と、元気な声で夕礼（夕方に行われるスタッフミーティング）の口火を切ったのは、スタッフリーダーのAさんでした。
夕礼などのミーティングは店長が仕切るものと思っていた若き店長は、目を丸くしながら唖然とした表情で、スタッフリーダーがハイテンションで仕切りつつも、参加スタッフのほぼ全員が意見を言うこの店のミーティングを見ていました。

「何かヒントになることは見つかったかい？」と出来る店長。
「あ、はい、夕礼はリーダーが仕切っているんですね。ビックリしました」
「それもひとつだね。まだまだ他にもあるよ。もっとよく見てごらん」

出来る店長は、そう言いながら若き店長に、さらに観察を続けるように促しました。

「リーダー！私は、今度のフェアについては、こうした方が良いと思うんです」
「なるほどね～それも面白いね」
「リーダー！私はチョット違う意見ですが、こういうのはどうかなと思うんです」
「あ、なるほどなあ～それすごいね～」

夕礼でのスタッフ同士のやりとりを聴いていた若き店長は、思わず出来る店長に質問をしました。
「彼女（リーダー）は、全然否定をしないんですね。さっきの意見はチョット現実離れしているように感じたのですが、それでもニコニコしながら否定をしないで受け止めているんですね」

「その通り。ミーティングはスタッフが仕切り、リーダーはスタッフの意見を否定しない。まずは、全て受け止めるのさ。そうすることで、スタッフ達は、さらに積極的に意見を言うようになるんだ。この状態が、うちの店の好調さを生んでいる基盤の部分なんだ。これは、きちんとしたスタンスを持っていないと決して出来ないことなんだよ」

出来る店長に、「きちんとしたスタンス」が及ぼす現象を見せつけられた若き店長は、眼を大きく見開きながら、出来る店長に尋ねました。

「ありがとうございます。でも、この『きちんとしたスタンス』を築き上げていくっていったいどうやればいいんでしょうか？」

出来る店長は答えました。
「僕は、彼女たちの仕事のスタンスを『仕事への真剣さ』『お客様への誠実さ』『仲間への愛情』の３つを基本に考えているんです。それを、彼女達が身につけるには、まずは、店長自身がこの5つの心構えを持っておくことが大切なんだ」

出来る店長は、小声で返答しながらノートに、5つのポイントを書き出しました。

１）「スタッフの中にやる気と能力は最初からある」と信じる！
２）スタッフに理解させる前に自分が先にスタッフを理解する
３）やる気を封印させているのは自分だと自覚する
４）1十人十色であることを理解する
５）部下の満足こそがお客様の満足につながることを信じる

若き店長は、それを自分のノートにメモしながら、こう言いました。

「これ全部・・・その通りだとは思うのですが、、、私には全然出来ていないことばかりです」
「どうしてそう思うんだい？」
「だって、部下のやる気を信じ切れていないし・・・自分のことを理解して欲しいという気持ちが強いし・・・やる気に水を差すようなことを言っているような気がするし・・・スタッフごとの違いなんて普段はあんまり考えていないし・・・部下の満足って何をやったらいいのかよくわかんないし・・・」
「わかった、じゃあ、君が真剣にこの5つの心構えに基づいた行動ができるように店長として真剣に取り組むんだったら、そのコツを教えてあげるよ」

出来る店長は、そう言いながら若き店長に、毎週2，3時間程度自店舗に来るように言いました。

では、明日からは、若き店長が、この5つの心構えを身につけるために出来る店長から受けるレッスンの様子をお話ししましょう。お楽しみに！

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