日経記事;『トヨタ、中国・メキシコに新工場 計1500億円 5年ぶり投資再開 VWなどに対抗』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『トヨタ、中国・メキシコに新工場 計1500億円 5年ぶり投資再開 VWなどに対抗』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

4月3日付の日経新聞に、『トヨタ、中国・メキシコに新工場 計1500億円 5年ぶり投資再開 VWなどに対抗』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『トヨタ自動車が2018~19年、中国、メキシコに新工場を建設する。投資額は約1500億円に上る見通しで、年間生産能力は合計で30万台増える。収益体質改善のために13年から工場新設を凍結してきた。

生産性が高く需要変動に強い工場を低コストで建設・運営できるメドがついたと判断。13年稼働のタイ工場以来、5年ぶりの大型投資に踏み切る。中国、米国の二大市場での需要増に対応し、独フォルクスワーゲン(VW)など世界大手と競うための体制を整える。

工場新設は月内に発表する。中国は大手自動車メーカーの広州汽車集団(広東省)との合弁会社がある広州市内に新工場を設ける。昼夜2交代制で、小型車「ヤリス(日本名ヴィッツ)」を最大で年間10万台つくれる規模にする。

中国では購買力をつけた中間層による新車ニーズが高まっており、トヨタも小型車の供給を増やして現在4%にとどまる現地シェアの拡大を目指す。

メキシコには中部のグアナファト州に最大で年間20万台生産可能な工場を建設する。トヨタにとっては本格的なメキシコ進出となる。24時間3交代稼働で、北米向けに「カローラ」の新型車を輸出する。現在、カローラをつくるカナダと米ミシシッピ州の工場のうち、カナダは大型車をつくる拠点に衣替えする方向。メキシコの低い生産コストを生かし、14%のシェアを持つ米国での価格競争力を高める。

いずれの工場も08年に比べて初期投資を4割減らす。組み立てラインの工程数は最大で従来の約半分に減らし、生産設備も簡素にして負担をおさえる。1カ月近くかかっていた車種の切り替えも数日かつ低コストでできるようにするなど、仮に生産台数が大きく減っても利益を確実に出せるようにする。

トヨタは08年ごろまで生産能力を年20万~30万台規模で増やし、グローバル展開を進めてきた。しかし、リーマン・ショック後の需要急減で固定費がかさみ連結営業赤字となった。13年4月から工場新設をあえて「3年間凍結」する方針を打ち出し、収益性の高い体質づくりを優先させてきた。15年3月期の連結営業利益は過去最高を更新したもようだ。

新工場が稼働すればトヨタの世界での年間生産能力は1100万台程度となる見通し。業界2位の独フォルクスワーゲン(VW)は中国での生産能力を増やしながら、トヨタを追い上げている。

足元では円安で国内生産メリットが高まっているものの、需要のある地域で生産能力を高めることが、中長期の戦略に不可欠と判断した。』


過去、30年以上前に円安状況下であったにもかかわらず、電機機器や自動車メーカーの一部は、日本から欧米に生産拠点の一部を移管させてきました。

生産拠点の一部を移管した理由は、市場に近いところで作った方が市場の需要の変動に柔軟に対応できること、物流コストが削減できること、製造コストの圧縮などによります。

また、過去日本は海外市場に対して過剰に輸出するとの批判があり、海外現地の雇用機会を奪っているとの厳しい指摘もありました。

そのような状況下で、国内大手メーカーは、先進的に生産拠点の一部を移管させました。生産拠点の一部を移管したことの最大のメリットは、当該市場の需要の変動に対して迅速に生産量を調整できたことにありました。

その後、円高基調が定着すると、汎用品を中心に、安い労働力を確保するために、中国やアセアンなどに生産拠点を移管する動きが加速しました。

現在、国内製造事業者は、国内だけでなく、海外メーカーとの激しい競争に直面しています。とくに、2~3年前まで起こっていた異常な円高環境は、国内製造事業者に中国やアセアンなどへの生産拠点移管を加速させました。

その結果、日本の輸出事業は大きく落ち込みました。しかし、国内製造事業者が生き残る、あるいは勝ち残るには、必要な選択しでした。

さらに、国内製造事業者は、市場に近いところに、生産拠点だけでなく、開発・商品企画拠点の一部も移管あるいは設立しつつあります。

理由は、下記の通りです。

・対象市場・顧客の要求仕様・機能・性能・価格にあった商品を出さないと売れなくなっている。これは、対象市場の顧客層の所得水準が上昇して、自分の好みにあった商品選択のニーズが高まったことによる。また、低所得者層に対しても、当該要求仕様や価格などにあった商品を開発・実用化しないと売上確保できない実情がある。

・欧米メーカーの中には、日本メーカーに先行してこのやり方を取り入れた企業があり、事業機会を取られたケースがある。など


今までは、国内製造事業者がアセアンや中国に生産拠点を作る理由は、多くの場合、安い労働コストの確保でした。

しかし、中国やタイ、インドネシア、ベトナムなどで、毎年労働者賃金が二桁以上で上昇し続けていますので、これらの地域で安い労働コストの確保は困難になりつつあります。

片一方、労働者賃金の上昇は、中間所得層を構成する15歳から64歳までの生産年齢人口層の所得水準上昇を意味しています。

中国やアセアン地域に巨大な消費者市場が形成されつつあることになります。

これらの巨大な潜在顧客・需要を取り込むために、当該顧客の要求仕様・機能・性能・価格にあった商品を市場に近いところで、企画・開発・生産を行うことは極めて重要であり、合理的な動きになります。

もちろん、日本からの輸出商品が海外市場・顧客の要求仕様・機能・性能・価格にあえば、問題なく輸出事業を継続できます。

要は各国内製造事業者の事業環境に合わせて、現地生産拠点や国内生産拠点のベストミックスを考えて実行することが重要になります。

自動車メーカーの場合、汎用価格帯の自動車は、対象市場に近いところで生産した方が上記の通り合理的であり、競合他社との競争において必要なことになります。

とくに、米国市場を考えた場合、FTA(自由貿易協定)を結んでおり、安い労働力を大量に供給できるメキシコに生産拠点を拡充することは、大きな意義があります。

トヨタだけでなく、他の国内自動車メーカーにとっても、メキシコでの生産拠点充実は、米国市場での競争に必要不可欠なことです。

トヨタが中国内の生産拠点を拡充することも、上記の通り当該市場での売上拡大には必要です。

トヨタは、世界市場で独フォルクスワーゲンや米GMとの激しい競争に打ち勝っていく必要がありますので、確実に合理的なやり方で経営基盤の維持強化を行うことが重要であり、必要になります。

トヨタの動きも中小製造事業者にとって、良い参考事例の一つになりますので、今後も注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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