日経記事;『日立、製品力に活 産業機器集約し新会社 祖業をテコ入れ、「総合力」一層強く』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;『日立、製品力に活 産業機器集約し新会社 祖業をテコ入れ、「総合力」一層強く』に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. 海外展開
経営戦略 新規事業開拓・立上

皆様、

こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

3月24日付の日経新聞に、『ビジネスTODAY 日立、製品力に活 産業機器集約し新会社 祖業をテコ入れ、「総合力」一層強く』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日立製作所は23日、モーターなど産業機器を手掛ける部署を再編・統合し、「インダストリアルプロダクツ社」として5月1日に再スタートすると発表した。

2015年3月期の営業利益は過去最高を更新する見通しだが、個々の産業機器を見渡せば世界シェアは5%未満にとどまる。祖業にメスを入れて機器の性能を高め、これまで力を入れてきた企業向けの総合サービス力をさらに磨く。

「(製品の)単品で勝てないと世界で勝てない。世界トップを目指せ」。3月11日、東京・丸の内の本社役員会議室で開かれた新年度の事業計画審議会。中西宏明会長兼最高経営責任者(CEO)は、インダストリアルプロダクツ社の社長に就く青木優和・執行役常務に活を入れた。

開発投資5割増

新会社は日立の社内カンパニーのひとつになる。電力システム社から中大型モーターと受変電制御機器、インフラシステム社からは中大型インバーター、無停電電源装置(UPS)、圧縮機、ポンプを切り出す。

小型の産業機器全般を手掛ける子会社の日立産機システムと一体運営し、再編を機に研究開発投資を5割程度上積みする。レアアースを使わないモーターの拡大などで、競争力を高めていく。

「顧客に入り込んで、ビジネスモデル全体を提供していく」戦略で日立は復活してきた。「インフラ×IT(情報技術)=社会イノベーション」という図式で英豪資源大手リオ・ティントなどを口説き落とし、顧客を開拓。現行の中期経営計画の最終年となる16年3月期の目標である売上高営業利益率7%は射程圏内に入ってきた。

好業績に死角

ただ、システム全体の構築向けに投資が優先され、製品本体の開発投資は縮小気味だった。この結果、営業力に依存する傾向が生まれていた。足元、業績好調だが、死角が潜む。

モーター1%、受変電制御機器1%、インバーター3%、UPS2%、圧縮機4%、ポンプ4%――。産業機器の世界シェア(推計)は軒並み低迷している。米圧縮機大手ドレッサー・ランドを買収した独シーメンスに加え、スイスABB、米ゼネラル・エレクトリック(GE)などとの差は大きい。

新会社の売り上げ規模は3600億円。同社が手掛ける製品の世界市場規模は合計で10兆円以上に上る。日立はシステム構築に組み入れる以外では収益を取りこぼしていた。

様々なものをネットにつなぐインターネット・オブ・シングス(IoT)時代の本格到来で、工場やインフラなどの高度化を支える産業機器の重要性は高まる。

日立は各工場の強さを武器にしてきた。100年以上支えてきた日立・山手工場(モーター)、国分工場(受変電制御機器)、中西会長と東原敏昭社長の出身の大みか工場(インバーター、UPS)、土浦工場(圧縮機、ポンプ)を、新会社が統括して横串を通すことで、機動的な投資を可能にする。

産業機器のテコ入れは、中西会長と東原社長が掲げるシステム全体を提供する力の底上げにもつながる。青木執行役常務は「営業力と製品力は両輪。日立が『製作所』という看板を掲げる以上、製品を強くしないとダメだ」と意気込む。

東原社長はGEやシーメンスなどライバル勢に対抗していくための条件として、「10%以上の売上高営業利益率」を挙げる。それには、1910年、小平浪平氏が日立鉱山で使う目的で開発した日立の祖業である産業機器の復活が欠かせない。』


日本国内の大手電機機器メーカーの中で、いち早く集中と選択を行って、経営再建を果たしたのが日立製作所と東芝です。

本日の記事は、その1社である日立製作所について書いています。日立が世界市場で勝ち組になるためには、米GE、独シーメンス、東芝などの世界企業との競争に打ち勝つ実力をもつ必要があります。

とくに、GEとの激しい競争に打ち勝つための継続的な企業努力が必要になります。

最近のGEの集中と選択作業は加速度を増しています。決して過去の成功体験に引きずられない姿勢をますます強くしているとの印象をもっています。

GEは、すでに創業事業である家電商品から撤退しました。汎用化して付加価値を創造することが困難になるとの判断によります。

また、GEの前会長で伝説の経営者と言われたジャック・ウェルチ氏が経営の多角化を行って高収益を稼ぎ出した消費者向け金融事業からの撤退や売却方針を打ち出しました。

GEは、2013年に北米での消費者向け金融事業の売却方針を発表して以降、欧州を中心に各国の金融事業の切り離しを進めてきました。2015年3月に、オーストラリアとニュージーランドの消費者向け金融事業を投資ファンドなどへ売却することで合意したと発表しました。

これは、GEがリーマン・ショック時に資金繰りが悪化した問題に直面したことによります。この時にGEは、当時50%以上あった金融事業の利益全体に占める割合を25%にまで減らす方針を発表しました。

GEは、2014年の金融事業の利益に占める割合は約40%ありましたが、上記3月の当該事業売却は、金融事業への依存度低下を着実に推し進めていることを示しています。

GEは、何度か本ブログ・コラムで書いていますように、世界市場で需要が伸びていて、かつ差別化・差異化可能な技術で安定的に収益を稼げる電力関連や航空機エンジンなど産業分野へシフトを加速化させています。

また、GEはIoT化を加速させて、利益率が高い修理や部品交換などサービス分野の収益も拡大するようにしています。

IoTから高付加価値となるビジネスモデルを作るために、GEはグーグル、アップル、IBM、マイクロソフトなどの米大手ITベンダーと同じように、データ分析や人工知能などの活用も積極的に行っています。

日立がGEと世界市場で競争して勝ち組になるためには、モーター、インバーター、ポンプなどの個々の部品や製品などの技術力を高めて差別化・差異化を図ると共に、インターネットをフル活用してグループ全体の事業の付加価値を上げるやり方を実現する必要があります。日立はIT事業を行っていますので、インターネット活用を自前で行えます。

国内製造事業者が得意とする伝統的なモノづくりの発想と実行だけでは、部品や装置のサプライヤーにはなれても、最終商品やサービスで付加価値を取れなくなります。

残念ながら、現時点でGEは、日立や東芝に先行して世界市場で勝ち組になるための不断な経営努力を迅速に行っています。

日立は、GEを参考にしながら、自社の強みを最大化できる事業分野に経営資源を集中して実力を高める必要があります。そして、最終的にはGEを凌駕しないと世界市場で勝ち組になることは、できません。

 


一方、ドイツでも、政府と産業界が一体になって「第4次の産業革命;インダストリー4.0」の動きが出ています。

インダストリー4.0の狙いは、インターネットを活用して工場内および工場間のモノやサービスがつながって、新規事業立上やビジネスモデルを創ることとされます。

インダストリー4.0は、センサーや自ら考えるソフトウエア、機械や部品の情報蓄積能力、相互コミュニケーション能力などによって、工場内の生産工程を高度化すると共に、工場間もネットリサーチでつないで部品や装置、最終製品を生産する最適解を計画・実行することを可能にします。

インダストリー4.0の実現には、上記IoT(ものとものを結ぶインターネット)とIoS(インターネットを利用したサービス)の両技術を駆使する必要があります。

現時点での主な参加独企業としては、ABB社、BASF社、BMW社、ボッシュ社、ダイムラー社、InfinionTechnologies社、SAP社、シーメンス社、ティッセンクルップ社、トルンプ社などです。
日立の競合企業であるシーメンスも入っています。


日立や東芝などの国内電機機器メーカーが、自社の伝統的な技術やノウハウを強化して部品、装置、製品レベルでの差別化・差異化を図ると共に、インターネットをフル活用して、高付加価値なビジネスモデルを組み上げて、GEやシーメンスなどの世界企業との競争に打ち勝つことを期待します。

今後の日立や東芝の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 


 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム