日経記事;『革新力 The Company異端になる(1) 本業は変わってもいい』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『革新力 The Company異端になる(1) 本業は変わってもいい』に関する考察

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皆様、

こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

2月22日付の日経新聞に、『革新力 The Company異端になる(1) 本業は変わってもいい』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『ろうそく製造から出発した米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、コーヒーミルのメーカーだった仏プジョー。欧米の老舗企業は社会の変化を見据えて変身してきた。神戸大教授の三品和広(55)は「成長には既存事業に固執せず新事業をつくる『転地』が必要」と指摘する。

絹から化粧品

日本にもそんな企業がある。日清戦争前の1889年(明治22年)に福井で創業した繊維会社のセーレンだ。この老舗企業の研究者らが今、医療機関などに足しげく通っている。

絹の成分を医療・医薬の分野に応用するためだ。がん治療、生活習慣病予防、細胞や臓器の保存……。「衣料」から「医療」へ踏み出すきっかけは技術者の素朴な疑問からだった。

1988年。「なぜ絹を扱う工場の従業員は手がきれいなのか」。研究の結果、絹を覆うたんぱく質「セリシン」に強い保湿・抗酸化の作用があるとわかった。光沢を出すために絹を水洗いする過程で捨てていた物質だ。化粧品として実を結んだのは97年のことだ。

革新は偶然生まれたのではない。大胆に会社を変えようとした経営トップの意志が働いた。

「これからは非衣料、非繊維を狙っていく」。87年に社長になった川田達男(75、現会長)は着任後早々にこう宣言した。当時は繊維産業の斜陽化で業績が悪化していた。手持ち資産は売り尽くし、いずれつぶれるとの危機感があった。

当時はまだ「繊維=衣料」が常識だ。「セーレンは非常識」。こんな陰口もあったが川田が気にとめることはなかった。今では小型ロケット内の防音材など防衛・宇宙にまで用途は広がっている。2014年度の連結純利益は過去最高の50億円に達する見通しだ。

1921年(大正10年)、体温計の国産化をめざして発足したテルモ。医療機器の優等生が異次元のビジネスに踏み出した。太ももから取り出した細胞を、シート状に培養して心臓に張りつける。重い心不全を治療する再生医療だ。今秋にも申請が承認されれば、世界初の快挙となる。

患者の命に直結する治療行為に近づく。事業のリスクは医療機器とは比べものにならないほど高くなる。しかし社長の新宅祐太郎(59)はひるまない。「我々の技術で助けられる命がある」。新たな事業の器を生み出し価値の創出に挑む。

「形は同じ。だが中身は劇的に変わっている」。トヨタ自動車会長の内山田竹志(68)は言う。

車を化学工場に

14年末に発売したトヨタの燃料電池車「ミライ」は小さな化学工場といえる。これまでの100年に及ぶ自動車産業の歴史を支えてきたのは、機械工学などいわば物理の技術者たち。内山田は「これからけん引役となるのは化学の専門家だ」と予言する。

未知の領域に踏み込まなければ自動車に次の100年はない。トヨタが燃料電池車特許を世界に無償公開するのも自動車の革新を迅速に進めるため。産業そのものを転地させる壮大な実験が始まった。(敬称略)』


本日の記事にありますように、セーレンは繊維会社から出発しましたが、今では、車両、エレクトロニクス、医療、環境・生活資材などの分野に各種素材を提供するメーカーになっています。まだ、繊維関連事業は継続していますが、その売上構成比率は約30%前後になっています。

セーレンのように繊維事業から出発して、他の事業分野で経営の足場固めをしたメーカーが国内に存在します。東レや帝人が代表例となります。

これは、繊維産業が海外企業との競合で競争力を失ってしまったため、繊維メーカーは他の事業分野で新規事業を立ち上げる必要があったことによります。

すべての繊維メーカーが他の事業分野で新規事業立上を可能にできませんでした。新規事業立上を可能にできた繊維メーカーは、差別化・差異化可能な技術やノウハウをもっていました。

もちろん、せっかく差別化・差異化可能な技術やノウハウをもっていても、新規事業立上を経営施策として計画・実行する意志がなければ、宝の持ち腐れになります。

競争力を失った既存事業に固執したり、新規事業立上に思いが行かない企業は、数多く倒産しました。

繊維ではありませんが、デジタルカメラなどの普及で需要のなくなったフイルムメーカーの世界的企業であった米コダックが2012年1月に破産法申請しました。

コダックの競合企業である富士フイルムは、経営の多角化を進めて生き残り、医薬品事業まで多角化を進めてきました。

富士フイルムは、東レ、帝人、セーレンなどと同じように経営陣の積極的な新規事業立上を行ってきたことになります。

最近の国内市場では、テレビ、パソコンなどの家電AV製品が海外企業との価格競争で、競争力を失っており、ソニー、パナソニック、東芝、日立製作所などの大手メーカーが撤退しています。

例えば、ソニーはテレビ事業を分社化して、高画質・高機能帯の商品に特化して競争力を維持強化しながら、収益確保を目指しています。

海外企業では、2014年9月に米GEが競争力を失った家電事業をエレクトロラックスに売却すると発表しました。まだ、利益は出ていましたが、家電事業はGEの年間売上約15兆円の中で約8000億円と低いため、コア事業でないと判断して売却しました。

蘭フィリップスも、競争力を失った家電事業を売却、あるいはこの事業から撤退しました。GEやフィリップスにとって、家電は経営の出発事業であるにもかかわらず、自社事業から外す決断をしています。

ソニーは、最近、事業基盤の一つであり、出発事業である家電AV製品を経営の柱から外す決断をしました。

今後の成長エンジンは、CMOSセンサーを中心とする半導体デバイス事業、ゲーム&ネットワーク事業、映画・音楽配信事業としています。

デジカメやウオークマンなどのオーディオ機器事業は、大規模投資をしないで収益確保を目指します。ソニーは、将来、これらの既存事業を売却する可能性があるとみています。

ソニーもGEやフィリップスなどと同じように競争力の失った家電事業に見切りをつけて、競争力があり市場も伸びているエンターテインメント事業に経営の足場を置くことになります。

ソニーと並んで家電業界の大手メーカーであるパナソニックは、いち早くAV機器に見切りをつけて、環境やエネルギーなどの業務用途に経営の軸足を移しました。

ソニーやパナソニックの新規事業立上が成功するか否かは、両社が新規性や差別化・差異化可能な技術やノウハウをどこまで発揮できるかによります。

両社は、壮大な実験を始めようとしています。両社の今後の動きに注目していきます。


さて、中小企業の場合、大手企業と異なって資金や人材などの経営資源を豊かにもっていません。既存の主力事業が競争力を失うと、たちまち倒産するリスクが高くなります。

私は、経営コンサルタントとして、上記課題をもつ製造事業者やITベンダーなどの中小企業から、新規事業立上支援を要請されてきました。

このような要請を受けたときに、まず真っ先に行うことは当該企業の競争力やノウハウなどの棚卸です。

20年以上事業継続できている中小企業の場合、多くのケースでは何らかの形で他社に差別化・差異化可能な技術やノウハウをもっています。

私はエンジニアではありませんので、当該企業の競争力やノウハウを棚卸するときに専門的知見が必要な場合、知り合いの技術士の資格をもっている専門家の助けを借りることがあります。

差別化・差異化可能な技術やノウハウを確認できれば、インターネット上のデータや情報を収集したり、専門的な調査報告書などから当該企業が新規参入できる事業分野を探して、販路開拓・集客の体制を確立するように動きます。

販路開拓・集客については、BtoCおよびBtoBの両分野で、ネット通販の仕組みを使えるようになったため、選択肢が増えています。

また、新規事業立上に必要な技術やノウハウを企業買収を行うことで、確保したこともあります。

中小企業の場合、本日の記事にありますように、「本業はいつでも柔軟に変わっても良い」と考えています。

中小企業の強みは、意志決定の速さにあります。中小企業は、差別化・差異化可能な技術やノウハウを維持強化しながら、成長分野やニッチな事業などの分野でオンリーワンの立場を確保することが必要であり重要になります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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