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日経記事;『スパコン活用で新薬効率開発 エーザイ・東大など、副作用予測で成功率高める』に関する考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月2日付の日経新聞に、 『スパコン活用で新薬効率開発 エーザイ・東大など、副作用予測で成功率高める』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東京大学と東京医科歯科大学、エーザイの共同チームは、新薬の候補になる物質の副作用リスクをスーパーコンピューターで精度良く予測する技術を開発した。

心臓の動きを細かく計算できるスパコン「京」のノウハウを生かし、薬の成分が心臓の不整脈を起こす恐れを調べる。実用化へ最大の課題である安全性を早いうちに洗い出し、3万の候補物質から1つの新薬しかできないとされる成功率を高める。

エーザイは自社での活用を検討するほか、技術の精度を高めるため他の製薬企業にも共同研究を呼びかける方針だ。

新薬開発は、候補物質を探してから製品化までに10年以上の期間と数百億円の研究開発費がかかる。動物実験で安全と判断しても、臨床試験(治験)と呼ぶ人で安全性や有効性をみる段階で不整脈の危険が発覚すると、開発が中止に追い込まれる。リスクを早く見抜けば、有望な候補物質に開発投資を集中できる。

新技術では、約2000万個の細胞の振る舞いを正確に計算できる。心臓にあるたんぱく質が薬の候補物質にどう反応するかなどの実験データを加えると、スパコン上で心臓の拍動や心電図が変わり、不整脈が起きるかどうかを判定できる。

胃腸薬や抗アレルギー薬といった12種類の薬で試した。投与量を増やすなどすると副作用が出る薬を正確に見極めた。人に投与した場合と同じ結果だったという。将来は動物実験の一部を代替できると説明している。

コンピューター技術の進展や新薬開発を急ぐ必要から、米食品医薬品局(FDA)は薬の影響をコンピューターで予測する方法を取り入れる方針を打ち出している。動物などでは必ずしも人体での振る舞いがわからないからだ。

英オックスフォード大学なども新薬開発に心臓のシミュレーション(模擬実験)を応用する試みを進めている。』


本日の記事は、スーパーコンピューターの新しい使い方について書いています。スパコン「京」の開発・実用化の後に、新薬開発のためのシミュレーションツールとしての使い方についてはときどき取り上げられてきました。

「京」の産業用途としては、創薬、新材料・デバイスの開発、ものづくりなどがあげられています。

本日の記事によると、エーザイや東京大学・東京医科歯科大学は、創薬用途に「京」を活用しようとしています。


現在、国内の製薬会社は、創薬事業に関して大きなリスクに直面しています。

創薬が持続的に行える国は、世界中で限られています。日本は、欧米主要国と共に世界の創薬先進国として肩を並べています。

2014IMS Health. IMS World Review.. 2014によると、2013 年の世界の製薬市場規模は、約85.3 兆円(確定ベース、8748 億ドル、1 ドル97.5 円換算)となっています。

日本市場は約8.2兆円であり、世界市場の9.6%を占めています。日本市場においては、内資系、外資系の企業が、それぞれ、約60%、約40%のマーケットシャアをもっています。

国内製薬市場規模は、人口減少と共に縮小していきます。内資系企業が国内市場で大きなシェアをとっても、収益拡大は見込めません。

また、内資系企業が世界市場でもっているシェアは、わずか4.1%です。

一般的に、内資系企業の世界市場でのシェアは、低いため、今後、創薬した商品の競争力を高めて世界市場でシェア拡大を行うことが必要になります。

世界市場でシェア拡大ができませんと、創薬への投資金額を回収できません。国内市場用途だけでは、投資回収ができないことによります。

内資系企業が世界市場でシェア拡大できないと、収益拡大を実現できませんので、必然的に内資系企業の投資意欲は減退していきます。

このような事態が起こると必然的に内資系企業の競争力が落ちていきますので、日本の創薬先進国としての立場も弱まります。

世界には、西アフリカのエボラ出血熱など多くの難病があり、それらの難病に有効な薬品を開発・実用化できれば、世界市場でシェア拡大を実現できます。

創薬能力の有無が世界市場で勝ち組になれるかどうかを決めます。創薬;医薬品開発には、研究者の知見のみならず、きちっとしたステップ(治験)が必要であり、時間、そして、資金が必要なことがネックであり、リスクになります。

製薬会社は、競争力のある薬品をもっているかどうかが勝負を分けます。内資系企業は、非常にし烈なビジネス環境下で事業していることになります。

世界の製薬市場で勝ち組になっている企業をもっているアメリカでさえ、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定制度をもっています。
たとえば、軟部肉腫の一種である滑膜肉腫をオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)として指定されています。

オーファンドラッグ指定とは、 アメリカ内での患者数が 20 万人以下の疾患について、その新規治療薬の開発を促進するために制定された制度です。

FDA からこの指定を受けることで、7年間の先発権保護、試験計画書作製の補助、承認申請などに要する各種手数料の免除、臨床試験費用の補助など、多くのインセンティブが受けられます。

この制度は、アメリカでの開発促進を期待して設けられました。製薬会社の創薬リスクが高いので、当該リスク低減を図ろうとしているのです。


エーザイが「京」を使って、創薬に関するシミュレーションを多用することで、薬の成分が心臓の不整脈を起こす恐れを調べる。実用化へ最大の課題である安全性を早いうちに洗い出して置くやり方をとります。

このやり方が実現すると、創薬リスクが大幅に低減しますので、製薬会社にとっては大きな援軍となります。

エーザイは、「京」の使い方について、他の製薬会社と共同で開発・実用化する方針をもっているようです。

もし内資系企業が連携・協業してオールジャパン体制で、「京」をシミュレーションツールとして使いこなすノウハウを確立できれば、業界全体で創薬リスク低減化が実現できます。

競争力のある薬品開発・実用化ができれば、世界市場を開拓できます。

「京」の産業分野での用途開発・実用化の視点も含めて、エーザイと『東京大学と東京医科歯科大学の共同開発チーム、および他の製薬会社の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


 

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