日経記事;『真相深層 日立「協創」モデルに活路ABBと4月に合弁会社設立 柔軟な連携,GEに対抗』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『真相深層 日立「協創」モデルに活路ABBと4月に合弁会社設立 柔軟な連携,GEに対抗』に関する考察

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経営戦略 アライアンスの事例と経営手法としての活用と課題

皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

1月24日付の日経新聞に、『真相深層 日立、「協創」モデルに活路 ABBと4月に合弁会社設立 柔軟な連携、巨艦GEに対抗』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日立製作所が4月にスイスの重電大手ABBと送電システムの合弁会社を設立する。昨年、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が独シーメンスに競り勝って仏アルストムのガスタービン事業を買収するなど、重電業界は再編の号砲が鳴った。日立は巨大化するGEにどう対抗するか。ABBとの提携からは日立の戦略が透けて見える。キーワードは「協創」だ。

朝食会の衝撃

「力ずくで市場を支配するのではなく、市場のニーズに応えることを最も重視する企業文化が似ていた」。2014年12月に開かれたABBとの合弁会社設立の記者会見。日立の中西宏明会長兼最高経営責任者(CEO)が組んだ理由を説明すると、隣に座っていたABBのウルリッヒ・シュピースホーファーCEOは大きくうなずいた。

両社提携のきっかけは4年前にさかのぼる。

11年2月、ドイツ国境に近いABBの研修施設。10年4月に社長に就任した中西氏は、社内の体制が落ち着いたことを見計らって、ABBのジョー・ホーガンCEO(当時)を訪問、同社の役員朝食会に出席した。

日立は09年3月期に製造業最大となる7873億円の連結最終赤字を計上した。復活に向けてグローバル戦略をどう進めるか思案をしていた中西氏が「ABBにとってグローバル化とは何か」とたずねると、ホーガン氏はこう答えた。「ウチの役員会に入るのにパスポートはいらない。ブロークン・イングリッシュが話せれば十分だ」

その後、2時間にわたる活発な議論に加わった中西氏は「パンを食べるのを忘れるほど衝撃を受けた」と語る。ABBのオープンな姿勢に共感した同氏は、ホーガン氏から13年9月にバトンを引き継いだシュピースホーファーCEOとも親交を深め、世界的な重電再編とは一線を画していたABBとの合弁会社設立にこぎ着けた。

「ABBとは広い範囲での協業を柔軟に検討していきたい」と中西氏は語る。対するシュピースホーファーCEOも「互いの資源を活用できるアイデアは色々出てくる」と応じる。ニーズがあれば、その分野で強みを持つ企業と手を組んでともに市場を開拓する。2人の首脳の発言からは、そんな姿勢がうかがえる。

「5年前に社長に就いた時、世界の実業界で活躍する人物と日立とのパイプが切れていたことに最も驚いた」と中西氏は振り返る。自身が国際事業担当役員時代に築いた交友関係の多くは、その後、米国で子会社トップに就いていた4年間で途切れていた。

社長就任後、中西氏は日立復活に向けてグローバル企業との関係再構築に腐心。いまや多くの経営者と電話で話せる信頼関係を築いた。GEのジェフ・イメルト会長、独シーメンスのジョー・ケーザー社長、米IBMのバージニア・ロメッティCEO、英豪資源大手リオ・ティントのサム・ウォルシュCEO、鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘董事長……。ABBの歴代トップもその中に含まれる。

人脈を土台に

こうした人脈を土台にさまざまな分野で共同歩調を取るパートナーシップを構築し、それぞれの市場で存在感を高める。

中西氏はこの日立のグローバル戦略を「協創」という造語で表現する。送配電ではABBと組んだが、原子力ではGE、火力発電では三菱重工業、製鉄機械では三菱重工とシーメンスと事業統合して連携を深める。

日立がライバルと位置づけるGEは、アルストムのガスタービン事業を完全買収した。「資本の力でがっちりと支配するのが基本戦略」(証券アナリスト)

一方、日立はGEに比べ、買収などにすぐ使うことができる現金は10分の1程度しか保有していない。資本力では圧倒的に劣るという不利を、しなやかな提携で補う構えだが、「協創」モデルはGEに対抗できるのか。

まずは発送電分離など電力システム改革が進む日本市場でABBや三菱重工などとの提携がどれだけの果実を生むのかが試金石となりそうだ。』


本日の記事は、日立製作所が行っている競合他社との連携・協業について書いています。

私の中小企業に対する経営支援メニューの中に、他社との連携・協業があります。中小企業にとって、お互いに補完しあえる他社との間で連携・協業を行うことは、極めて重要であり、必要なことであると考えています。

補完しあえる関係とは、お互いに連携・協業からメリットを得られる「Win/Win」の状況になることです。

中小企業の場合、一般的に経営資源がぜい弱ですので、例えば、製造事業者が1社単独で開発・設計・製造・販売のすべての機能を完璧にもって事業することが困難な場合があります。

このような中小企業にとって有効な経営手法の一つが、他社との連携・協業です。イコールパートナーシップの関係で、お互いにメリットがある事業や役割分担で協力して、収益拡大につながる動きをを取ります。

連携・協業の発展型の一つが、相手先企業の買収・売却(M&A)になります。以前は、M&Aの支援も積極的に行っていましたが、最近は、連携・協業の支援に力を入れています。

これは、M&Aがまとまるまでに時間と費用がかかることと、いったんM&Aを実行して、他社と組織融合を図ると、うまくいかない場合にそのトラブル解決に多くの時間と費用が発生するリスクがあります。

特に、中小企業の場合、M&Aに失敗するとその企業の命取りになることがあります。

これに対して、連携・協業は、「Win/Win」の関係が構築・維持できている間だけ、関係をもっていれば良い手軽さがあります。

いわば、連携・協業は恋人関係であり、M&Aは結婚関係になります。恋人関係をうまく作れない中小企業がM&Aを実施しても、良い成果を見いだせない事態が発生する可能性が高くなります。

M&Aの相談や支援要請がある場合、まずは連携・協業を実施することを薦めています。連携・協業をうまく行うことは、そう簡単ではありません。

連携・協業は、お互い同士が信頼関係をもって、イコールパートナーシップで、「Win/Win」の関係を構築・維持することで成り立ちます。また、収益拡大につながる具体的な成果を産み出すことも必要です。

連携・協業を巧みに行えるようになった中小企業がM&Aを行えば、私の経験則では、期待以上の成果を得られる可能性が高くなります。

中小企業が連携・協業を学びたいときに、今まで有効な事例として、自動車メーカーの動きを参考にするように薦めていました。

自動車メーカーは世界市場で激しい競争をしています。一方、環境対応を含む次世代自動車の開発・実用化には、多額の費用と長い時間を要します。

トヨタ自動車や独フォルクスワーゲンでさえ、1社単独で次世代自動車を開発・実用化することは、困難であると言われています。

このため、自動車メーカーは、片一方で激しい競争をしつつ、次世代エンジンなどでは共同開発を行う連携・協業を積極的かつ柔軟に実行しています。

本日の記事は、日立製作所という総合電機メーカーが、自動車メーカーと同じように連携・協業を巧みに行い始めたことを取り上げています。

日立は、最大の競争相手であるGEとも、原子力分野では連携・協業しています。GEも連携・協業に応じているのは、日立との間で、「Win/Win」の関係を構築・維持できることによります。

日立は、GEの資本力を背景にしたM&Aではなく、他社との連携・協業で対抗していくやり方です。連携・協業をうまく行うための条件の一つが、強者連合になります。

製造事業者の場合、お互いが差別化・差異化可能な技術やノウハウを持ち寄って、共同開発して新技術や新商品の開発・実用化を進めることが、効果的な連携・協業の一つになります。

また、中小企業の場合、開発・設計・製造・販売の機能を、それぞれの機能を得意とする企業同士で、連携・協業して成果を分かち合うやり方も増えています。

このように、連携・協業は中小企業にとって有効な経営手法の一つになります。この手法を有効に活用するには、お互いに信頼関係をもてること、隠し事をしないこと、具体的な内容ややり方を明確化できること、成果である収益拡大を確認できること、きちんとした契約書を取り交わすことなどが必要になります。

中小企業で良く起こるのが、経営者同士の信頼関係だけで連携・協業を行って、明確な成果が出ないで失敗することです。経営者の信頼関係は重要ですが、これだけでは連携・協業を行っても、具体的な成果出せないことが多くあります。

連携・協業は、あくまでも他人との関係構築になることをしっかりと自覚することが肝要です。連携・協業を続けるポイントは、「Win/Win」の関係を構築・維持することで、収益拡大につながることをいつも確認しておくことです。

「Win/Win」の関係が必要なくなれば、いつでも連携・協業を止める仕組みを契約書の中に盛り込んでおくことも重要です。

電機機器業界でも、自動車同じように、企業が連携・協業を巧みに活用して、収益拡大を実現することを期待します。

この視点から、今後の日立の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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