税法における住所ってドコですか?(5武富士事件3) - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

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税法における住所ってドコですか?(5武富士事件3)

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発表 実務に役立つ判例紹介
武富士事件は地裁判決において、(4)に書いたように判断理由で
納税者勝訴判決が下りましたが、高裁では一転して原告の住所が
国内にあるものとした税務署の処分が適法であるとして、
逆転敗訴しました。現在最高裁に上告中です。

今日は、逆転敗訴になってしまった高裁判決を紹介しましょう。
TAINSではイニシャルが地裁と高裁が異なりますので、
ここでは、地裁に統一しています。
また、原告が被控訴人、被告が控訴人になります。

東京高裁平成20年1月23日判決(TAINSコードZ888-1305)は、
事実認定について殆ど地裁と同様の内容の引用判決となっている。

高裁の判断内容は以下の通り。

(1)住所の認定について
地裁と同様

(2)租税回避の目的
被控訴人は、平成11年10月ころ、S会計士から本件贈与の実行に関する
具体的な説明を受け、本件贈与後、定期的に国別滞在日数を集計した
一覧表を作成してもらったり、S会計士から香港に戻るよう指導されるなど
していたのであるから、本件贈与以前から、香港に居住していれば多額の
贈与税を課されないことを認識し、本件贈与の日以後の国内滞在日数が
多すぎないように注意を払い、滞在日数を調整していたものと認められる。
さらに、上記事実に、(1)贈与者が所有する財産を国外に移転し、更に
受贈者の住所を国外に移転させた後に贈与を実行することによって、
我が国の贈与税の負担を回避する方法が、被控訴人が香港に出国する
相当以前から、いわゆる節税方法として一般に紹介されていたこと、
(2)亡Bは、平成9年2月ころ、J弁護士から上記の贈与税回避方法について
一般的な説明を受けていたこと、(3)香港子会社の設立及び被控訴人の
代表者就任は、亡Bの提案によるものであったこと、(4)被控訴人は
亡Bの実子であり、平成5年11月の贈与につき多額の贈与税を負担した
ことがあったこと、(5)被控訴人は、平成9年5月8日、亡B、J弁護士などを
交えた会合に出席したこと、(6)被控訴人は本件贈与契約の当事者であり、
かつ、上記の方法による贈与税回避の利益を直接に受ける本人であることを
総合すれば、被控訴人は、平成9年6月29日に香港に出国した際においても、
贈与の実行の時期や贈与税の負担回避の具体的方法の詳細は別として、
香港に居住すれば将来贈与を受けた際に贈与税の負担を回避できること
及び上記の方法による贈与税回避を可能にする状況を整えるために香港に
出国するものであることを認識し、出国後は、本件滞在期間を通じて、
本件贈与の日以後の国内滞在日数が多すぎないように注意を払い、
滞在日数を調整していたものと認めるのが相当である。

(3)被控訴人の生活場所について
本件滞在期間中の日本滞在日数の割合は、26.2%であり、これは4日に1日
以上の割合を占める。本件自宅の被控訴人の居室は、被控訴人が平成9年
6月29日に香港に出国した後も、家財道具等を含めて出国前のままの
状態で維持され、被控訴人が帰宅すれば、従前と同様にそのまま使用する
ことができる状況にあった。被控訴人は、日本滞在中は、本件自宅で
起居し、特別な用事がない限り、朝夕の食事は本件自宅でとり、毎朝、
本件自宅からB社に出勤し、毎夕本件自宅に帰宅するなど、被控訴人が
香港に出国する前と同様の状態で本件自宅で生活していた。

他方、被控訴人は、本件滞在期間中の65.8%の日数、香港に滞在し、
その間、本件香港自宅で起居していた。したがって、本件滞在期間の
約3分の2の日数、本件香港自宅において生活していたことになる。
しかし、被控訴人が上記の方法による贈与税回避を可能にする状況を
整えるために香港に出国するものであることを認識していたこと、
被控訴人の香港における執務状況によれば、被控訴人が面談等のために
執務した日数は、全滞在期間を通じて168日にすぎず、かつ、被控訴人は
その立場上、執務日を自由に決定することができる立場にあったものと
考えられることに照らすと、被控訴人は、その香港における滞在日数を
上記の方法による贈与税回避の計画を考慮して容易に調整することが
できたものと認められること、実際にも、被控訴人は、滞在日数を
調整していることからすると、本件事実関係の下では、香港における
滞在日数を重視し、これを日本における滞在日数と形式的に比較して
その多寡を主要な考慮要素として本件香港自宅と本件自宅のいずれが
住所であるかを判断するのは相当ではないというべきである。

そして、本件香港自宅は、ホテルと同様のサービスが受けられるサービスアパートメント
であって、(略)本件自宅における生活状況をも考え合わせると、
被控訴人と本件香港自宅との結びつきは、被控訴人と本件自宅との
結びつきと比較すると、より希薄であったものというべきである。

(4)被控訴人の職業活動等について
被控訴人は、亡Bの実子で、亡BがB社における亡Bの後継者として
認めていた人物であり、いずれは亡Bの跡を継いでB社の経営者になる
ことが予定されていた。したがって、被控訴人は、B社にとって、
単なる取締役としての存在を超えた極めて重要な人物であるとともに、
被控訴人にとってB社は、将来自分が経営者の重責を担うことが予定
されていた点において被控訴人の職業活動上最も重要な拠点であった
と認められる。

他方、被控訴人は、(略)B社又は香港各会社の業務として、香港及び
その周辺諸国に在住する関係者との面談その他の業務に従事していたほか、
欧米でのB社のIR活動等にも従事していたものである。もっとも、
これらの業務活動は、証拠上、具体的かつ詳細に明らかにされているとは
いい難く、(略)被控訴人の香港における業務活動にどの程度の実体が
伴っていたかは疑問があるといわざるを得ない(略)。被控訴人の
香港における業務が日本におけるB社の役員ないしはB社における亡Bの
後継予定者としての業務活動と比較して、その重要性において上回る
ものと認めることはできないものというべきである。

(5)資産の所在について
被控訴人の資産のほとんど大部分が日本にあったというべきである。

(6)外部から認識することができる被控訴人の居住意思について
事実によれば、被控訴人には、香港を生活の本拠としようとする意思は
強いものであったとは認められない。

(7)まとめ
本件滞在期間中の被控訴人の香港滞在日数が前記のとおりであり、
被控訴人が香港において前記のとおり職業活動に従事していたことを
考慮しても、本件滞在期間中の被控訴人の生活の本拠は、それ以前と
同様に、本件自宅にあったものと認めるのが相当であり、他方、
本件香港自宅は、被控訴人の香港における生活の拠点であったものの、
被控訴人の生活全体からみれば、生活の本拠ということはできないものと
いうべきである。

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