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日経記事;『真相深層 パナソニック,真の復活へ社長の賭け 4年で1兆円投資 現場の闘争心刺激』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

4月25日付の日経新聞に、『真相深層 パナソニック,真の復活へ社長の賭け 4年で1兆円投資 現場の闘争心刺激』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『パナソニックは2019年3月期までの4年間で計1兆円の戦略投資に踏み切ると発表した。同社は電機大手の中でソニーやシャープに先駆け業績を回復させた。

実態をみるとコスト削減頼みの面が強い。約30年前の過去最高益をいまだに超えられず、電機大手の中で記録更新から最も遠ざかっている。1兆円投資に賭けた津賀一宏社長の真意はどこにあるのか。

「リスクを管理しながら戦略投資をどう具体化すべきか。現場本位で考えてほしい」。3月、津賀社長の特命で社内に1兆円投資のワーキンググループが立ち上がった。 

同社の投資計画と言えば毎年の設備の更新投資を中心に組み立てたが今回は違う。対象はM&A(合併・買収)や工場建設から広告宣伝費、研究開発費など幅広い。1兆円のうち今期分の2千億円は使い道が決まっているが残りは白紙だ。現場のアイデアをベースに「伸ばすべき事業を一気呵成(かせい)に伸ばす」と津賀社長は意気込む。

最高益から30年

パナソニックはデジタル家電事業の低迷による経営不振からようやく立ち直ったかに見える。13年3月期まで2期連続で約7千億円の最終赤字を計上し、一時は純有利子負債が1兆円まで積み上がった。津賀社長が断行したリストラで15年3月期に6期ぶりに実質上の無借金経営とした。

しかし社内には「真の復活には高い壁がある」との声が根強い。「5757億円」。パナソニックが1984年11月期に達成した連結営業利益だ。同社はこの最高益をいまだに超えられない。

過去最高益を達成した後、主力の家電事業の伸び悩みに苦しんだ。旧松下通信工業などグループ会社を本体に取り込んだり、プラズマパネルの大型投資に踏み切ったりしたが成果に乏しかった。米映画大手MCAや三洋電機などの大型買収も結局実を結ばなかった。

16年3月期の営業利益見通しは前期比2割増の4300億円。ただ営業利益率は5%と米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスの10~20%には届かない。

「戦略聞かせろ」

反転攻勢に出るにはどうすればいいのか。津賀社長の出した結論は「現場の闘争心を引き出すこと」。12年6月の社長就任時から権限を本社から切り離し、現場に委譲していくことが津賀改革の中心にあった。

まず13年4月、12年ぶりに事業部制を復活させた。事業部が自ら責任を持つ形で事業の拡大を追求できるようにした。「本社は『鵜(う)飼い』で、事業部は縄につながれた『鵜』の役割」。ある幹部は冗談めかしてこう話すが、要は事業部に確実に獲物を仕留めることを求めていく。

「業績が計画比で何%増減したかはもういい。戦略を聞かせてほしい」。社内の会議では津賀社長のこんな言葉が響き渡る。視線の先にいるのは37人の事業部長だ。

14年11月、津賀社長は創業者の松下幸之助氏が導入した「事業計画制度」を見直した。これまでは事業部が新年度の事業計画を作り、本社会議で社長から了承を得る仕組み。15年度分から各事業部の数値目標の監督業務は4人いる社内カンパニー長に任せる。社長は事業部が描く成長戦略の検討に注力する。

従来は保守的な計画をつくり社長のお墨付きを得て達成すればそれでよいという雰囲気があった。「より高い目標を目指そうという意欲が生まれにくかった」と津賀社長は反省する。

1兆円の戦略投資を検討するワーキンググループの布陣も現場重視を徹底した。メンバーは事業部長ら現場経験者が中心だ。グループリーダーの榎戸康二常務役員は5月以降、M&Aの本場である北米に常駐し、投資先選びなどを指揮する。榎戸氏はAV(音響・映像)機器の社内カンパニー長を務める。社内カンパニー長が海外に常駐するのも初めてのことだ。

「個人プレーの集合体にしたい」。津賀社長は最近こんな言葉をよく使う。組織力を強みとしてきたパナソニックにとって個人重視は異例なことといえる。製品の大量生産からソフトやサービスへと付加価値が移り、個人の才覚を引き出さなければ新事業は生み出せないとの思いがある。本社から事業部、そして個人へ。パナソニックの経営は新しい境地へ入ろうとしている。』


パナソニックは、ソニーに比べると一足早く、合理化作業(集中と選択)の目処をつけました。
テレビ事業など汎用化した分野をリストラしたことによります。

また、パナソニックは、事実上の無借金経営に戻っています。直近の経営数字をみますと、新規事業の柱と位置付けています、BtoBである住宅、車載の両用途の収益拡大を実現できつつあります。

さらに、今後、企業向けシステム開発用途も最大の柱とすべく対応しようとしています。

パナソニックは、本日の記事にありますように、2013年に事業部制を復活させました。事業部は、一般的に担当事業分野について経営責任をもたらされます。

つまり、事業部の長である事業部長は、中小あるいは中堅企業の社長と同じような権限をもちます。

事業部長は、新規事業などに関する投資内容や金額について、一定条件下で自分で決裁して実行できる権限を与えられます。つまり、事業部長は、中小企業の社長の役割を実行できることになります。

ベンチャーや中小企業の最大の強みは、社長の決定と実行の速さにあります。一般的に大手企業の場合、内規で投資金額や投資内容にしたがって、社長が最終決定をするまでに何段かのステップがあり、一定期間を要します。

国内大手企業の場合、合議による意思決定と実行機能が制度化していますので、欧米企業に比べると経営スピードが圧倒的に遅いと言われる所以です。

また、この合議制は、新規事業立上のようなリスクを取る意思決定については、驚くほど保守的であり、必要な行動を取らない傾向が高まります。

とくに、経営トップや経営陣が、経理・財務・人事などの間接部門経験者が多数を占める企業では、保守的な動きが顕著になります。

新規事業立上ができない経営陣が良く行うのは、合理化と頻繁な組織変更です。

私の支援先企業は、製造事業者が多く占めます。私の支援先企業は、製造事業者の場合、例外なく経営トップや経営陣は、技術屋が多数派になっています。

ITベンダーの場合、支援先企業のトップは、やはり例外なくこてこてのソフトウエアなどのエンジニアです。

中小の製造事業者やITベンダーは、もっている技術・ノウハウ・商品がどれだけ差別化・差異化を実現していて、新規性や特徴を有しているかが勝負の分かれ目になることによります。

パナソニックが再度再現した事業部制は、このベンチャーや中小企業の強みを社内に持ち込もうとしているとみます。

つまり、上記しましたように、事業部長が中小企業の社長の役割を行うことが期待されます。パナソニックが事業部制を上手く活用することが、新規事業の柱立上のポイントになります。

パナソニックは、メーカーですので、事業部長はこてこての技術屋出身者で固めることが成功要因の一つになります。

また、事業部長には、可能な限り大きな経営権を与えることが必要になります。事業部長が少額投資でもいちいち本社決裁を取る必要がある限り、事業部長がミニ社長の役割を果たせません。

同時に、事業部長は、事業部内の組織変更についても自由裁量権を与える必要があります。事業部長は、良い意味での「独裁者」となることが肝要です。

事業部運営を効率良く行うには、事業部長の意思を最大限発揮できる組織体とする必要があります。事業部の管理組織も必要最低限の機能に留めて置くことも必要になります。

パナソニックが、旧松下電器で活発化していた事業部運営のやり方に戻すこともありと考えます。

一般的に、事業部運営の弊害として、縦割り構造のマイナス面が良く指摘されます。パナソニックのようなメーカーが、各事業分野でナンバーワンになるためには、各事業部が尖がった技術・ノウハウ・商品で深堀することが必要です。この深堀が進むと、縦割り構造の弊害が出てくる可能性があります。

しかし、現状では、パナソニックは各事業分野で勝ち組になるためには、縦割り構造の弊害があるとしても、事業部が最大限動けるようにする必要があります。

パナソニックの経営陣が、事業部の縦割り構造の運営と、会社全体の経営を上手くいくようにバランスを取って行えるかが成功するためのポイントになります。

この視点からパナソニックの今後の動きに注目していきます。パナソニックが事業部運営を上手く行えて、事業収益の拡大を実現できれば、中小製造事業者にととっても会社経営の参考になります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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