中国特許民事訴訟概説(第5回) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
河野特許事務所 弁理士
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中国特許民事訴訟概説(第5回)

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中国特許民事訴訟概説 ''〜中国で特許は守れるか?〜''(第5回) 
河野特許事務所 2008年9月9日
執筆者:弁理士 河野英仁、中国弁理士 張   嵩


3.再審手続きを起動する条件
(a)人民法院による再審の起動
 人民法院が内部監督として再審を起動する場合,特別な条件を規定しておらず,確かに誤りが存在し,再審をする必要があると認めれば,再審を起動することができる。
(b)人民検察院による再審の起動
 人民検察院が控訴にて再審を起動する場合,以下の四つの条件(その中の一つを満たせばよい)が規定されている:
第1: 元の判決・裁定における事実を認定するための主な証拠が不十分である場合;
第2: 元の判決・裁定における法律の適用が確かに間違った場合;
第3: 人民法院が法定の手続きに違反し,案件に対する判決や裁定の正しさに影響を与える可能性が
ある場合;
第4: 裁判員が案件を審理する際に,横領収賄,私情にとらわれて不正をはたらき,または法をゆが
めて裁判を行う状況があった場合。
4.当事者による再審請求
 当事者による不服申し立てを経て再審が請求された場合,上記四つの条件に加えて,「新たな証拠が出て,元の判決・裁定を十分に反論できる場合」(中国民事訴訟法第179 条)という条件が規定されている。ここで所謂「新たな証拠」は,元の法廷審理が終わった後に見つかった証拠のことである。
 また,和解書に対する不服によって再審請求を提出する場合は,「本和解が自由意思原則に依拠したものではない,または本和解協議の内容が法律に違反しているということを証明できる証拠」を提出することが要求される。更に,当事者が再審を請求する場合,裁判または和解書が発行されてから二年以内という時効条件を満たさなければならない。
5.再審制度の問題点
 再審制度は中国の二審終結制度を破った特例として存在している。しかし,案件に対する再審の上限回数が規定されていないため,一つの案件の審理が長期化し,当事者はなかなか最終結果を得られない場合もある。そして,人民法院または人民検察院により起動される再審では,発効判決の執行が中止される場合が多い(なお,当事者の請求により起動される再審では発効判決の中止をしない(中国民事訴訟法第178 条但書))。
 そのため裁判の結果が長期に未決の状態に陥るおそれもある。このように,再審制度は当事者に再度救済のチャンスを与える一方で,時間的・経済的に無用の消耗を招来することも事実である。
(3)地域管轄
 中国は広大であり日米企業にとってはどこで裁判をするかが非常に重要となる。できれば北京または上海等の沿岸地区で勝負したい。被告の中国企業近くの人民法院では,地元企業に有利な判決がなされるおそれもある。
 司法解釈では裁判管轄に関し以下のとおり規定している。
「権利侵害行為地または被告住所地の人民法院が管轄する。」
(最高人民法院・特許紛争案件の処理に法律を適用する問題に関する若干の規定,法釈2001 年第21 号第5条第1項)。従って被告中国企業の地方工場で製造が行われ,その製造物が北京または上海等の沿岸地区で販売及び輸出等されている場合は,侵害地である沿岸地区,または,被告中国企業の地元の人民法院のいずれかを選択して侵害訴訟を提訴することができる。

(第6回に続く)
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