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日経記事;『東芝、水素使い電力貯蔵 設置費用、蓄電池の半分 再生エネ事業者など向け』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

1月16日付の日経新聞に、『東芝、水素使い電力貯蔵 設置費用、蓄電池の半分 再生エネ事業者など向け』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東芝は水素を使い電力を大量貯蔵するシステムを2020年にも実用化する。水を電気分解していったん水素にし、必要に応じ燃料電池で酸素と反応させ電気として取り出す技術にめどをつけた。

既存の蓄電池に比べ電力を長期に大量保管しやすく、設置・運用費は半減できるという。再生可能エネルギーの発電事業者や自治体などにとって蓄電方式の選択肢が広がりそうだ。

まず1万世帯が8時間使う電力に相当する4万キロワット時を蓄えられるシステムを提供する。システムは600平方メートルほどの敷地に燃料電池や電気分解装置、水素貯蔵タンクなどを組み合わせて構成。水を電気分解して得た水素をタンクにため、燃料電池で空気中の酸素と反応させ電気を作る。

電力を熱にするなどエネルギーの形態を変えた際、元のエネルギーをどれだけ再現できるか示す「エネルギー変換効率」は東芝のシステムで8割に達する。電気でくみ上げた水を流下させて発電するダムの揚水発電の7割を上回る。

川崎市内に今春、水素貯蔵の小型実証設備を設置予定。

一般的な蓄電池のエネルギー変換効率も8割程度とされるが、大容量化には電極部材が大量に必要だ。4万キロワット時の蓄電池の設置コストは20億円近いとされる。蓄電池は自己放電するなど長期保存の課題もある。

水素を使う場合、漏出防止など安全技術を担保すればタンクの大きさの調整だけで大容量化でき、既存の蓄電池に比べ設置から運用までの総コストを半減できるという。

太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーで作った電力が電力会社の受け入れ能力を超えるとして、きめ細かい発電出力の抑制措置が15年からとられる。

再生エネの発電事業者にとって余剰分を低コストで貯蔵する仕組みを確保できれば、発電した電力を買い取ってもらえないリスクを減らせる。

ほかにも災害時の非常用電源として自治体などの利用が見込める。東芝は350キロワット時の電力を貯蔵する小型実証設備を15年春に川崎市内に設置、太陽光発電と組み合わせ公共施設の非常用電源などに活用する。再生エネとの組み合わせで、地域の電力の自給自足につながる可能性もある。

東芝は実証設備の成果に加え、水素を大量生産する技術や燃料電池の発電の高効率化で、大規模システムの実用化につなげる。』


東芝は、新規事業分野の柱の一つにエネルギー事業を位置付けています。エネルギー事業の中で、東芝の名前が最近、頻繁に新聞に掲載されていますのが、水素供給や発電に関するものです。

例えば、2014年11月13日付の日経新聞に、『東芝、水と太陽光のみで水素発電 15年度にも事業化』 のタイトルで記事が掲載されました。

これは、東芝と川崎市が水と太陽光のみで稼働する水素発電システムの共同実証試験を2015年4月に始める共同プロジェクトに関するものです。

記事によると、太陽光発電を利用して水素を電気分解で水から作り、水素貯蔵設備を組み込んで、災害時に300人の避難者に1週間分の電気と温水を供給できるようにするものです。東芝は2015年度にも事業化する方針とのこと。

このほか、2014年11月21日に、『東芝は太陽光と二酸化炭素(CO2)などから燃料をつくる次世代技術「人工光合成」で、世界最高の変換効率を達成する材料を開発した。変換効率は1.5%で、実用化に近づいた。』との記事も出ました。

この1.5%の変換効率は、植物の藻類に匹敵します。東芝は、変換効率を実用的なレベルである10%まで上げて、2020年には事業化する方針です。

この東芝による人工光合成は、パナソニックと共に大きな注目をあびています。水素は自然界には存在しませんので人工的に作る必要があります。


新エネルギー・産業技術総合開発機構は、2014年7月30日に「水素エネルギー白書」を発表しました。この白書によると、水素関連市場規模は、2030年までに日本国内で1兆円規模、2050年には8兆円規模を予測しています。

同白書は、水素供給について、現在、国内の水素供給は150億Nm3程度であり、その大半は製油所における脱硫プロセスや工場におけるボイラー等の燃料として自家消費されており、産業ガスとして外販されている水素は、2億Nm3 程度になっているとしています。

さらに、製油所の水素製造装置を用いた追加的な水素製造や、苛性ソーダ製造に伴って発生する副生水素の外販、更には追加的に導入される水素製造設備による水素製造等によって、2030 年頃の追加の供給ポテンシャルは120~180 億Nm3 程度になるとの試算を、白書は示しています。上記光合成変換も含まれています。

この120~180 億Nm3 程度の水素供給は、燃料電池自動車換算で900万~1,300万台程度とされますので、燃料電池車需要だけを考えれば、充分な量になります。

水素発電を実現しようとすると、白書は、仮に2030 年までに新設・リプレースされるLNG 火力発電に50%の水素が混合された場合(混焼)、水素需要は最大で220 億Nm3が必要になり、我が国の供給ポテンシャルを超過する可能性があるとの試算を示しています。

水素発電に関しては、資源エネルギー庁の試算によると、100万キロワットの水素専焼の発電所で1年に使う水素は燃料電池車223万台分にあたる。発電での利用が進めば量産効果で、石炭や天然ガスより割高な水素価格を下げることにつながります。

日本国内で水素発電・供給事業を軌道に乗せるには、自動車やバス・トラックなどの車用途だけでは十分な需要を確保できません。水素発電や家電・業務用途の発電・蓄電などの新規需要を創造する必要があります。

東芝は、この水素関連事業に大きな新規事業機会を見出して、積極的な投資を行っています。本日の記事にあります、水素を使った蓄電装着の開発・実用化もその一つになります。

東芝は、川崎市と共同で太陽光発電の電気を使って水から得た水素を燃料電池に送り発電する実証試験を始めています。

日本は、何度か本ブログ・コラムで述べていますように、東日本大震災後の原子力発電所停止で電力の火力依存度は9割近くなっており、化石燃料輸入額も震災前より10兆円増えて。日本の貿易赤字を起こしている主要因の一つになります。また、2013年度の日本の二酸化炭素(CO2)排出量は過去最高でした。

水素発電・供給は、日本のこの状況を変えるきっかけの一つになります。東芝などの国内企業が、日本市場で水素発電・供給のインフラ事業を実用化すれば、この成果を日本と同じように化石燃料への依存度が高く、環境問題に直面している地域・国に当該システムを輸出できます。

環境・エネルギー分野は、国内企業が世界市場で大きな強みををもっている事業の一つです。東芝などの国内企業が、水素発電・供給事業を早期に実用化して、国内市場での実証試験を加速させることを期待しています。

すでに、水素関連事業分野には、多くのベンチャー・中小企業が独自技術やノウハウをもって参入しつつあります。水素関連事業が立ち上れば、これらの企業にも大きな新規事業機会が生まれます。

この視点から、東芝、パナソニック、日立製作所などの国内企業の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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