日経記事;『円安対応、企業動く 日本製紙、アジア輸出拡大 ホンダ、国内生産回帰』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『円安対応、企業動く 日本製紙、アジア輸出拡大 ホンダ、国内生産回帰』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月3日付の日経新聞に、『円安対応、企業動く 日本製紙、アジア輸出拡大 ホンダ、国内生産回帰』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『一時1ドル=125円まで円安が進む中で企業が対応に動き始めた。円安がコスト高につながる内需企業は危機感を強め、日本製紙はアジアへの輸出を増やし、山崎製パンは7月に製品を値上げする。

円安の長期化をにらみホンダなど国内生産の比率を高めて円安メリットを享受しようとする動きも相次ぐ。為替相場が大きく変動しても対応できる柔軟な経営体制が定着しつつある。

SMBC日興証券によると、ドルに対して1円の円安は東証1部上場企業の経常利益を0.5%押し上げる。全体ではプラスに働く円安だが、原材料や商品のコスト高につながる内需企業や非製造業では、1ドル=120円台の円安定着をにらんで収益構造の調整を進めている。

日本製紙は2016年3月期にチラシなどに使う洋紙と段ボール原紙といった板紙の輸出数量をアジアを中心に前期より2割弱増やす計画だ。

同社は紙の原燃料となる木材チップや重油をドル建てで購入しているため、1円の円安・ドル高が営業利益を年間7億円押し下げる。本来は逆風になる円安も製品の輸出が増えれば収益の押し上げにつながる。野沢徹取締役は「これからは輸出を拡大する」と話す。

電機や自動車などの製造業は円高が進行した時期に海外に生産拠点を移してきた。円安の長期化で足元は国内生産に回帰しつつある。パイオニアは日本で販売する市販用カーナビの生産をタイから国内に移す。販売台数は年約38万台で、半分程度を青森県内の工場で生産する見通しだ。

自動車でも巻き戻しの動きが広がる。ホンダは今期、メキシコや英国から主力小型車「フィット」の生産を国内に戻し、輸出比率を前期の3%から1割弱にまで上げる方針だ。日産自動車のカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)も国内生産の増加を示唆する。

即効性のある円安対策が価格の見直しだ。山崎製パンは7月に食パンや菓子パンを2年ぶりに値上げする。年初に小麦粉などの原材料コストが前期より8億円増えると予想したが、円安の加速で30億円程度まで膨らむ見通しになった。

「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは円安や原材料高を理由に15年の秋冬商品で2年連続となる値上げを決めた。円安基調が続けば来年以降も価格転嫁に踏み切る可能性がある。

ニトリホールディングスは輸入代金の支払いに使うドルを一定のレートで調達できるように設定する為替予約を進めている。16年2月期は1ドル=101円強、17年2月期も108円強で為替予約を済ませた。』


円安が静かに進んでいます。現時点で、1ドル=120円台で落ち着いています。この円安は、輸出を行うベンチャー・中小企業には、大きなメリットがあります。輸出競争力、とくに価格競争力が格段に向上していることによります。

一方、円安は、輸入品に頼っている中小企業には、確かに打撃になります。輸出事業を行っている中小製造企業にとっても、輸入している原材料費の上昇は、製造原価アップの重しになっています。

しかし、総じて私が支援している、あるいは知っている中小の製造事業者やITベンダーからは、円安に対して好ましいという反応が数多く出ています。どの企業も海外向け事業を行っていることによります。

製造事業者の場合、輸入素材や部品の価格上昇は、確かに製造原価上昇の要因になります。しかしながら、円安は、輸出品・サービスの価格競争力を飛躍的に向上させる効果があります。ほとんどの輸出企業は、円安のマイナス影響をカバーして余るある恩恵を円安から受けています。

輸出価格競争力の上昇は、韓国、台湾、中国のアジア勢との競合にプラス効果を与えています。かって、1ドル=80~90円前半の円高状況下で、国内中小企業は、アジア勢に顧客・市場を取られました。価格競争力が大幅に低下したことが大きな要因でした。

円高状況下では、数多くの中小製造事業者が倒産や廃業に直面しました。その厳しい事業環境下でしぶどく生き残ってきた中小企業も数多く存在しています。

生き残ってきた中小企業の多くは、徹底したコスト削減で何とか持ちこたえたところと、徹底した差別化・差異化を可能にする技術・商品・ノウハウをもったところになります。あるいは、両者の合わせ技になります。

これらの生き残ってきた中小企業にとって、現在の円安は恵みの雨であり、この状況を最大限に生かすことが求められています。

ある中小企業は、有利な価格競争力を生かして、差別化・差異化可能な技術に磨きをかけて、一気にアジア勢を駆逐する勢いで輸出事業を伸ばしています。

この中小企業は、異常な円高時に製造原価や固定費削減に非常に苦労しました。泣く泣く何人かのベテラン社員に辞めてもらった非常に辛い体験をもっています。その時のことを話すたびに、涙ぐんでいます。本当に辛いおもいをさせたことへの自責の念をもっています。

現在、収益の増加により、何人かの元従業員を再雇用できています。

一方、ニッチ市場で圧倒的な存在感をもっている中小企業の場合、円高はそれほど負担になっていません。

円高時には、輸出価格を上げることができたことによります。この企業は、徹底した差別化・差異化を可能にする技術・ノウハウをもっており、他社が追随できないので、オンリーワンの地位を確保しています。

この企業がすごいのは、既存技術・ノウハウに依存することなく、事業であげた収益の多くを新規開発・実用化や新規事業立上に投資していることにあります。

既存顧客によりベターな商品・サービスなどを提供することで、満足度を上げており、輸出価格を上げても顧客からクレームが出ることはありません。

また、今のような円高時には、輸出価格を下げています。この企業は、円高や円安に関係なく、円の手取り金額が一定水準で確保できるように、輸出品の価格調整メカニズムをもっています。

中小企業の中には、円安状況下で一気に事業収益を上げようとするところがあります。一般的にこのようなやり方をしている企業は、顧客から信頼されません。

円安時には適切に輸出価格を下げることは、円高時に輸出価格を上げることを可能にします。海外の顧客とは、長い信頼関係でつながっていくことが事業継続のために必要なことの一つになります。


さて、徹底した差別化・差異化を可能にする技術・商品・ノウハウをもっている中小企業にとって、この円安は新規事業立上や新規顧客獲得の上で大きなメリットがあります。価格競争力をもっていることは、競合他社に対して有利に働くことによります。

価格競争力があれば、多少売値を下げても、収益確保が可能であり、新規投資に回せる原資を社内に留保できるからです。

私の支援先企業には、今の円安状況下に満足しないで、適正な輸出価格を維持しつつ、新規開発・実用化や新規事業立上などに注力すると共に、不要なコスト削減努力を不断なく続けることの重要性をアドバイスしています。

このようにすることで、競合他社に対して差別化・差異化を可能にし、顧客との信頼関係を維持強化でき、円高になっても大きな問題を抱えないで事業継続できます。

輸出事業を行っている中小企業は、円安を恵みの雨ととらえて、足が地についた形で自社の経営基盤を継続して強化する努力が必要であり、重要なことです。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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