日経記事;『トヨタ・マツダ包括提携 燃料電池車・低燃費技術で 部品共同調達も』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『トヨタ・マツダ包括提携 燃料電池車・低燃費技術で 部品共同調達も』に関する考察

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皆様、

こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月9日付の日経新聞に、『トヨタ・マツダ包括提携 燃料電池車・低燃費技術で 部品共同調達も』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『トヨタ自動車とマツダは環境技術で包括提携することで最終調整に入った。トヨタは燃料電池車(FCV)などの技術を供与し、マツダはガソリンやディーゼルエンジンで独自の高出力・低燃費技術を提供する方向だ。

環境技術に加え、商用車の共同開発や部品調達での協力も検討する。自動車業界では環境規制が厳しさを増し、新興国における競争も激しい。環境技術を軸に世界の自動車大手が勝ち残りに向けた合従連衡を加速する。

近く大筋合意する方向で協議を進めている。マツダは2010年、トヨタからハイブリッド車(HV)技術の提供を受けることを決め、12年にはメキシコ工場から小型車を供給することで合意した。こうした協力が一定の成果を上げていることから、トヨタとの関係を深める方針を固めた。

具体的にはトヨタがHVに加え、家庭の電源で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)やFCVの技術を提供する方向だ。環境規制が厳しい米カリフォルニア州は18年、自動車メーカーに電気自動車(EV)やFCVの販売数量を増やすことを求める計画だ。

中国など新興国も規制を強化する方向。EV関連技術で後れを取るマツダはトヨタとの連携強化で厳しくなる環境規制への対応にメドをつける。

一方、マツダはトヨタに、独自の環境技術で評価を得ている「スカイアクティブ」などを供与することを検討する。

トヨタは他社に先行したHVやFCVに加えてスカイアクティブも取り込んで、低燃費のガソリン・ディーゼル車の品ぞろえを増やす。トヨタグループからの商用車の調達や、部品の共同調達など、コスト削減などで効果がある分野の提携も検討する。

マツダは1979年に米自動車大手のフォード・モーターと提携し、一時はフォードがマツダへの出資比率を33.4%まで引き上げた。その後、フォードは自社の経営悪化を受けて出資比率を2.1%まで下げており、業務面での結びつきも薄れていた。

マツダはトヨタとの連携を通じて巨額の開発負担がのしかかるFCVなど次世代環境車の技術を吸収する一方、得意の中小型車やスポーツ車に経営資源を集中し、世界的な競争激化を乗り切りたい考えだ。

世界の自動車業界では98年に独ダイムラーが米クライスラー(当時)を事実上買収し、提携先の経営権を握る形での再編が相次いだ。日本でも日産自動車と仏ルノーが提携し、三菱自動車がダイムラークライスラー傘下に入った。ただ、こうした提携の多くは企業文化の違いなどが壁となり、成功事例は日産・ルノー連合など数少ない。

その後に増えてきたのは、環境など分野ごとの「部分連携」で、ここ数年でもトヨタが独BMW、ホンダが米ゼネラル・モーターズ(GM)とFCVなどの環境技術でそれぞれ提携した。

規模に劣るマツダは「当社が持ち得ない技術など足りない部分は幅広いアライアンスで補う」(小飼雅道社長)としており、世界的に環境技術で先行するトヨタと組むことで生き残りを目指す。


国内自動車メーカーの連携・協業については、たびたび本ブログ・コラムで取り上げています。これは、国内自動車メーカーの合従連衡が基本的には巧みに行われていますので、中小企業が他社との連携・協業を行うときに大変良い参考事例になることによります。

かって、欧米の主要自動車メーカーは、世界戦略と称して、米国と欧州の両大国をまたぐ巨大企業を作るため、M&A(企業買収)を活発に行いました。

それらの動きの一例として本日の記事にありますように、独ダイムラー・ベンツが1998年にクライスラーを買収して、ダイムラークライスラー・AGが誕生しました。

このダイムラーベンツによる買収は失敗しました。イラク戦争後の深刻な原油高の影響で当時クライスラーが得意とした中・大型車の販売が極端に落ち込みました。

また、ドイツ人がアメリカの会社を支配してマネージメントする際に、新会社内でさまざまな問題が発生したようです。

社内でコミュニケーションが上手く取れず、アメリカ市場での業績回復を実現できませんでした。
M&A後の、大きな課題である「組織融合」が上手く行かなかった印象をもっています。

結局、ダイムラーベンツは、2007年に新会社の株式の80.1%を55億ユーロ(約9000億円)でアメリカの投資会社サーベラス・キャピタル・マネジメントに売却しました。

その後、クライスラーは2009年に倒産し、伊フィアットがクライスラーを買収しました。

M&Aは、新規事業の立上、既存事業の強化などを短期間に行う上で、大変有効なやり方です。私も、中小製造事業者やITベンダーが事業拡大などを行うときに、必要に応じてM&Aの実行支援をときどき行っています。

しかし、私はいつでも支援先企業の要請に応じてM&Aサポートを行いません。M&Aは、実行する上で幾つかの課題があることと、最も重要であり難しいのが買収後の「組織融合」であることを経験を通じて知っていることによります。

私もM&Aの当事者として、買収過程のさまざまな交渉、契約締結、デューデリジェンス(買収前の詳細な査定・調査)、組織融合などを経験しています。

M&Aを上手く行い、果実を獲得するには、買収する企業側に、知力、胆力、組織力などの総合的な実力がないと絶対に上手くいきません。

そこで、M&A実施の支援要請があると、まず、依頼先企業の事業環境、経営者の資質、組織体制、経営幹部や中間管理職などをみます。

買収後の組織融合ができるかどうか判断して、支援要請を受けるかどうか決めます。

組織融合する実力をもっていないと判断すると、断ります。代わりに、他社との連携・協業を代替策として提案します。

私の経験によりますと、他社との連携・協業を上手く行えない企業は、M&Aを実施しても、組織融合に失敗する場合が多いことによります。

この連携・協業を上手く行う上で大いに参考になるのが、国内自動車メーカーの合従連衡です。
国内自動車メーカーだけでなく、欧米の主要企業は、合従連衡、つまり連携・協業を積極的に行っています。

上記しましたように、欧米をまたぐ大きなM&Aの多くが失敗したことによります。その点、連携・協業は、M&Aよりはるかに難易度が低いため、失敗しても損失リスクが低くなります。

M&Aは結婚、連携・協業は恋人同士の付き合いか同棲に例えています。

連携・協業を行うのは、相手先とお互いに「Win/Win」の関係が構築できるときに限ります。「あなたもハッピー、私もハッピー」であり、お互いにメリットがあるときに成立します。

逆に言いますと、どちらかもしくは双方がメリットを感じなければ、連携・協業は直ちに会場します。この使いやすさと柔軟さが、連携・協業の大きな特徴であり、価値です。

もっと言いますと、M&Aを行わなくても、多くの場合、同等もしくはそれ以上の果実(成果)を連携・協業を巧みに行うことで担保できます。

最近の私の支援実績は、連携・協業の方がM&Aより多くなっています。

本日の記事にあります例では、マツダは次世代環境対応車の柱の一つとなる、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)の開発・実用化ノウハウや関連装置を入手できます。

一方、トヨタは、マツダが得意とする低燃費のガソリン・ディーゼル車関連ノウハウと装置を入手できます。

世界の潮流は、間違いなくCO2排出量の大幅削減に向かっていきますので、非ガソリン・ディーゼル車は需要減少になります。

マツダは次世代環境対応車を自力で開発・実用化する力をもっていません。

また、短期的には欧州やアジア市場で、まだまだガソリン・ディーゼル車の需要は高いものがあります。HV、EVやFCVの価格が高いことや、導入インフラ整備が進んでいないことによります。

トヨタは自社開発・実用化せずに、マツダから優秀なガソリン・ディーゼル車ノウハウを受けることができますので、短期的な需要にマッチした自動車販売ができます。

このように、今回の連携・協業は、トヨタとマツダの双方に大きなメリットがあります。連携・協業に企業間の規模の大小は問題になりません。

要は、お互いに提供しあう技術、装置、商品、ノウハウなどにどれだけの付加価値があるかによります。

トヨタとマツダの関係が、中小企業が連携・協業を考えるときの良い参考事例の一つになると考えていますので、今後とも両社の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


 

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