日経記事;『ソニー、一転黒字に 今期営業200億円 テレビ、収益改善』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『ソニー、一転黒字に 今期営業200億円 テレビ、収益改善』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
こんにちは。グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

2月5日付の日経新聞に、『ソニー、一転黒字に 今期営業200億円 テレビ、収益改善』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。
 
『ソニーの業績が回復している。4日、2015年3月期の連結営業損益(米国会計基準)が400億円の赤字予想から一転して200億円の黒字(前期は265億円の黒字)になると発表した。分社化など構造改革の効果で課題だったテレビ事業が黒字に浮上する。

画像センサーやゲームなどの収益も一段と上振れする。スマートフォン(スマホ)事業では1000人強の追加削減などリストラが続くが、業績は底入れしつつある。

「止血のための構造改革は順調に進んでおり、来期以降は経営に必要な合理化を進める」。同日の記者会見で吉田憲一郎最高財務責任者(CFO)はこう話し、今期で大規模なリストラにメドがつくとの認識を示した。

来期の構造改革費用はスマホ事業で230億円を予定する。今後発生する費用を含めても今期の3350億円からは大幅に減る見通しだ。

今期は全8事業のうちスマホと映画を除いた6事業の営業損益が従来予想を上回る。前期に比べるとスマホを除く7事業の利益が改善する。

回復が顕著なのが昨年7月に分社化したテレビ関連事業だ。今期は130億円の営業黒字(前期は255億円の赤字)に転換する。固定費削減が進んだ上、高精細な「4Kテレビ」など高付加価値製品の販売が好調だ。テレビは季節要因が大きく例年1~3月に収益が悪化するが、これを踏まえても吉田CFOは11年ぶりに「黒字回復する」と自信を見せる。

世界シェア首位の画像センサーなどの電子部品や「プレイステーション4」が好調なゲームも収益のけん引役だ。特に電子部品はスマホやタブレット(多機能携帯端末)向けにセンサーの販売が伸び、部門営業利益は1000億円(従来予想は670億円)と過去最高になる。ゲームの利益も50億円の上振れになる。

音楽などのエンターテインメント部門も含めて強い事業が伸びることで連結全体の売上高見通しは前期比3%増の8兆円と、従来予想を2000億円上回る。構造改革で収益体質が改善し、売り上げの増加が増益に結びつきやすくなっている。

ただ、営業黒字額の水準は低い。今期の最終赤字も従来予想より600億円縮小するものの、1700億円と巨額だ。

ソニーは4日、業績悪化の主因であるスマホ事業で追加の人員削減を表明した。16年3月期までに計2100人を削減することになる。これに伴って来期までに約300億円の構造改革費用を計上する。

スマホ事業では新たな経営目標を公表した。18年3月期に売上高で9000億~1兆1000億円、営業利益率で3~5%を目指す。今期の1兆3200億円に比べて減収となるが、ソニー幹部は「構造改革を確実にやりきり、量を追わずに収益を優先する」と説明する。

体質改善が進み、16年3月期に業績がV字回復する期待が高まっている。メリルリンチ日本証券の片山栄一氏は「来期の営業利益目標4000億円の達成が現実的になってきた」と話す。株式市場では業績回復を見越してソニー株が買われており、1月28日には2860円の昨年来高値を付けている。』


日立製作所、東芝、パナソニック、ソニーの大手電機メーカーの中で、ソニーの回復がもっとも遅れています。

何度か本ブログ・コラムで書いていますように、日立と東芝はいち早く家電AV商品に見切りをつけて、集中と選択作業を行い、エネルギー・環境事業分野に経営の重心を移しました。

パナソニックは、日立や東芝からは出遅れましたが、巨額赤字を出していたテレビ事業に見切りをつけて、大幅な集中と選択を行いました。同時に、日立や東芝と同じように、住宅や自動車などの業務用途事業を柱にするやり方で、2014年決算から事業収益拡大を実現しつつあります。

ソニーは、パナソニックとほぼ同時期に集中と選択作業を再スタートさせましたが、まだ巨大赤字に苦しんでいます。

ソニーが苦しむ原因は、スマートフォン事業を新規成長事業の一つとしたことにあります。スマホ事業は、世界市場でみると、まだ右肩上がりの成長分野ではあります。

しかし、スマホ事業は、テレビ事業と同じように急速な汎用化・低価格が進んでおり、徹底的な差別化・差異化可能な技術やノウハウをもつ企業であるアップルやサムスンも、中国やインドメーカーからの低価格攻勢に直面しつつあります。

アップルは、独自OSであるiOSをスマホに採用しており、1社単独で独自性を出すためのノウハウや知見・専門性をもっており、一定程度の囲い込みが可能です。

サムスンは、今後とも中国やインド勢との競合激化に直面し続けることになるとみています。

このような事業環境下で、ソニーはスマホ事業を成長分野として対応し、大幅な売上減と赤字に直面しました。その結果、2014年から2015年にかけて、再度の集中と選択作業を行っています。

このことが、ソニーがパナソニックに後れを取った要因です。ソニーのテレビ事業は、2014年度に行った分社化も含めて、高画質・大画面分野への集中が成功しつつあり、営業利益を確保できるようになりつつあります。

ソニーがスマホを成長事業に位置付けなければ、今ごろ、ソニーはもっと営業利益を出せていたはずです。

大手企業にとって、大きな売上をもつ事業の集中と選択は、売上減の問題に直面します。そのことにより、なかなか短期間での集中と選択作業が出来ずにいる場合が多いのです。

その観点からみますと、ソニーのスマホ事業に対する集中と選択作業は、テレビ事業に対するものと比較すると、短期間に行っています。

それは、スマホ事業に代わる成長事業をもてることによります。CMOSイメージセンサーとプレイステーション(PS4)の両事業が、好調に拡大していることによります。

また、ソニーはインターネットを活用したエンターテインメント事業が得意です。映画や音楽配信事業、銀行、保険、プロバイダーなどの事業分野で、インターネットを活用したビジネスを行っており、何れも成功させています。

2014年にソニーは、インターネットを活用した不動産事業に参入しました。ソニーの参入はしょうしょうの驚きをもって受け取られました。

しかし、ソニーの不動産事業は、順調に伸びているようです。もともと、銀行や保険などのサービス事業でいろいろなノウハウをもっていることと、豊富な人材などの経営資源を確保していますので、この不動産事業は成功する可能性があります。

インターネットを含むデジタル革命は、企業の既存の事業枠をなくしつつあります。典型的な事例は、マイクロソフト、アップル、グーグル、アマゾンなどの米大手ITベンダーが、世界の製造委託事業者とアライアンスを組んで、パソコン、ゲーム機、スマホ、タブレット端末などの電子機器を開発・商品化して、成功させていることです。

これからの国内企業は、既存事業の枠にとらわれず、自社の強みを最大化して、他社に対して徹底的な差別化・差異化可能な技術やノウハウをもって事業展開しないと、世界市場で勝ち組になれません。

かって、IBMはパソコン事業の将来性をみて、見切りをつけて中国メーカーに事業売却しました。その後、IBMはソフトウエア事業に集中して成功しました。

IBMの2000年度決算は、売上高884億ドルのうちで、ハードウエアが42.8%を占めていました。その他では、グローバルサービス(37.5%)、ソフトウエア(14.3%)、金融・その他(5.5%)となっていました。

2013年度の決算では、売上高998億ドルのうち、一番大きいのはグローバルテクノロジーズ(ITインフラ等)で38.7%。以下、ソフトウエア(26.0%)、グローバルサービス(18.4%)、システムテクノロジーズ(データセンター、コンピューティング等)(14.4%)、金融・その他(2.5%)となります。ハードウエアは、システムテクノロジーズに含まれます。

最近、IBMの事業収益はさえない状況になっています。ソフトウエア事業は、新興ソフトウエアベンダーとの競争でかっての勢いにブレーキがかかっています。

また、サーバー事業も苦戦している状況です。最近、IBMは、永年競争力を保つためにもっていた半導体事業を売却しました。半導体が汎用化してきて、赤字状態になったことによります。

IBMは、成長事業分野として、クラウドサービスビジネスを強化しています。この分野は、グーグルやアマゾンとの激しい競争が起きていますが、人工知能型ロボット「ワトソン」を切り札にして、競争に勝つ政策を取っています。

人工知能は、グーグルやアマゾンも開発強化していますので、今後、熾烈な事業環境になっていきます。

IBMは、将来、再度稼ぐビジネスモデルの変更を迫られる可能性がありますが、当面は自社の強みを最大化できる分野に集中投資して勝ち組になれるよう事業展開します。


ソニーの場合もIBMと同じように、いったん勝ち組になるビジネスモデルを構築しても、激しい競争の結果、汎用化して収益を確保できなくなる事態が想定されます。

ソニーを含めた国内企業は、既存事業の成功体験に縛られないで、激変する事業環境下で、常に自社の強みを最大化できるようにさまざまな工夫をして、収益を維持拡大する柔軟性が必要になります。

この視点からソニーやパナソニックなどの国内家電メーカーの動きに注目していきます。これらの企業の動きは、中小企業の参考事例になります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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