日経記事;『NTTコムが独データセンター会社買収 1000億円 欧州需要を取り込み』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『NTTコムが独データセンター会社買収 1000億円 欧州需要を取り込み』に関する考察

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皆様、

おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

2月28日付の日経新聞に、『NTTコムが独データセンター会社買収 1000億円 欧州需要を取り込み』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『NTTグループが欧州でデータセンター事業を拡大する。NTTコミュニケーションズが27日、運営大手の独イーシェルター(フランクフルト市)を買収する方向で最終調整に入った。買収額は1000億円強になる見通し。

米政府の個人情報収集問題を機に、欧州では重要な情報を域内で保管することを求める機運が高まっている。情報サービス事業拡大のため欧州での拠点整備が必要と判断した。

持ち株会社のNTTは2010年に南アフリカのIT(情報技術)大手、ディメンション・データを約2900億円で買収し、海外の企業向け情報サービス事業を成長戦略の柱に据えた。今回の買収は同年にNTTデータが米キーン(当時)を1100億円で買収したのに並ぶ規模となる。

イーシェルターは00年に発足した非上場企業。ドイツ国内に加え、オーストリアやスイスでデータセンターを運営する。保有するデータセンターの面積は約9万平方メートル。

NTTグループは14年夏時点で世界で100万平方メートル近くのデータセンターを保有し、この分野では世界一だ。イーシェルターをグループに加え、2位の米エクイニクスなどの競合を突き放す。

NTTグループでデータセンターの運営を担うNTTコムは12年に英国の新興企業を買収して欧州事業の足がかりとしたが、大陸側には主要拠点がなかった。

米アップルも23日、デンマークなどにデータセンターを建設する方針を決めた。欧州で事業を運営するIT企業にとって域内でのデータセンター整備が急務となっている。

NTTは国内の通信需要の伸び悩みを受け、海外で情報を保管・処理するデータセンターや企業向け情報サービスの運営受託を拡大している。』


パソコンに加えてスマートフォンやタブレット端末の急速普及で、インターネット出口数が急増しています。

インターネット出口数の増加に従って、特に最大の使用台数をもっているスマートフォンユーザーに提供する各種アプリケーションソフトの稼働数が、急増しています。このアプリソフトにはゲームソフトも入ります。

多くのアプリソフトベンダーがデータセンター(クラウドサービス事業者)を活用しています。理由は明確です。

クラウドサービスを活用すると、自社でサーバーやコンピュータのハードウェア、ソフトウェア・データなどを、所有・管理する必要があったのが、クラウドサービスを受けると、インターネットを介して、当該サービスを事業者から提供されるユーザーになります。ユーザーは、クラウドサービス事業者にサービス利用料金を支払います。

ところで、私が理解していますクラウドサービスには、現時点で以下の三つが存在します。

1.IaaS

Infrastructure as a Service のことであり、ハードウェア環境(サーバー、ストレージ、ネットワーク)はクラウド事業者が提供します。ユーザーは、ミドルウェアやOSなどの開発環境などを自由に選択します。


2.PaaS

Platform as a Service のことであり、クラウド事業者がミドルウェアやOS(特定のプログラミング言語で開発されたアプリケーションの実行環境)を提供します。ユーザーは、提供された環境で、ソフトウエアの開発・実用化・提供や販売などの作業を行います。

3.SaaS

Software as a Service のことであり、クラウド事業者がアプリケーションソフトウェアをサービスとして提供します。ユーザーは、自社のパソコンに搭載されたソフトウエアを使用する感覚でサービス提供を受けます。

 

ユーザーは、自社の事業環境に合わせて上記三つのサービスから自社に適切なものを選びます。上記スマホ用アプリソフトベンダーは、1のIaaSを利用する企業が多い印象をもっています。

私は、ITベンダーの海外販路開拓・集客を支援しています。多くの支援先企業は、IaaSを利用しています。開発環境を自社で選べることによります。


データセンターのサービス拡充は、スマホ用アプリソフトベンダーだけでなく、多くの中小ITベンダーに新規事業機会獲得の援軍になっています。

データセンターを活用すれば、ITベンダーはインターネット接続環境と、出口端末となるパソコンを持っていれば、各種データ解析やシミュレーションソフトなどのツールを開発・実用化できることによります。

さらに、ツールの外販もデータセンターを活用したネット通販のWebサイトからダウンロードするやり方で行っているITベンダーもいます。

また、データセンターは、大地震や津波、火災などの災害から貴重なデータ・情報を保管する安全な倉庫としての機能も果たしています。

大手企業の中には、自社データの安全性を担保するため、複数のデータセンターに分散して保管しているところもあります。

このように、データセンターは、ITのプラットフォームを支える重要な社会インフラの一つになりつつあります。

この社会インフラに対する需要は、世界市場で高まっています。この需要獲得を狙って多くのIT・通信関連事業者が、積極的なデータセンター開設のための投資を加速させています。

アマゾン、セールスフォース・ドットコム、マイクロソフト、IBMなどの米大手ITベンダーが世界各地でデータセンター設立を拡大しています。

例えば、IBMは、2月23日にしているクラウド・コンピューティング事業を強化するため、年内に世界で4カ所の専用データセンターを新設すると発表しました。これは、データセンターの拡大でIBM製の高性能サーバーに対する需要が減少しており、昨年から行っている自社のデータセンター設置拡充によりその需要を取込む狙いがあります。

本日の記事にありますNTTコムによる独データセンター事業者の買収は、IBMと同じように自社の事業基盤を再構築するために、欧州での社会インフラとなるデータセンター事業の強化にあります。

NTTは、国内市場で最大手の通信事業者ですが、最近、大きな収益源となっています通信需要が伸び悩んでいますので、積極的に欧米市場で新規事業機会としてのデータセンター事業を強化しています。IBMの狙いと同じです。


ところでデータセンターは、国境をまたぐ法的リスクがあります。例えば、EUでは、データ保護指令があり「第三国への個人データ移転を制限する」としています。

米国やイギリスでは、「機密データであっても、規制当局による閲覧・差押えの対象となりうる」ことがあります。

このように、データセンターの設置場所が国境をまたぐと、他国の規制を受けることになります。これを避けるために、データセンターのユーザーは、居住する国に設置されているデータセンターを活用することになります。

このため、ユーザーを確保したいクラウド事業者は、当該国や当該地域各地にデータセンターを設立します。NTTコムの場合、欧州に拠点を構える日系企業の需要を取込む狙いがあるとみます。

NTTコムのような日系クラウド事業者のデータセンター設置を喜ぶユーザーもいますが、片一方、アマゾンが提供しますAWSなどに付加価値を見出して活用しているユーザーも数多く存在します。

上記アプリソフトベンダーや中小企業にとって、データセンターを活用するメリットが大きいので、今後も需要は伸び続けます。

しかし、この成長市場に数多くの大手ITベンダーが事業強化を図っていますので、徹底的な差別化・差異化を可能にするサービスを提供しないとNTTコムの収益拡大は実現しません。

データセンターの競争が激化することは、ユーザーからみますと、サービス内容が充実していきますので、選択肢も増えていき、大きなメリットになります。

NTTコムを含めたNTTグループが世界市場でデータセンター事業をどのように展開していくのか注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

 

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