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シニアの資産運用 日本のETF(上場投信)マーケットで買えるものは少ない

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資産運用の原則 資産配分(アセットアロケーション)

前回は拡大しているETF(上場投資信託)の歴史と拡大要因について述べました。今回は日本のETFの現状を説明いたします。

■日本のETFの現状
日本で取引量の多いのは、投機的な銘柄で、長期保有商品は少ないのが現況です。

東証ETFスクエアの記載内容を確認しますと、2015年3月末時点で、世界有数(アジア№1)の東京証券取引所に上場しているETFは3月末時点で180本という少なさで、ETFと同じように取引できるETN29本と合わせても、209本しかありません。
一方、米国市場には2015年4月現在1600本を超えるETFが存在し、債券を対象とするETFも260本上場されています。

■東証ETFは1銘柄が売買高の約7割を歪な市場
東証の2014年3月の月間売買高は過去最高の約5兆5,000億円と発表されています。
売買代金を確認すると、2015年3月の月間売買代金は5,454,449,244,062円⇒約5兆5000億円 1日平均売買代金247,929,511,094円⇒約2480億円です。
この売買高はETFの売買高としてアジアでトップです。

ところが内容を確認しますと、東証のETF売買に占めるのは、投機向け商品ともいえる、レバレッジ型とインバース型の銘柄で、特に売買高1位の(1570)NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信が3,830,954,955千円⇒約3兆8300億円で1銘柄で売買高の約70.23%を占めています。

2位もインバース型の(1357)NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信で売買高は298,829,346千円売買代金全体の5.47%を占め、1.2位で売買残高の4分の3を占めています。

3位にようやく(1321)日経225連動型上場投資信託が、売買金額243,945,156千円全体の4.47% が出現します。

3月の売買代金トップ20の内9銘柄がレバレッジ型、インバース型で、売買高合計は4,617,248,065千円となり、全体の84.65%を占めるに至っています。
長くETFを見続けている著者にとって、「異常な市場」と感じています。

○レバレッジ型とは
対象とする指数が5%上昇した際にETFは10%の上昇、指数が10%下がった際には20%下がるというように、指数の変動に倍数を乗じた指数に連動するETFです。
○インバース型とは
対象とする指数と逆の動きになる様に設定した指数に連動するETFで、日経平均225が10%上昇した場合に、この指数は10%下落することに為ります。
レバレッジ型もインバース型も、原指数が元に戻った場合、複利効果の影響で同じように元本に戻り、価格が損得ゼロとはなりません。従って長期保有には向かず、値動きに合わせた短期売買を前提としたETFです。

例えば、レバレッジ型の(1570)NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信の売買高は、これだけ大きな売買高でも、時価総額は1,613億2,620万円しかありません。ちなみに3位の通常の指数連動型(1321)日経225連動型上場投資信託は、売買高はレバレッジ型の約6.36%しかありませんが、時価評価額は2兆8,449億1,293万円と17.63倍になっています。(時価評価額は両ETFともに5月8日現在)

この状態は、シニアの資産運用で長期投資を勧める著者にとっては日本市場の歪と捉えています。

■米国市場の例
ETF先進国の米国で、最初に上場されて有名な銘柄は
S&P500指数に連動するETFのSPDR S&P 500 ETF (SPY)です。
この銘柄の売買高は、3ヶ月平均で106,459,000口、4月30日の資産残高は173.94Billionドル(日本円120円換算として約20兆8,728億円)です。

一方ブル型のDirexion Daily S&P500 Bull 3X ETF(SPXL)の3ヶ月平均売買高は1,063,710口で資産残高は517.34Mドル(120円換算で約620億8,080万円)です。
日本とは逆に通常型のETFの売買量が大きい傾向となっています。資産額はSPYに対して僅か0.3%にしかなりません。

なお、NYダウに連動するSPDR Dow Jones Industrial Average ETF (DIA)の資産残高は
11.51Billionドル(120円換算で約1兆3,812億円)

ピムコの債券ファンドを抜いて、世界1位の債券ファンドになった、バンガードの
Vanguard Total Bond Market ETF (BND)の資産残高は 
144.62Billionドル(日本円120円換算値は約17兆3,544億円)です。

日本円で1兆円超のファンドが複数ある米国のETFマーケットの巨大さが分かる数字です。
上記米国各銘柄の指標は2015.05.08終値をYAHOOファイナンスで調べています。

■日本のETFで重要な注意点
このように日本は歪な市場ですので、一般投資家として、日本市場でETFを購入する際には注意が必要です。
それは、売買高が少ない銘柄を購入するリスクです。
指数に連動することを目指すETFには、トラッキング・エラーが発生します。

トラッキング・エラーとはアクティブ運用、又はパッシブ(インデックス)運用に於いて、
ポートフォリオのベンチマークからの乖離度合いを測るリスク尺度です。 
アクティブ運用の場合は、どれだけベンチマークよりも成果が高いかを目指しているので、上回ることは問題になりませんが、パッシブ(インデックス)運用の場合は、インデックスの動きに連動することを目指していますので、乖離が少なければ少ないほど良いファンドとなります。

ETFの取引量が少ない場合、指数との連動性が保てない為、大きなトラッキング・エラーが発生することに為ります。
売買の際に、買えるであろう価格、売れるであろう価格で、取引出来ないことは致命的です。

また、取引量が少ない場合には、ご自身が買う量によって指数の騰落が発生してしまいます。
個人投資家が買う量は少ないのですが、それでも価格が動いてしまいます。

例えば、小型株を対象とした指数への連動を目指すETFは1銘柄で4月の1日当たり売買口数平均は119.3口で、
5月も1日466口、7日159口、8日6口、11日143口です。
この間の価格は17,390円~17,700円でしたので、10口175,000円程度なら成り行きでも購入できますが、
500,000円程度投資しようとすると、成り行きではいくらになるのか価分からないので、買い注文が入れられません。
また、売却の際にも指値で少量ずつ売るより致し方なくなります。

■日本市場でETFによる海外投資を行うのは疑問
また、海外への資産配分を考える場合、世界の新興国に資産配分しようとすると
MSCIエマージング指数に連動を目指したETFが2銘柄あります。
Aファンドの4月の売買高/日は1,620口~15,190口、価格は1,460円~1570円でした。
Bファンドは売買高/日は138口~3,935口で価格は5,810円~6,350円でした。
この量ではトラッキング・エラーや売買価格の点でシニアの個人投資家にお勧めできないと考えています。

上記MSCIエマージング指数に連動する米国のETF、 iShares MSCI Emerging Markets (EEM)3ヶ月アベレージで48,721,500口(2015.5.11終値ベースYAHOOファイナンス)です。
圧倒的に売買高の単位が変わります。
日本市場=東京証券取引所でETFを購入する際には、
まずは売買高を確認してから、その銘柄の購入可否を判断ください。同一の指数への連動を目指すETFが複数ある際には、MUSTで売買高と信託報酬を比較ください。

下表は東証ETFレポート2015年3月版に記載されている銘柄ランキング売買代金上位20の中から日本株指標に連動するものを抜粋しました。9本でした。
この9本であれば、トラッキング・エラーや売買の場面で不都合を感じることは無いと考えています。

150512東証ETF日本株指標連動ETFよ本

注.トラッキング・エラーとは
通常はポートフォリオ(この場合当該ETF)のリターンとベンチマーク(連動を目指す指数)のリターンの差異の年率標準偏差で測定します。 
例えば、トラッキング・エラーが0.5%という場合、ポートフォリオのリターンとベンチマーク・リターンの差異の分布が正規分布に従うとすれば、ETFのリターンが指数のリターンに対して±0.5%の範囲内で推移する確率は約68%(統計学上、1標準偏差=リスクに収まる確率)と推計されます。

上記資料は、東京証券取引所月刊ETN・ETNレポート2015年3月版、4月版
米国のYAHOOファイナンスに掲載されていた数値を使用しています。
文責
FP学会会員
独立系顧問料制ファイナンシャル・アドバイザー
オフィス マイ エフ・ピー 代表 吉野 充巨

【保有資格】
ファイナンシャル・プランナー:日本FP協会認定CFP®
プライマリー プライベート バンカー:日本証券アナリスト協会認定
宅地建物取引主任者 (東京)第188140号
ロングステイ財団登録ロングステイアドバイザー&登録講師

独立系顧問料制アドバイザーとは
http://www.officemyfp.com/komonryouseiadviser.html

『このコラム又は回答は、投資判断の参考となります情報の提供を目的としたものであり、有価証券の取引その他の取引の勧誘を目的としたものではありません。
投資による損益はすべて読者・ご相談者ご自身に帰属いたします。
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