日経記事;『パナソニック,中国・メキシコでテレビ生産撤退 収益重視 日本勢,リストラにめど』に関する考察 - 各種の経営コンサルティング - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:経営コンサルティング

丹多 弘一
丹多 弘一
(経営コンサルタント)
石川 雅章
(広告プランナー)
背戸土井 崇
(経営コンサルタント)

閲覧数順 2016年12月05日更新

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;『パナソニック,中国・メキシコでテレビ生産撤退 収益重視 日本勢,リストラにめど』に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 経営コンサルティング
  3. 各種の経営コンサルティング
経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

1月31日付の日経新聞に、『パナソニック,中国・メキシコでテレビ生産撤退 収益重視 日本勢,リストラにめど』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『パナソニックは中国とメキシコでテレビ生産から撤退する。中国工場の稼働を停止し、北米市場向けを生産しているメキシコ工場は今春に売却する。世界のテレビ市場では北米と中国の競争が最も激しく、収益改善に向け世界の生産体制を見直す。

北米ではソニーが人員削減を進め、東芝も自社開発・販売からの撤退を決めた。家電大手は長く業績の足を引っ張ったテレビ事業のリストラにめどをつける。

パナソニックは2015年3月期に構造改革を終えると表明しており、14年3月期まで6期連続で赤字が続くテレビ事業の収益改善が最大の懸案だった。海外生産を年70万台程度減らし、世界全体で約1割縮小する。テレビ主要5工場のうち中国とメキシコを閉め、栃木県、マレーシア、チェコの3カ所に減らす。

15年3月期の世界販売は約700万台(傘下の三洋電機ブランド分を除く)の見通し。合計1割を占める北米と中国は販売価格の下落が大きく、コスト面で対応できないため生産から撤退する。

中国では30日に生産を停止した。8割出資する合弁会社(山東省)を清算し、数百人の従業員は解雇する方針だ。年20万台規模だった自社生産分を他社からの調達に切り替え、販売は続ける。

同国でのテレビ生産はパナソニックが中国市場を開拓する原動力のひとつとなった。1978年、中国の鄧小平氏が訪日して創業者の松下幸之助氏に中国近代化への協力を要請した。これを受け87年にブラウン管の合弁工場(北京市)を設立した。ただ、最近では中国大手の台頭などもあって販売不振が続き、12年には上海市のプラズマテレビ工場の生産を停止し今回で完全撤退となる。

メキシコ工場は年50万台を生産し、主に米国の量販店に供給してきた。海外のEMS(電子機器の受託製造サービス)大手などと売却交渉を進めるとみられる。販売も一部の量販店などに絞り、損失を縮小させる。

日本、東南アジア、欧州の主要拠点は収益を確保できるとして、高精細テレビなど付加価値の高い商品を強化する。パナソニックのテレビ事業(パネルを含む)は14年3月期に465億円の赤字だった。16年3月期の黒字転換を目指す。

日本のテレビ大手ではソニーが昨年7月にテレビ事業を分社化し、北米を中心に販売要員などを削減している。東芝は29日、海外でのテレビの自社開発・販売から撤退し、北米は台湾企業にブランドを供与するライセンス事業に切り替えると発表した。シャープも欧州のテレビ生産・販売から撤退するなど、大手各社は事業損益の黒字転換や黒字基調の定着に向け構造改革を急いでいる。』


本日の記事は、パナソニックが赤字事業の一つであるテレビの最終的なリストラ策を実施することについて書いています。

国内家電事業者は、過去数年以上に渡ってテレビ事業の巨大赤字に悩まされてきました。テレビ商品は、差別化・差異化が難しい、汎用品の代表例になります。

一般的な液晶テレビは、市場に流通している汎用部品を使えば、どの製造事業者でも作れます。このため、価格競争が激しくなり、コスト競争力を維持できるメーカーのみが市場に残れる事業環境になりました。

市場価格を下げているのは、韓国・中国メーカーが中心になっています。安い労働力を駆使して、大量生産で製造コストを大幅に引き下げて、低価格商品の供給を実現しています。

国内家電事業者は、もっと早くテレビ事業に見切りをつけて、この赤字事業から早期撤退を行う必要がありましたが、なかなか実行しませんでした。

一時期、テレビは家電メーカーの顔として家電商品の中で中核的事業として位置付けられていました。また、テレビは大きな事業収益をソニー、パナソニック、東芝、シャープ、日立製作所などにもたらしていました。

当然、かってテレビ事業は各家電メーカーの大きな経営基盤の一つになっていましたし、競争力強化のために数年前まで大型投資を行っていました。

このような事情から、各家電メーカーは、韓国や中国勢との価格競争で赤字事業になっていたテレビ事業から早期撤退を出来ずに赤字状態を長く引きずってきました。

テレビのような大型事業の早期撤退は、一時的には売上機会の損失や短期的に代替事業を立ち上げるための施策検討・実施の難しさなどの課題に直面します。

しかしながら、テレビ、パソコン、スマートフォンなどの家電商品は、完全に汎用化が進んでおり、低価格商品を出し続けなければ勝ち残れない市場環境に数年前からなっていました。

国内家電事業者は、汎用化が進む事業領域からもっと早期に撤退すべきでした。巨額赤字は、人間の体に例えれば、毒と同じです。巨額赤字をもち続ければ、企業の体力を徐々に企業の体力を奪っていきます。

国内家電事業者の場合、東芝と日立はいち早くテレビ事業に見切りをつけて、積極的に集中と選択を行いましたので、他企業と比べて比較的早く構造的な赤字から抜け出しました。

この集中と選択行為が、両社の事業収益改善に貢献しています。パナソニック、シャープ、ソニーの3社は、東芝や日立に比べてテレビ事業に対する集中と選択作業に手間取りました。

この3社がテレビ事業の集中と選択作業を加速させたのは、2~3年前くらいからです。赤字状態を続けることが会社経営の根幹を揺るがすようになったためです。

会社経営の基本は、事業収益をあげることにあります。赤字状態から抜け出せない状態を確認したら、早期に集中と選択や撤退作業を行う必要があることは、自明です。

ソニーは、2014年2月にテレビ事業を分社化して、赤字状態からの脱却に道すじをつけました。現在は、収益確保ができる高画質商品などに集中して事業しています。

パナソニックも、本日の記事にあります動きを取ることで、テレビ事業の赤字対策をほぼ終了させます。

パナソニックの場合、民生用途のスマートフォン事業から撤退して、業務用途のスマホ事業に集中しています。パソコン事業も、事業用途に特化して高額商品に集中することで差別化・差異化を実現しており、国内市場で人気商品になっています。

一方、ソニーは、新規事業の柱として位置付けたスマートフォン事業で苦戦しており、赤字対策のためにいくつかの集中と選択作業を行っています。スマホ事業は、ソニーにとって経営の柱にならないことは、確実です。この商品の汎用化が世界市場で進むことによります。

現在世界市場でスマホのトップシェアをもっているサムスンも、中国勢に価格競争で負けており、売上・シェアを落としています。


パナソニックは、環境やエネルギーなどに関連した事業分野を経営の柱とすべく、方向転換しつつあります。

ソニーも、世界市場でトップシェアをもつCMOSイメージセンサーを中核にして、スマホやタブレット市場だけでなく、医療や自動車などの産業事業分野を開拓しようとしています。また、ソニーの場合、インターネットをフル活用を含めた娯楽用途(エンターテインメント市場)の事業開拓を行う動きを2014年度から活性化しています。

両社は、汎用化が起こりにくい事業分野を対象に差別化・差異化可能な技術やノウハウで、新規事業開拓をしようとしています。


さて、中小企業の場合、大手企業と異なって赤字状態を続けていると即座に倒産するリスクがあります。

従って、中小企業は、赤字状態になった場合、その解消が見通せないときは、早期に当該事業から撤退、あるいは売却などの施策を取る必要があります。

もちろん、並行して代替事業分野の早期立ち上げも行う必要があります。私は、中小企業に対して赤字事業からの撤退支援を行う場合、常に並行して新規事業立上を行う作業を行うようにしています。事業撤退も新規事業立上も、時間との戦いになります。

パナソニックやソニーの事業撤退と新規事業立上の動きは、さまざま点から中小企業の経営に参考になることが多いので、今後も注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム

このコラムに類似したコラム