日経記事;『日産・ダイムラー協力拡大 技術、世界で補完 資本提携5年』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『日産・ダイムラー協力拡大 技術、世界で補完 資本提携5年』に関する考察

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経営戦略 アライアンスの事例と経営手法としての活用と課題

皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

3月29日付の日経新聞に、『日産・ダイムラー協力拡大 技術、世界で補完 資本提携5年』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『仏ルノー・日産自動車連合が資本提携先の独ダイムラーと新たにピックアップトラックの開発で連携に乗り出す。日産車の基本構造をベースにダイムラーが「メルセデス・ベンツ」ブランドの新型車を開発する。

生産はルノー・日産連合の欧州と南米の工場が担当する。両陣営が資本提携して5年。日仏独の3社が技術と生産を世界規模で補完しあう関係に深まりつつある。

日産の世界戦略車のピックアップトラック「ナバラ」の車台と呼ぶ基本構造を改良し、ダイムラーが自社ブランド車に使う。ピックアップトラックは北米や新興国で需要が急速に伸びている。

ダイムラーはルノー・日産連合の経営資源を活用することで、開発や生産のコストを抑えながら迅速に成長市場に本格参入する。ルノー・日産連合はダイムラー車の生産受託で工場の稼働率を高める。

日産・ルノー連合は2010年4月にダイムラーと3.1%を相互に出資すると発表した。当初は「小型車開発」など3分野の協力でスタートした。今では燃料電池技術の共同開発など10以上の領域に広がっている。

昨年には日産とダイムラーがメキシコに合弁会社を設立して小型高級車を共同生産することで合意した。同車種では高級車で高いノウハウを持つダイムラーの技術を日産が活用する。米ゼネラル・モーターズ(GM)や独フォルクスワーゲン(VW)など規模で勝るライバルに対抗する体制を整えつつある。

互いの出資比率は少ないものの、効率よく互いの長所と短所を補完しあう提携は自動車業界で珍しい。ルノー・日産連合を率いるカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)はダイムラーとの関係強化について「タブーはない」と指摘する。』


日産・ルノーとダイムラーベンツは、2010年から相互に3.1%ずつ出資するやり方で、事業連携・協業を進めてきました。

3.1%の出資は、両社にとって高いものではありません。この出資比率は、両社がイコールパートナーシップで、連携・協業を進めていくことの意思確認のやり方とみています。

何度か本ブログ・コラムで書いていますように、世界の自動車メーカーは、1社単独で開発・実用化の行為を行っている企業はほとんどありません。

必ず複数のメーカー同士で、合従連衡しています。これは、次世代環境対応車(ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車など)の開発・実用化を行うには、巨額投資が必要なことによります。

最近、私の支援先企業の中で、他企業との連携・協業を進める会社が増えており、当該作業がうまく行くようにさまざまな支援を行っています。

連携・協業を進めるために、事前に双方の意思や目的、期待する成果、具体的な内容などについて確認した上で、覚書などの契約書を作成し、署名・捺印します。

さらに、企業によっては、日産・ルノーとダイムラーベンツ間のように、お互いに相手側の経営に影響を与えない範囲で双方が出資することがあります。

私が扱った経験では、一般的に双方が出資する場合、お互いの信頼関係が強いことを意味します。
 また、連携・協業は長く続くこともありますが、お互いのメリットが見いだせなくなれば、解消することになります。この場合、出資した分は、解消することになります。

お互い低い出資比率は、解消しても経営に大きな影響を与えません。言わば成熟した企業間関係になります。

日産・ルノーとダイムラーベンツの連携・協業も、両社の成熟したものとして強化されているとみています。

本日の記事にありますように、両社は連携・協業内容を以下のように発展・進化させてきました。

・ルノーとダイムラーが小型車を共同開発
・日産の米工場でダイムラーのエンジンを生産
・日産がダイムラーから小型高級車の車台を調達
・日産とダイムラーがメキシコで小型高級車っを合弁生産
・日産とダイムラーが燃料電池車を共同開発
・ダイムラーが日産からピックアップトラックの車台を調達。日産・ルノーの工場で生産

このように、2010年から2015年の間にさまざまな連携・協業事業を立上ています。このことは、両社が強力な「Win/Win」の価値を認めて共有していることを示しています。

日産・ルノーとダイムラーは、共に最大手自動車メーカーであるトヨタ自動車、フォルクスワーゲン、米GEに対して、企業規模で劣っています。

また、両社は世界最大の市場である米国市場で勝ち組になっていません。とくに、現時点では、日産・ルノーの新車開発力は、弱く世界市場でもシェア拡大が難しい状況に直面しています。

ダイムラーは、高級車を中心に強い商品開発力をもっています。しかし、米国を含む世界市場で次世代環境対応車である燃料電池車の開発・実用化を単独で行うことが難しい状況にあります。

ここに、日産・ルノーとダイムラー両社の、連携・協業を進める大きな目的があります。両社がお互いの欠如している部分を補完して、強者連合になるやり方です。

何度か本ブログ・コラムで書いていますように、自動車メーカーは、合従連衡を巧みに行って厳しい競争環境を戦ってきましたし、今後も続くとみています。

国内中小企業は、日本を含む世界の自動車メーカーの連携・協業のやり方を学習して、自社の経営力を強化・補完する仕組み作りを行うことが重要であり、必要になります。

1社単独ではできなくても、他社との連携・協業で新規事業立上や既存事業基盤の強化などを実現することが可能になります。

自社の強みと相手の強みを組み合わせて、「Win/Win」関係を最大化させて強者連合になるように動くことが極めて重要です。

この視点から世界の自動車メーカー間の連携・協業の動き方は、大いに参考になります。今後も、
日産・ルノーとダイムラーの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

 

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