日経記事;『オリンパスが再生医療 膝の軟骨細胞、年内治験 3~4年で製品に』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『オリンパスが再生医療 膝の軟骨細胞、年内治験 3~4年で製品に』に関する考察

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皆様、

こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

4月20日付の日経新聞に、『オリンパスが再生医療 膝の軟骨細胞、年内治験 3~4年で製品に』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『オリンパスは生きた細胞を培養して、失われた身体機能を回復させる再生医療の事業化に向けて動き出す。膝の軟骨細胞を培養して患部に移植する技術の臨床試験(治験)を年内に始め、3~4年後に事業化する。

同社は2011年の有価証券報告書の虚偽記載発覚後、主力以外の事業見直しを探っていた。再生医療を後押しする法整備が進んだのを受け、研究開発に本腰を入れる。

膝などの軟骨細胞の培養には、提携先の韓国セウォンセルロンテック社の技術を活用する。移植後に骨膜で覆う作業が不要な点が特長。患部を大きく切開せずに関節用内視鏡(関節鏡)を使えるため、30分程度で手術が済むという。患者の負担を減らせるほか、オリンパスの主力製品の内視鏡の販売拡大につながるとみている。

国内の医療機関と組み、年内に治験を始める。順調にいけば、3~4年程度で厚生労働省から再生医療製品として製造販売承認を取得できる見通し。当面、対象疾患は限られる模様だが、将来は老化で軟骨が摩耗・変形して関節が痛む「変形性膝関節症」に対象を広げたい考えだ。治療対象となる患者は国内で数万~数十万人ともいわれる。

オリンパスは虚偽記載事件の後、経営立て直しのために事業領域の見直しを進めていた。再生医療に関しては、昨年2月に骨の再生に関わるバイオ材料について「シナジーが見込めない」として撤退。米子会社の清算を決めた経緯もある。

昨年11月、医薬品医療機器法(旧薬事法)の施行で、再生医療の早期承認制度が設けられ、治験期間が大幅に短縮できる可能性が高まった。昨年、心臓病の治療に使う細胞シートの承認申請をしたテルモに続き、オリンパスも事業化に向けて動く時期と判断した。

膝軟骨の再生医療では、富士フイルムホールディングス傘下のジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J―TEC)が12年に承認を取得。4月までに170施設で施術できる体制を整えた。』


政府は、2014年11月25日に医薬品医療機器法(旧薬事法)と再生医療新法を施行しました。
新施策は、従来の化学合成の医薬品とは異なる再生・細胞医療製品が早期に実用化することを可能にします。

この新施策により難病などの患者の治療の選択肢が増えると共に、医療機関しかできなかった治療用の細胞の培養も一般企業が効率的にできるようになる効果が生まれます。

旧薬事法から大幅な規制緩和につながる画期的な施策です。これは、ノーベル賞を受賞した京都大学山中教授を中心とするチームが開発・実用化を進めている、iPS細胞の事業化を後押しする効果が期待できます。

昨年11月以降の動きは以下のようになります。

・エボラ出血熱への効果が期待できるインフルエンザ治療薬「ファビピラビル」を開発・実用化した富士フイルムが、治療用の細胞の培養の製造受託を事業化する。日経記事によると、「富士フイルムは12月から動物由来成分を含まず、安全性の高い再生医療向け材料の販売を開始する。組織の培養や生体内の移植などに使える。併せて出資先のジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J・TEC)を年内に子会社化する。」とあります。

・日立物流が細胞運搬サービスを事業化する。

・がんの免疫療法の技術支援などを行っているメディネットが2015年に細胞加工施設を稼働させる。

・タカラバイオが「遺伝子・細胞プロセッシングセンター」を立ち上げ、細胞製造受託を開始
した。など

このように、政府のiPS細胞を使う再生医療施策を規制緩和したことにより、短期間に幾つかの動きが新規に起こりつつあります。

本日の記事にありますオリンパスの動きも、規制緩和により生きた細胞を培養して、失われた身体機能を回復させる再生医療の事業化することになります。

また、再生医療ではありませんが、4月18日に京都大学のiPS細胞研究所と武田薬品は、iPS細胞を使った創薬や細胞治療の共同研究を進めることを発表しました。iPS細胞を使うことにより、神経系疾患やがんなどの新しい治療薬を効率よく、低コストで開発することが狙いとのことです。

山中教授は、セミナーや講演、インタビューなどで、たびたび日本は、iPS細胞を使った再生医療や新薬開発を早期に事業化して、米国などとの激しい競争に打ち勝つ必要性をたびたび強調してきました。

昨年11月に施行された新施策による規制緩和が、企業の事業意欲を刺激していろいろな動きが出始めていることは、注目に値します。

オリンパスの場合、記事にありますように、2014年2月に骨の再生に関わるバイオ材料の事業化は、集中と選択作業の中で、本業にならないと判断して撤退をきめています。

今回、オリンパスが主力事業である内視鏡機器とのシナジー効果も考慮して、再生医療を事業化することは合理的です。

ところで、政府は新施策で従来の医薬品とは別の基準で承認する仕組みを導入すると共に、事業参入企業に対して、副作用などがないか全例の追跡調査を要求しています。

この条件は、事業化企業には一定の負担になります。同時にこの必要コストは、企業の投資回収に影響を与えますので、企業が設定する販売価格が高くなる可能性があります。

販売価格が高くなると、再生医療の普及促進や事業化にマイナス影響を与えるリスクがあります。
この点については、政府がどの程度の販売価格まで認めるか、あるいは普及促進策をどのように実行するのかに左右されることになります。

同時に、政府の施策とは別に、関連企業がITをフル活用して、副作用などの全追跡調査を効果的に行える仕組み作りが行われるとみています。

過去の規制緩和から、さまざまな新規事業が立上りました。今回の場合も、必要は発明の母になり、効果的・効率的な全追跡調査システムが早期に立ち上るとみています。

品質を確認する検査装置には、ITや電機メーカーなどの異業種企業が参入することになります。

何度か本ブログ・コラムで書いていますように、政府の規制緩和は、企業の事業意欲を刺激してさまざまな形で新規事業立上を行うようになります。

昨年11月以降の政府のイニシアチブによるiPS細胞を使う再生医療施策を規制緩和は、確実に企業の事業化・実用化の動きを加速させています。

多くのベンチャーや中小企業が、再生医療関連事業周辺で新規事業立上を行いつつあります。今後の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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