あなたと働きたいと言われる店長のシンプル習慣・・・ステージ１：その２

「スタッフが辞めてしまう本当の理由をご存じですか？」

あるチェーン店のとても優秀な店長が、こんなことを後輩の店長達に聴いていました。
後輩の店長達は、自分達の店のスタッフが、採用され、働き始めてから割と早い時期に辞めてしまうことに悩んでいたのです。
彼らの店は、よく世間を騒がせているようなブラックな労務管理の店ではありません。
労務管理については会社がうるさく言っていることもあって基本的な体制は整っています。
しかし、それでも新人達は、すぐに辞めてしまうのです。

彼は、後輩達にこう言った後、次のように続けました。

「例えば、君たちは、スタッフを採用するときに、どういう基準で採用しているのですか？」

この問いに、後輩達は、

「希望シフトをたくさん出せる人」
「笑顔が出せる人」
「声の大きな元気な人」
「日曜日に入れる人」
「キャンセルや変更をしない人」

と、口々に、自分達が新人スタッフを採用するときの基準について答えました。

「確かにそれもあるんだけどさあ～君たちは、肝心なことを忘れているよ」

彼はため息をつきながら続けました。

「それは、『辞めない人を採用すること』なんだよ。なぜ辞めてしまう人を採用するんだい？」

彼の言葉を聴いた後輩店長は一様にポカンとした表情をしました。
そりゃあそうですよね。なので、後輩達は口々に、
「辞めない人を採用する」と言われても、そんな夢みたいな事ってあり得ないじゃあないですか、と反論したのです。

「辞めない人というのは、辞める理由がない、辞める必要が無いと言うことなんだ。君たちの店は、辞める理由がある・・・だから辞めてしまうんだよ。君たちは、応募者に対して、ミッション・ビジョンに対する共感レベルを採用基準にしていないだろ？それがそもそも間違いの元なんだ！と言うか、君たちには、ミッション・ビジョンはあるのか？」

すると、後輩達は、思わず反論をしました。

「それはわかりますが、今、人がいないのにそんなこと言っていたら採用なんて出来ませんよ」

「わかるんだったら、お互いにヘルプを出し合ったりしながらシフトを何とかして、先にもっと採用基準にこだわろうよ。でないと、いつまでたってもいたちごっこは終わらないぞ。」彼は、強い口調で言い切りました。

「自分達が目指すミッション・ビジョンを達成するためにどういう人を採用するのか」を明確にし、それを実行しない限り、ミッションやビジョンを達成する事は出来ません。

ステージ6を目指して店作りをしていくのならば、最初からそのレベルに共感できるような人でないと、最後まで付いては来られません。それに共感できない人が作る店には、そのレベルに共感できるようなスタッフなど集まってこないのです。

ニワトリが先？タマゴが先？

タマゴが先です！

もちろん、既存スタッフについては、じっくりと話し合いが必要です。
店長は、既存スタッフの心をつかみ、共感度の高い新人を採用する。
これをぶれずに真摯に続けることが、ステージ6への最短コースなのです。