- 牛田 雅志
- ブレインリンク・コンサルティング株式会社
- 税理士
対象:会計・経理
どの時代にも通用するサービス・商品があります。
それは、お客様ニーズに応えた商品でしょうか?
または、お客様ウォンツに合ったサービスでしょうか?
それは、老若男女、お金持ちと庶民、地位や名誉のあるなしに関わらず喜んでいただけるものです。
今から私の三つの体験をお話しします。笑わないで聞いてください。
「大きなくるみパン」
某月某日
妻と一緒にコー○市川店に夕食の買い出しに車で出かけました。
食材を買ってから夜食用にと併設されているパン屋さんへ立ち寄りました。いつも買うスティック型の菓子パン5本をトレーに入れ、何か他にないかなと物色していたら直径30センチメートルはあるであろう大きなくるみパンがあったので、それもついでにトレーに入れました。
精算のためトレーを持ってキャッシャーに並びます。
自分の順番が来たなと思った瞬間、
「くるみパン焼きたて上がりましたーっ!」
とスタッフの声が聞こえました。そして、キャッシャーの後ろの台にその焼きたてくるみパンが置かれるではありませんか!!
私は心の中で、
「もうちょっと待ってたら焼き立てが手に入ったのに〜。残念!」
と自分の不運を嘆きました・・・。
と、その時、精算を担当していた店員さんが
「このくるみパン、焼きたてのに替えておきますね!」と言うと後ろを振り返り、トレーに置いてあったくるみパンと今出てきた焼きたてパンを取り替えてくれたんです。
「この店員さんは私の心が読めるんかいな」と驚いたと同時に、
「この店員さんはなんて気が利く人なんやろう。お店の教育がしっかりしているんやなあ。」とたいへん感心しました。
私と妻は「ありがとうございます!!!」と店員さんに答え、幸せな気分で家に帰りました。
「千葉名産のなし」
某月某日
映画を見た後に○ティー妙典店に寄りました。千葉名産と銘打った「幸水」が段ボールに山積みにされていたので、大阪の実家に残暑見舞いとして送ることにしました。
見本として段ボールが一つ開封されていて中身が見えます。中には10個程のなしが並んで詰められています。美味しそうななしです。
「すみません。このなし宅急便で大阪に送れますか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「じゃあ、この段ボールひとつお願いします」
と山積みの梱包された段ボールの一つを指さしてお願いしました。私は心の中では、
「悪いなしが入ってたらいややなぁ〜。でも段ボールに梱包されてるし中身見えへんからなぁ〜」
と少し不安でしたがあきらめていました。
と、その時、目の前にいる店員さんが「バリバリバリッ」と音を立て、その段ボールの箱をこじ開けるではありませんか!そして、
「お客さん、この中に入っているなし全部見ますからね。悪いのがあったらすべて取り替えておきますから」
と言ってなしを一個づつ手にとって品定めをし始めました。
私は、
「すごい!この店員さんは私の心の中が見えるんかいな」と驚くと同時に
「なんて気配りのできる店員さんなんや。お店の教育がしっかりしてるんやなあ」とたいそう感心しました。
私は、梱包作業を最後まで見るまでもなく、気持ち良く精算をすませて家に帰りました。
「特典付きエコカード」
私が帰るなり妻が「ちょっと聞いてちょうだいよ」と夕食作りの手を止めて教えてくれた話です。
某月某日
市川市が主体となり、買い物袋を持参してなるべくビニール袋をもらわないようにしましょうというエコ運動がありました。
この運動に協賛していた○友行徳店は、買い物袋持参で買い物1回につき、1個スタンプがもらえるというエコカードを発行していました。数十個貯まるとゴミ袋がもらえるという特典があります。
このエコ運動がこの日で終了するというまさにその日に妻は買い物に行き用事をすませてからキャッシャーに向かいました。
妻・・・・「袋なしでいいですよ」
店員さん・「ありがとうございます。エコカードお持ちですか?」
妻・・・・「はい、これでお願いします」
店員さん・「お客さん、今日でエコカード終了って知ってますか?」
妻・・・・「え、え?そうなの?」
妻は心の中で、「あと数個でスタンプが全部貯まったのに〜」と悔しがりました。
と、その時、店員さんは
「お客さん、あと残り数個なので全部スタンプ押しておきますよ!」と言って残り全部のスタンプを「ポンポンポン」と押してくれたそうです。
妻は「え〜、この店員さんは私の心の中が分かるの?」と大感激です。
その後も、次々と来るお客様に対してこの店員さんは「残りのスタンプ全部押しておきますよ」と声をかけていたそうです。
妻は私に「なんて気配りのできる店なのかしら、私ホントに感心したわ」と嬉しそうに満面の笑みを浮かべながら話してくれました。
さて、本題です。
21世紀にも通じるサービス・商品とは何か。
大きなくるみパン?
千葉名産の幸水?
ごみ袋付きエコカード?
この三つのサービス・商品自体は平凡で特徴はありません。でも、買った本人(私と妻)はいたく感動し嬉しく思っています。
この感動は、
「相手に気持ちよくなって欲しいと願う、心のこもったサービス」
を受けたことによって生まれました。
「甘いなあ牛田さん。そんなちっぽけなことで、何感心しとんねん」
「そんなもん、その会社のマニュアルに書いてあるねんでえ、だまされたらアカン」
などと決め付け失笑したあなたは、お客様のことを何でも知っているサービスの神様かお客様に対して偽善的にしか対応できていない経営者のどちらかです(前者であることを期待しますが)。
このサービスは、お客様が喜ぶことをトコトン考え、それを誰もが納得し行動できる仕組みまで落とし込むことができた会社が提供できる至高のサービスです。一朝一夕でなせるサービスではなく、経営者のお客様への思いが具現化した尊いサービスです。
商売繁盛マーケティングでは、
『お客様にいかに喜んでもらえるか』
『お客様に喜んでもらえるためには何をすれば良いのか』''
を常に考えて行動します。
「どうお客様に売るか」
「どうしたらお客様に買ってもらえるか」ということより先に考えなくてはならない根本の商売繁盛マインドです。
この商売繁盛マインドが欠落すると、知らない間にお客様を「もの」や「かず」としてカウントしてしまいます。
お客様が一番嬉しく思ってくれるのは、自分のことを親身に考えてくれているという「気持ち」です。
このお客様に対するマインドがあってはじめて、具体的な商品やサービスが成り立つのです。
お客様の喜んでいる姿が目に浮かびますか?
お客様の息づかいを感じることができますか?
お客様に自分達のサービス・商品を他の誰かに伝えざるを得ない程の感動を与えましょう。
商売人にとってお客様に喜んでもらえることは、至福の喜びです。
その喜びを分かち合うために、お客様のことを私と一緒に考えましょう。