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日経記事;『パナソニック7割増益 前期最終2000億円 車向け好調で成長軌道』に関する考察

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皆様、

おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁です。

4月18日付の日経新聞に、『パナソニック7割増益 前期最終2000億円 車向け好調で成長軌道』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『パナソニックの2015年3月期の連結純利益(米国会計基準)は、前の期比7割増の2千億円前後になったようだ。従来予想を250億円ほど上回り、最高益だった08年3月期(2818億円)以来、7年ぶりの水準を回復した。

成長分野と位置付ける自動車用や住宅関連機器がけん引した。巨額赤字後に着手した構造改革にメドをつけ、成長軌道に戻ってきた。

同社は13年3月期まで2年連続で7千億円を超える最終赤字に陥った。その後は価格下落が激しいデジタル家電への依存度を下げる一方、成長分野に経営資源を集中させてきた。

前期の売上高は前の期比微増の7兆8千億円程度、本業のもうけを示す営業利益は2割増の3600億円程度とみられる。営業利益は従来予想を100億円上回った。社員の賞与カットの終了で人件費はかさんだが、構造改革の効果や円安が利益を押し上げた。

自動車向けはカーナビゲーションシステムなど車載機器の販売が伸びた。住宅関連は太陽光発電や配線器具などが好調で、消費増税後の需要減を乗り切った。自動車と住宅関連を含む部門が全営業利益の7割を稼いだ。

不振が続いたデジタル家電の収益も上向いた。テレビは振るわなかったが、デジタルカメラ事業で構造改革が進み、採算が改善した。

利益回復に伴い、繰り延べ税金資産を千数百億円計上したことも純利益を押し上げた。同資産の計上は会計上の税負担を減らす効果がある。

16年3月期の売上高は前期推定比3%増の8兆円、純利益は1割増の2200億円程度となりそうだ。車載機器などの好調が続くほか、利益率の低かったエアコンや照明などの採算も改善する。構造改革費用が減ることも増益に寄与する。』


パナソニックの動きは、ソニー、日立製作所、東芝などの総合電機メーカーと共に、何度か本ブログ・コラムで取り上げています。

これらの企業は、共に、米大手ITベンダーや台湾、韓国、中国などの企業との競争に負けて、日本を含めた世界市場でシェアを失いました。

米大手ITベンダーとの競争では、ソフトウエアの開発力、商品デザイン力、プラットフォーム構築などのビジネスモデルなどの面で、国内メーカーの実力不足が負け組になった要因の一つになります。

アジア勢との競争では、負けた要因は価格競争力につきます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末、テレビなどのAV或いはデジタル家電商品は、汎用化が進み急激な価格低下が起こりました。

国内メーカーは、アジア勢の動きについていけませんでした。しかし、仮にある程度ついていけたとしても、価格下落は止まりせんので、国内メーカーが汎用化が進む事業領域に留まることは、事業収益の悪化につながることは確実でした。

国内電機メーカーの中で、いち早く集中と選択作業を開始して、赤字状態のデジタル家電に見切りをつけたのが、日立製作所です。

日立は、環境・エネルギーやITなどのいわゆる業務用途のBtoBビジネスに経営資源を集中させて、競争力を高める努力を行いました。日立の成果は、経営数字に明確に反映されています。

日立の後を追って動いたのが東芝です。東芝も日立と同じように、環境・エネルギーやITなどのBtoBビジネスにかじを切りました。東芝の経営数字も大幅に改善しています。

パナソニックは、ソニーと比較されることが多い企業です。パナソニックは、ソニーに先行して新経営陣のもとで、徹底的な集中と選択作業を迅速に行いました。

パナソニックの場合、本日の記事にありますように、自動車用や住宅関連機器関連用途のBtoB事業に経営資源を集中させています。デジタル家電は、けれんみなく合理化・事業撤退しました。

パナソニックの集中と選択作業のスピードは、ソニーを上回りました。その結果、パナソニックの経営数字は、大幅な改善を実現しました。

ソニーは、他の大手電機メーカーと比べると、周回遅れでしたが、ここ1年くらいの間に、新規の事業方針を固めて動き始めています。ソニーもテレビなどのデジタル家電の合理化で止血を行っていますので、やっと事業収益の改善が目に見えるようになりました。

大手電機メーカーと比べると、中小企業は経営体力がないので、事業収益の悪化は、少しでも長期化すると、資金ショートや倒産の危機に直面します。

したがって、中小企業は、自分の事業領域で勝ち組になるように不断の努力を行うと共に、当該事業領域が縮小したり、汎用化が進んで低価格化が起こるなどの状況になった場合、今後の対応について経営者が即時に判断して実行することが必要になります。

私が支援先企業のトップと話をするとき、とくに、新規事業立上や集中と選択などの重要な事項については、上記した大手電機メーカーの動きを事例にして、今後の対応について検討します。

また、米IBMやGEなどの動きも参考にします。IBMやGEは、国内電機メーカーに先行して、集中と選択作業を行いましたが、その後も何度か収益悪化の経営課題に直面しています。


現在も大きく伸びているITは、既存事業基盤を大きく破壊、或いは変更させたり、まったく異なるビジネスモデル構築を短期的に発生させるパワーをもっています。

IBMやGEでさえも、一度集中と選択作業を行って新しいビジネスモデルを構築しても、事業環境の変化や競合他社の動きなどから、負け組になるリスクが常にあります。

このことは、一旦新規事業を立上ても、競争力強化のための投資を続けるだけでなく、事業環境の変化にも注意しておき、変化を感じたら冷静に情報収集・分析して、必要な対応を実行する経営姿勢が必要になることを意味しています。

今後、日立、東芝、パナソニック、ソニーなどの大手電機メーカーがどのように、感度高く事業基盤をみて、必要な対応を取っていくのか引き続き注目していきます。

とくに、パナソニックとソニーの動きや経営数字の変化に注目していきます。合理的な理由なしに変化しない企業は、確実に負け組になります。

中小企業は、既存事業基盤にとらわれないこと、過去の成功体験を引きずらないで、客観的な情報に基づく合理的な経営判断がますます求められます。

このような問題意識をもって、中小企業の新規事業立上や海外販路開拓などの経営支援を強化する必要性を痛感しています。

パナソニックの経営数字改善は、合理的な経営活動を行うと、確実に短期的に収益拡大につながることを示しています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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