日経記事;『国内ドック 16年ぶり 今治造船、円安で競争力 400億円投資』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『国内ドック 16年ぶり 今治造船、円安で競争力 400億円投資』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

1月29日付の日経新聞に、『国内ドック 16年ぶり 今治造船、円安で競争力 400億円投資』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『国内の造船最大手、今治造船は大型の建造設備(ドック)を香川県丸亀市に設ける。約400億円を投じて2016年10月に稼働する。国内の大型ドック新設は16年ぶり。

日本メーカーは2000年代に入って韓国や中国の企業に受注を奪われてきたが、円安が進んで価格競争力が回復してきたことで投資に踏み切る。円安を背景に製造業が国内生産を増やす動きが広がりつつある。

新ドックは生産拠点の一つである丸亀事業本部に設ける。全長600メートル、幅80メートルで、クレーンを3基備える。総運搬能力は3600トンと国内最大規模となる。

台湾の海運大手、エバーグリーンから受注したコンテナ船11隻を造る。船は全長400メートルで、1隻で約2万個のコンテナ(20フィート換算)と世界最大級の積載能力を持つ。受注額は計2100億円程度とみられ、18年初めに1隻目の引き渡しを予定している。

今治造船は現在、西条工場(愛媛県西条市)や広島工場(広島県三原市)で大型船を建造している。

丸亀には設計・開発拠点があり、新興国の経済成長で伸びが見込める大型船の建造需要に柔軟に応えられるようにする。

国内の大型ドックは同社が00年に西条工場に設けて以降、新設がなかった。日本メーカーの総建造量は同年、現代重工業などコスト競争力に勝る韓国メーカーに抜かれ、09年には中国にも追い越された。

13年の建造量は中国と韓国のメーカーが1~5位を占め、今治造船はグループで384万総トンと6位だった。』


本日の記事は、日本国内での構造不況業種(景気変動による不況と異なり、社会環境・経済環境などの変化や消費者ニーズの変化などにより、長期的な低迷状態にある産業・業種のこと)の一つとされている造船業界にある企業、国内の造船最大手、今治造船が新規に大型の建造設備を設置することについて書いています。

一般的に、日本の構造不況業種には造船業の他に鉄鋼業、石炭業、印刷業などが含まれています。

今治造船が新規に建造設備を設置する理由は、2008年のリーマン・ショック以降落ち込んでいた世界の造船市場が回復基調にあることによります。世界の造船市場は、2009年に3360万総トンまで落ち込みましたが、その後低価格船を中心に回復して1203年に1億総トンを超えました。

国内造船業界で今治造船に次いで2位の建造能力をもつ川崎重工業は、昨年、中国の海運最大手、中国遠洋運輸(COSCO)グループとの合弁造船所である大連中遠川崎船舶工程(遼寧省大連市)に約300億円を投資して、積載量20万トン級の大型のばら積み船やコンテナ船を建造できる設備を2017年10月に稼働させる事業を発表しています。

川崎重工業が日本国内ではなく、中国に投資するのは、中国の方が日本に比べて安い製造コストで造船できることによります。

川崎重工業のやり方は、今治造船と異なります。川崎重工業は、造船発注量は世界市場で回復しているが、価格競争が激しく建造コストが高い日本での造船設備増強に慎重という姿勢を取っていることによります。

川崎重工業のやり方は、中国の労働者賃金が毎年上昇していますが、まだ、日本の方が高いことと、その他固定費負担や税金などの点で、中国内での製造コストが日本より安いと判断したことによるとみています。

また、かって1US$=70円台の異常な円高を経験した製造事業者の中には、今の円安環境がいつまで続くかという不安感をもっている企業が多くあります。

このような中小製造事業者は、為替レートの変動によるリスク低減と、安い労働者賃金などを求めて、海外生産を強化しています。

逆に、今まで異常な円高時にも、商品力強化や技術力強化、徹底的な合理化などで輸出事業を継続してきた中小製造事業者は、現在の円安状況下で、価格競争力向上や収益拡大になっており、積極的な海外事業展開を行っています。

中には、今まで中国や韓国勢などに取られた市場を奪回しつつある中小製造事業者もいます。円高時にも国内製造にこだわった中小企業の中には、開発・製造ノウハウの海外流出を避けることを主目的にしている会社もあります。

私は、今までこのような輸出にこだわった中小製造事業者の海外販路開拓支援を、新規事業立上と並行して行ってきました。また、現在も行っています。

私の経験では、商品や技術の競争力をもっている中小製造事業者は、合理的なやり方で着実に必要なことを実行して行けば、必ず海外市場での販路開拓や集客を実現できます。

ここでは、具体的なやり方について述べませんが、そのやり方の一つとして、2014年11月に以下のセミナー(ジェトロ富山主催)を富山市や高岡市で開催しました。

・海外販路開拓のための代理店活用術(2014年11月18日(火))
・海外向け英語版Webサイトの構築とメンテナンス(2014年11月19日(水))


商品や技術の競争力をもっている中小製造事業者は、やるべきことを着実に計画・実行していけば、必ず海外販路開拓や集客に成功します。


このような視点を含めて、今治造船が構造不況業種の造船界にあって、どのように世界市場で激しい競争に打ち勝ち、輸出事業を伸ばしていくか、今後の動きに注目していきます。今治造船のやり方が、中小企業の参考事例の一つになることを期待しています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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