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「店長は夢を語れ・・・」
昔々大昔・・・私がマクドナルドにいた頃、ある幹部の方がこのように指導をされていました。
彼が言うには、店長がスタッフに「こう言う店にしたい！だからこうあるべきだ！」と熱く語ることによって、スタッフは徐々に店長の熱意に感化されていくものだ、と言う事のようでした。
当時は「夢やビジョンを語ろう」とは良く言われていました。
店長が、「目指す店作りのイメージ」を夢やビジョンとして語ること自体は、私はとても良いことだと思います。
スタッフに対して「どの様な形になることを目指すのか」と、具体的にイメージできるように伝えることは、何をどの様にすれば良いのかという指針になりますので、スタッフにとってもわかりやすいことなのです。
しかし、あるタイミングに於いては、いきなり「夢やビジョン」を語るとかえってガタガタになってしまうことがあるのです。
それは、店舗を異動し、着任したすぐのタイミングです。
異動・転勤でやってきた新しい担当店舗で、いきなりそれをやるのは「危険きわまりない」のです。
それも、前任店長が「とてもチームワークの優れたイイ店」を作っていたらなおさらです。
そんな状態のスタッフに対して、いきなり新任店長が「夢やビジョンを語る」と、あっという間にスタッフはしらけてしまうのです。
なぜかというと、まだその店は「新任店長の店」にはなっていないからなのです。
まだ「前任店長の店」のままなのです。
にもかかわらず、新しい店で張り切る新しい店長は、着任初日から、前任店長がやってきたことをことさらに否定し、自分のやり方が正しいと主張し、強引に改革を進めようとする困った店長が、意外とたくさんいるのです。
（まあ、私もかつては同じようなことをやっちゃいましたけどね・・・反省）
先日、サッカー日本代表の監督が急遽新しい監督に代わりましたね。
新監督は、強いリーダーシップで戦略を語り、ベテランメンバーと新しいメンバーとの競争を煽り、あっという間に自分のチームに変身させ、着任すぐに行われた２つの親善試合で勝利を納めました。
すごいですよね。
でも、多くの店は日本代表クラスのメンバーがいるわけではありません。
また、多くの店長は、ハリルホジッチではないのです。
もちろん、もの凄いレベルのスタッフが集まり、厳しい競争の世界が自然とそこに生まれるような環境があるのならば話は別です。しかし、99％の店はそう言う店ではありません。
大切なことは、新任店長は、まずひとりひとりのスタッフの心をつかむことに全力を尽くさねばなりません。
そして、しっかりと心をつかんだ上で、目指す姿を彼らといっしょに具体化していくのです。
そうすることによって、スタッフ達は、主体的に前進するようになります。
必ずなります。
店長は、自分が語る夢やビジョンによって「信任」や「信頼」を得ようとしてはいけません。
スタッフの心の中にも「こうなったらいいな」「こんな素敵な店にしたいな」と言う夢や希望はあるのです。
店長は、それを引きだし一緒に言葉にしていくのが仕事です。
「押しつける」のではなく「引き出す」のです。
店長が目指すお店の姿と同じ夢やビジョンが、実はスタッフの中にもある、と言う事を信じることが出来なければ、最高の店を創り上げることは出来ません。
素晴らしい店の店長は、「うちのスタッフ素晴らしい」からスタートしているのです。
決して、「うちのスタッフの出来は悪いから厳しい指導が必要だ」からはスタートしていないのです。
この違い・・・・従業員満足の基本中の基本なのです。
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