日経記事;『海外子会社,収益6.5兆円 投資で稼ぐ鮮明 昨年最高更新,2年で7割増 ASEANけん引 』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;『海外子会社,収益6.5兆円 投資で稼ぐ鮮明 昨年最高更新,2年で7割増 ASEANけん引 』に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. 海外展開
経営コンサルタントの活動 海外展開支援

皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月6日付の日経新聞に、『海外子会社,収益6.5兆円 投資で稼ぐ鮮明 昨年最高更新,2年で7割増 ASEANけん引 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
「日本企業の海外子会社の収益が急拡大し、2014年は6.5兆円と過去最高を更新した。域内の貿易や米国向け輸出が伸びた東南アジア諸国連合(ASEAN)からの収益がけん引した

。輸出と比べた割合も高まり「直接投資で稼ぐ」傾向が強まってきた。企業が海外からの収益を国内に戻し、設備投資や雇用を増やすかどうかが今後の国内景気の焦点となる。

財務省の国際収支によると、海外現地法人からの配当・利子と現法の内部留保額を合わせた直接投資収益は14年に6兆5477億円だった。1ドル=80円を超す円高だった12年と比べると7割近くも増えた。四半期ベースを合算した14年の全産業の経常利益(79兆円)の8%に相当する。

地域別で大幅に伸びたのは、日本からの直接投資残高の12~13%を占めるASEANだ。14年1~9月は前年同期比53%増加した。貿易自由化に積極的で、タイなど6カ国に続き、ミャンマーを含む4カ国も今年末までに原則関税をなくす方針。日中韓やオーストラリア、インドとも自由貿易協定(FTA)網を築く。

この立地競争力を生かそうと、日本の製造業がASEAN域内に工場を建設し、ASEANの海外現法からの輸出が増えた。タイ大手銀のアユタヤ銀行を傘下に収めた三菱東京UFJ銀行など非製造業の進出も収益を押し上げた

。一方、中国からの収益は6%増にとどまった。中国向け直接投資残高は全体の10%を占めるが、中国の景気減速の影響が出たもようだ。

14年の直接投資収益は日本の輸出総額に対して9%に達し、比率は2000年代半ばの4%台から倍増した。日本企業が国内の輸出拠点をASEANなど海外に移して、そこから米国や中国に供給する「第三国向け輸出」が広がったためだ。日本からの輸出だけでなく直接投資も通じて海外の成長を取り込む形となりつつある。

企業が海外現法の利益を配当金などで日本に戻す動きも増えた。14年の国内還流分は4兆2615億円と、直接投資収益の65%を占めた。比率はリーマン・ショック後に本社での資金管理を強めた09年(72%)以来5年ぶりの高さとなった。

目立つのは自動車産業だ。三菱自動車はタイの連結子会社から配当金を受け取った。大和総研の熊谷亮丸氏は「円安基調が2~3年続くと、国内で設備投資が出始める。配当金などの増加はそうした資金の流れとも読める」と指摘する。企業が国内に戻したお金を安定的に設備投資などに回すには「企業の国内経済への期待成長率を高める規制緩和など成長戦略が不可欠だ」(熊谷氏)。

一方、日本への資金還流は一時的な動きとの見方もある。クレディ・スイス証券の白川浩道氏は「大幅な円安のうちに海外資金を円に戻しておき、円高局面など時期をみて、海外でのM&A資金に充てる」と読む。上場企業の今期の対ドルの想定為替レートは1ドル=115円に集中する。円相場が足元の120円前後で推移すれば、海外からの資金還流が続く可能性もある。』


本日の記事で注目することは、日系企業がASEANに今まで継続的に投資してきたことが、海外子会社の収益拡大が加速して、経営数字に大きく表れ始めたことです。

今まで一般的に、国内企業は、少子化で人口減少が進み国内市場が縮小するので、海外とくにASEANに投資して域内外の需要を取り込まないと事業拡大を実現できないと言われてきました。

ASEAN域内の子会社の収益が大幅に伸びたことは、今まで継続的に行ってきた投資が果実を生み始めていることを示しています。

日系企業がASEAN内で信頼されている主な理由は、下記の通りです。

・いったん投資を決断し会社や工場を設立したら、よほどの理由がない限り、会社や工場の閉鎖や人員解雇を行わない。
・従業員を長期に雇用して、教育訓練をきちんと行う。
・福利厚生設備が充実している。
・長期的には、現地従業員も管理職になれる可能性がある。など

工場投資・建設の観点からみますと、電気・電子機器や自動車などの業界が、長期間タイに投資してきました。

その結果、バンコク周辺の工業団地では、上記業界関連では、日本と同じような下請企業が集まって、大きな産業集積が実現しています。

日系企業による長期的な投資継続の結果、タイでは失業率がほとんどゼロの水準になっています。このことは、タイの中間所得層である15歳から64歳までの生産年齢人口層の所得水準を大きく引き上げました。

現在のタイは、投資対象国だけでなく消費者市場としての魅力をもっています。ここ2~3年の間に、タイから日本への観光客数が著しく増加していることは、タイ人の豊かさを示しています。

第2のタイを目指して、積極的に投資受け入れを行っているのが、インドネシア、ベトナム、フィリピンです。共に大きな人口をもっており、人口も増えています。これらの国々は、日系企業がタイで継続的に投資してきたことをみています。

さらに、日系企業に対して上記しました信頼感をもっています。このことは、一般的に日系企業が投資することに対して、ASEANが積極的に受け入れることになります。


また、ASEANは2015年末までに経済統合を行う計画をもっており、実現しますと域内の関税は基本的に撤廃されます。

これは、ASEAN域内どこで生産しても、物流コストを除けば、どこでも同じ条件下で売れることを意味しています。たとえば、ベトナムで作った商品をタイで関税ゼロで売れることになります。

ASEAN域内の国が、日本、アメリカ、欧州、中国、韓国などと自由貿易協定(FTA)を結んでいますので、このことも域外との貿易促進に貢献します。

さらに、ASEAN域内のシンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイがTPPに参加表明していますので、成立後、TPP加盟国での貿易拡大も期待されます。

このように、さまざまな理由や事業環境から、日系企業が事業拡大するために、ASEANに投資して、販売会社や工場などの子会社設立する動きは、継続するとみています。


しかし、これからASEANに新規投資する国内企業は、より慎重に市場、競合、投資条件、規制などの面から十分な情報収集と分析を行って、投資先、投資方法、販路開拓などを見極めることが重要になります。

しょうしょうきつい言い方になりますが、まだ投資していない中小企業は、取引先からの依頼や他社の動きなどから、安易に(付和雷同的に)投資の決定と実行を行わないようにすることが必要です。

今までの相談、あるいは支援案件の中に、工場を作ったが集客できないなどの深刻なものもありました。

確かに、ASEAN域内の需要を取込むことは、事業拡大に貢献する可能性はありますが、自社の状況を冷静に見つめて、上記するように徹底的な事前準備と入念な実行計画作成が必要です。

これらの基本的なことの実行なしに、ASEANへの投資は成功しません。

たとえば、いきなり投資しないで、ASEAN域内の販路開拓を行って、輸出事業を行いながら当該市場の特徴や競合状況などを確認したあとに、子会社となる販売会社や工場建設を行った方が失敗リスクを低く抑えることができます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営コンサルタントの活動」のコラム