日経記事;『真相深層 製造業革命 独を追う 工場ネット連携、国内30社が新組織 業界秩序一変に危機感』考察 - 新規事業・事業拡大全般 - 専門家プロファイル

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日経記事;『真相深層 製造業革命 独を追う 工場ネット連携、国内30社が新組織 業界秩序一変に危機感』考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月17日付の日経新聞に、『真相深層製造業革命 独を追う 工場ネット連携、国内30社が新組織 業界秩序一変に危機感』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『世界中の工場をインターネットでつなぎ、製造業に革新を起こすとされるプロジェクト「インダストリー4.0」。ドイツが先行するこの動きに日本勢も対抗する。

三菱電機など約30社は18日、コンソーシアムを結成し、工場をつなぐ技術の標準化を話し合う。国際規格化も目指すという。製造業の威信をかけた競争。勝負の行方はどうか。

メルケル独首相は世界最大級の産業見本市でインドのモディ首相に「4.0」を売り込んだ(4月、ハノーバー)

系列超えつなぐ

発足するのは「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ(IVI)」。三菱電機のほか富士通、日産自動車、パナソニックなど電機、情報、機械、自動車の主要企業が参加する。

旗振り役は、製造業のIT活用を推進してきた法政大の西岡靖之教授だ。主に工場と工場、設備と設備をつなぐ通信規格やセキュリティー技術の標準化を話し合う。日本企業は従来、自社や系列内をつなぐネットワーク化を進めてきたが、今回は「系列や業種を超え、中小企業も含めてネットで連携する仕組みを築く」(西岡氏)という。

「連携する工場」とは何か。ドイツでは、大企業も中小企業も情報システムがネットでつながり、製品の受発注から部品調達、生産、配送、アフターサービスまですべての工程を同期させることを目指している。操業や在庫の無駄をなくす究極の製造業の姿だ。

しかも、膨大な情報をビッグデータ技術で分析し、人工知能(AI)で最も効率的に生産するよう指示を出す。工場は常に「会話」し合い、「少量多品種生産でもロスをなくし、大量生産と同じ効率を出せる」と4.0を推進する独シーメンス幹部は話す。日本は大量生産方式で世界の手本になったが、ドイツは今後「マスカスタマイゼーションと呼ぶ次の次元をめざす」(同)という。

IVIが意識するのもそれだ。ドイツはすでに産官学で4.0の2020年までのロードマップを打ち出し、今春には独自の通信規格やセンサー、制御機器など「専用機器」も発表した。そのほとんどがドイツ製だ。

規格を握ればビジネスへの影響力が増す。例えば4.0に参画する独フォルクスワーゲン。外資系自動車大手で最大のシェアを持つ中国で4.0対応を本格化すれば、合弁先の中国自動車メーカーや部品メーカー、金融会社も組み込まれる。日本の部品、機械メーカーなどはコストをかけて対応しなければ、取引から閉め出されかねない。

製造業立国を掲げるドイツは4.0を政府が支援し、メルケル首相自ら新興国に接近する。4月に独ハノーバーで開かれた見本市にインドのモディ首相を招待、4.0を売り込んだのは好例だ。

日本政府もようやく動き始めた。総合科学技術・イノベーション会議(議長・安倍晋三首相)は次期科学技術基本計画に、同様の技術開発に産官学で取り組む方針を盛り込む。経産省も「15年版ものづくり白書」で4分の1近いページを4.0の分析に割き、IVIも後押しする構え。「今から動かなければ、世界で優位にある日本のものづくりも逆転されかねない」(経産省幹部)

「規格より仲間」

ただ、オールジャパンにこだわりすぎると、逆に日本技術のガラパゴス化につながりかねないことは歴史が証明している。最近、4.0を進めるドイツの有力企業は製造業のネット活用を進める米国にも接近。規格作りに参加した。

「大事なのは規格争いより仲間づくり。海外の標準化団体に参加して情報を収集しつつ、技術を使ってどんなビジネスを生むかに知恵を絞るべきだ」(日立製作所幹部)との声もある。

自動車や機械大手など日本の製造業はもっか軒並み好調だ。だが4.0が普及する時代には業界秩序も変わりうる。アイデアのある中小企業や新興国のベンチャー企業が巨大企業の工場を活用して世界展開するなど、地域や規模の大小、業種の垣根を越えて勢力図が変化する可能性を秘める。

ネットを駆使する4.0は人工知能やビッグデータ技術がものをいう。自動運転やロボット技術と同様に進歩が速い。変化するのは製造の現場だけではない。ビジネスのやり方全般を見直さなければ、思わぬ落とし穴に足をとられかねない。』


本日の記事にありますインダストリー4.0は、ドイツが官民一体となって進めている大型プロジェクトです。

インダストリー4.0は、企業の工場、販売会社などの製造から販売までの全プロセスを一気通貫でインターネット接続して、販売状況に合わせながら、部材・部品・デバイス・商品製造の各過程を最適な運用方法で自動的に管理するやり方の実現と理解しています。

インダストリー4.0を実現する技術的なインフラストラクチャーは、利用可能になっています。インターネット回線、IT、センサーデバイスと応用技術、無線LANチップ、IoT、3Dプリンター、人工知能、クラウドサービスなど各要素技術やノウハウは、利用可能ですし、日々進化し続けています。

マイクロソフトが1995年にWindows95を出して以来、この20年間にインターネットやITは、世界のビジネスおよび社会の環境・インフラを大きく変革してきました。

製造事業の場合、商品企画・開発から製造までのリードタイムが圧倒的に短くなり、各商品のライフサイクルも数か月単位になるなど事業環境は、激変しています。

この影響をまともに受けた事業分野の一つが、家電です。家電商品は、かって、ソニー、パナソニック、日立、東芝などの大手国内家電メーカーが世界を席巻しました。

しかし、家電商品にソフトウエアが組み込まれ、差別化・差異化を可能にする技術やノウハウに革新をお越しにくい状況になると、各メーカーから出される商品に違いがなくなり、汎用化が一気に進みました。

この結果、家電商品の低価格が進み、大量生産でコスト削減を可能にした韓国、台湾、中国メーカーに市場を取られました。

パソコン、携帯電話、スマートフォンなどのデジタル機器にしても、家電商品と同じように汎用化が進み、国内家電メーカーは世界市場で太刀打ちできない状況になっています。

デジタル機器の場合、米国大手ITベンダーは国内家電メーカーが実現できなかったやり方で、市場を奪いました。

パソコンやスマホなどに搭載するアプリケーションソフトの充実と、使い勝手や斬新さ、購買意欲をそそるデザイン力で、アップルに代表される米大手ITベンダーは、徹底した差別化・差異化を可能にする技術・ノウハウで顧客の囲い込みに成功しています。

アナログ家電商品時代には、ソニーはテレビやビデオ機器、ウオークマンなどの商品で時代をリードしましたが、現時点では、残念ながらアップルとの間には大きな差がついています。

また、米大手ITベンダーは、商品企画・開発・デザインを差別化・差異化を可能にする源泉として自社内にて強化しつつ、製造行為を台湾メーカーなどに委託するファブレス事業を徹底して行っています。

製造委託先となる工場は、今まで労働単価の安い中国に数多く設置されていましたが、最近、労働者賃金の上昇と労働者確保の困難さから、ベトナムなどの他のアジア地域に移行しつつあります。

一方、日本はある時期まで多くの家電メーカーは、商品開発力や製造力の維持強化のため、自社グループ内で一気通貫できる垂直統合の形で事業を行ってきました。

このやり方は、国内家電メーカーが競争力をもっている間は有効でしたが、インターネット、ITがその事業基盤を短期間に破壊・変革させてしまいました。

今後、自動車産業にインターネットやITの影響が、深くかつ迅速に入り込む形になるとみています。自動ブレーキや自動走行の動きが、現時点での代表例となります。

日本は、今後、労働者人口が減少していくと共に、労働者賃金も一定水準を維持向上させる必要があります。

日本にとって製造事業は、国力の維持強化のために必要不可欠になりますので、単なるモノづくりの強化だけでなく、商品企画・開発・設計・製造までの全プロセスで、国内メーカーが徹底した差別化・差異化を可能にする技術・ノウハウをもてるようにする必要があります。


ドイツの国内状況は、日本と似ています。日本より狭い国土に人口が8千万人となっており、国内市場だけでは、経済が成り立ちません。また、石炭を除けば天然資源はほとんど輸入に依存しています。ドイツの労働者は、一般的に賃金水準が高く、長い休暇を取る習慣が定着しています。

これらのことは、ドイツの製造事業は、商品の付加価値を上げる、製造コスト圧縮を行うの両面で他国と差別化しないと勝ち残れないことを意味しています。

現在、インターネットやITでは、米国企業が先行していますが、ドイツは当該技術・ノウハウを最大限有効活用して、製造事業の競争力を高めて、世界市場で勝ち組になるための努力をしています。これがインダストリー4.0になります。

本日の記事は、三菱電機など約30社の国内企業が協力して、製造から販売までの全プロセスをインターネットでつなげて事業展開するやり方の検討を開始することについて書いています。

このやり方が有効に機能すると、市場での販売結果をもとに、部材、部品、デバイス、商品の各製造計画が自動的に最適なやり方で決めて、実行できるようになります。小規模な製造事業者でも、インターネットでつながる環境を構築できれば、必要生産量の把握が瞬時に可能になり、多層レイヤー間で情報・データが共有できれば、最適なやり方での製造が可能になります。

このようにすると、人間でしかできない特殊な加工、あるいは精密作業と組み合わせることで、多品種少量生産でも、高付加価値を維持しつつ、低コストで生産できるようになる可能性があります。

まだ、日本では、ドイツのように官民一体となったインダストリー4.0はないようですが、三菱電機などの民間企業の連携体の動きに注目していきます。

インダストリー4.0の実現過程では、国内の中小を含むITベンダーにも、産業機器組込みソフトやアプリソフトの開発・実用化で、大きな新規事業機会獲得につながるとみています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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