日経記事;『東南アで工業団地拡張 双日、レンタル工場増設 丸紅、下水道の能力向上』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『東南アで工業団地拡張 双日、レンタル工場増設 丸紅、下水道の能力向上』に関する考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

2月8日付の日経新聞に、『東南アで工業団地拡張 双日、レンタル工場増設 丸紅、下水道の能力向上』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『総合商社が東南アジアで工業団地の開発を加速する。双日や住友商事は建屋を貸すレンタル工場を増設し、中小企業でも進出しやすくする。丸紅は上下水道の処理能力を高める。

東南アジア諸国連合(ASEAN)は年末に経済共同体の発足を目指す。将来は域内の関税が撤廃される見通しだ。日本のメーカー各社は円安でも需要地で適地生産する動きを強めており、受け皿を拡充して工場進出を後押しする。

双日はベトナムのレンタル工場で25社が利用できる体制を整える。

国際通貨基金(IMF)によれば2013年の日本企業の対ASEAN直接投資額は236億1900万ドルと、ここ10年で最高を記録した。日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査でも「ASEANでの事業を拡大する」と答えた日系企業は6割と、中国(5割弱)を初めて上回っている。

双日は大和ハウス工業と組み、ベトナム南部ホーチミン近郊で運営する工業団地でレンタル工場を増設する。現在は1万平方メートルの敷地に13区画の工場があり、今春の利用開始を目指してさらに1万平方メートルの開発を進める。計2万平方メートルで25社前後のメーカーが利用できる体制を整える。

更地を販売する従来の工業団地と違い、レンタル工場は工業団地側が建屋を建設し、小分けしたスペースを企業に貸し出す仕組み。初期投資を抑えられるため、中小企業でも進出しやすい。インドネシアのジャカルタ近郊で増設中の工業団地では、17年中を予定していた完成時期を16年中に前倒しする。

住友商事はベトナム北部ハノイ近郊の工業団地で、レンタル工場の面積を従来の3割増となる8万5500平方メートルに拡張する。6月に完工し入居できるようにする。

伊藤忠商事もインドネシアで運営する工業団地を現状の800ヘクタールから1000ヘクタールへと約2割拡張し、15年春から販売を始める。

丸紅はインドネシアのジャカルタ近郊、ブカシ地区で運営する工業団地で上下水道の処理能力を増強する。7月をめどに下水道の1日の処理能力を現在の3倍となる7万2千立方メートルに拡充し、入居企業が工場を増設しやすくする。

総合商社は原油安が響き、資源事業の採算が悪化している。工業団地などのインフラ開発は蓄積してきたノウハウを活用しやすく、市況に左右されず安定的な収益を確保できる利点がある。』


アセアンは、2015年末までにEUと同じような形での経済統合を計画・実行しようとしています。アセアン経済統合と呼ばれています。

アセアン経済統合の目的は、アセアンに加盟する10カ国が基本的には、関税撤廃か可能な限り低くなどして、域内のモノ、サービス、ヒトなどの移動を自由化することにあります。

これによりアセアン域内の経済活動をさらに活性化させることを期待しています。

関税撤廃に関しては、すでにタイやマレーシアなど6カ国の間ではゼロになっています。これをベトナムやミャンマーなどにも拡大するようにします。

アセアン経済統合が実現しますと、少なくとも域内貿易が非常に活性化することになります。関税撤廃は、物流コストを除けば、生産した商品を生産国に限定されずに域内どこでも販売できるようになる効果を生みます。

例えば、タイは生産年齢人口が頭打ち状態にあり、失業率も1%台と低くなっていますので、この国に新規に工場を建設する意味や必要性が低くなります。

タイの生産年齢人口層は、低失業率や高い賃金を背景に巨大な中間所得層を築いています。このことは、タイに巨大な消費者市場があることを意味しています。

すでに、タイは周辺国であるカンボジア、ラオス、ミャンマーと協力して、労働者を受け入れて自国の生産活動や飲食店などのサービス事業などに従事してもらうようになっています。これをタイプラワンと呼んでいます。

アセアン経済統合は、いわばタイプラスワンを域内どこでも実現できる効果が期待できます。現在および将来の状況を見極めて、日系企業は、自社商品の生産に最適な国を選ぶことができます。

また、特に中小企業は、中堅や大手企業に比べて、資本力などが弱いので、今後はアセアン域内の生産地は、その国の最新状況にあわせて、柔軟に決めていくことが重要になります。

繊維や皮革などの労働集約型商品の生産は、多くの労働者と低賃金での雇用を可能にする国を選んで実施する必要があります。現時点では、アセアン域内では、ミャンマーが最適となります。もっともミャンマーは、電力不足や物流インフラのぜい弱さをもっていますので、これらの点も考慮して最適な生産地を選ぶことが必要になります。

中小企業が独自に海外に工場建設しようとすると、工場用地の確保や工場建設などに多くの時間と費用がかかります。

しかし、中小企業も自社商品の生産地は、労働者の質、確保の容易さ、賃金などの要因で、その時点での最適地を選んでも時間の推移と共に、事業環境が大幅に変われば当該地を再検討する必要がでてきます。

例えば、かってのインドネシアは、豊富な労働力と低賃金から労働集約型事業にとって、最適な生産地でした。現在、毎年二桁以上の率で上昇する労働者賃金は、この事業の仕組みを維持することを困難にしました。

今後、アセアン域内では、経済活動が活発化すれば、域内の事業環境が今以上に急速に変化するとみています。

中小企業は、中堅や大手と同じように、最適な生産地を柔軟に選んでいくようにする対応力が求められます。

この点からみますと、本日の記事にありますように、総合商社がアセアン域内で工場団地を開発して、中小企業などにレンタルする仕組みは、中小企業にとって使い勝手の良いものになります。

これは、中小企業が工場建設を自社投資で行う必要がないことにより、投資回収リスクがなくなることと、自社の事業環境にあわせて柔軟に工場移管をできることによります。

もちろん、必要な労働者の確保や労働者賃金の適正さなど、工場設置場所の選定は、他の重要な要因を含めて決めることになります。


しかしながら、総合商社がアセアン域内各地で工場のレンタル事業を活発化することは、中小企業の工場設置を低コストで柔軟に計画・実行できるメリットがあります。

国内の中小企業は、アセアン域内の需要を取り込んでいかないと、事業拡大が難しくなります。アセアン域内の需要獲得は、域内で生産しなくても、当該地域でしっかりとした販路開拓・集客を行うことが重要になります。

これから、アセアン域内の需要獲得を目指す中小企業は、まずは販路開拓・集客できる体制構築後に、安定した需要が見込まれるのを確認して、必要があれば、上記レンタル工場を利用して現地生産すればよいのです。

初めから現地生産前提にアセアン域内での事業展開を行う必要はありません。輸出で事業できる間は、可能な限り国内生産を続けるやり方もあります。

このようにコメントする背景には、アセアン域内での事業展開について私に相談する製造事業者の中で、かなりの企業が現地生産を前提に考えている場合が多いことによります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

 

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