上の歯茎が異様に出ているみたいで、笑った時に歯茎がみえてしまいます

【質問】
上の歯茎が異様に出ているみたいで、笑った時に歯茎がみえてしまいます。
普段歯を噛み合わせていると、上の唇が出っ張ていて嫌です。
自分の判断ではわからないので、今の現状や手術内容、費用など詳しくお願いします。


【回答】
笑って歯茎が丸見えな状態は、一般的にガミースマイルと言われます。
ガミースマイルは矯正治療の中でも、最も難しい部類に属します。
ガミースマイルは、上顎前歯部の歯頸部（歯槽部）が前突しているために、笑った時などに上顎の歯茎が大きく露出する状態を示す一般用語です。
ただし、このガミースマイルには、１．上顎前歯が唇側に傾斜前突しているために上顎前歯部の歯頸部（歯槽部）が前突している症例と、２．上顎前歯の傾斜前突はないが上顎前歯部の骨の厚みが大きく歯頸部（歯槽部）自身が前突している症例があります。
あなたの場合は２．のタイプと思われます。
２のタイプの方が１のタイプより難しい症例と考えられます。

このガミースマイル治療のためには、外科的な療法と矯正治療がありますが、外科的な療法をおこなうためには、矯正治療は同時に必要になります。
その他の補助的な術式には、矯正用インプラントやコルチコトミー外科療法などがあります。

（外科療法）
骨格的な異常が非常に大きい場合は、外科的な療法を併用する必要があります。
一番効果的な療法です。

（矯正治療）
大部分の症例で、ガミーと出っ歯は矯正治療である程度は治ります。
上顎全体の矯正の場合、裏側（舌側）矯正を選択する場合は、費用は基本料50～60万円、装置料0～25万円の合計となり、チエック料もいれて総額55～90万円程度になります。
装置料は装置が裏側（舌側）矯正では25万円、外側のセラミックでは8万円、金属では0円です。
ただし、下顎前歯の矯正も同時に行う必要がある場合は、上記の費用に、基本料40万円＋装置料が加算されます。

（矯正用インプラント）
矯正治療において、上顎前歯の圧下（骨の方向に歯を移動すること）と舌側への移動が必要になりますが、矯正用インプラントはこの上顎前歯の圧下と舌側移動に補助的役割をはたします。
審美補綴で用いるインプラントとは異なり、小さなスクリュー状のもので、安全です。
費用は1本につき2万円程かかります。

（コルチコトミー）
基本的に抜歯症例に適用されるこの術式は歯の周囲に皮質骨（緻密骨）から海綿状骨にまで到る溝を形成する外科処置であり、具体的には皮質骨への垂直溝形成は歯槽頂より2～3mmから海綿骨に達する深さで、根尖部を2～3mm過ぎた位置まで行います。
そうすることによって、ここでの歯牙移動は、歯牙を含んだ骨ブロックの移動になります。この術式により、矯正的歯の移動の速度が促進され、歯の移動範囲が増大し、矯正力による疼痛，歯根吸収，後戻り，歯頚部歯肉退縮等の起こる可能性を軽減させると言われています。
通常、歯を動かす期間は、歯を抜く症例で通常2年以上かかりますが、コルチコトミー（促進矯正法）を併用することによって、1年程の治療期間の短縮が期待出来ます。
したがって、メリットとしては
(1) 自家骨の増殖により骨移植は不要
(2)歯槽基底部の水平的、垂直的移動の範囲の拡大
(3)骨髄は完全に維持され、十分な血液補給が確保されるため比較的安全な手術であると言えます
(4)矯正力による疼痛、歯根吸収、後戻り、歯頚部歯肉退縮等の軽減
(5)浸潤麻酔下で行われる処置で、そして特別な器材を必要としない
(6)敏速な歯牙移動が可能等があげられます
ただし、デメリットとしては、術後歯肉退縮が起こる可能性があるので、歯肉の薄い症例、歯周病の認められる症例については施術を控えた方がよいでしょう。
費用は片顎15万円です。

いずれにしても、まず、診査・診断を慎重に行い、矯正専門医より説明を受けて下さい。
インプラントやその他の方法は、診査・診断を受けた後に決定されることになります。
そして、あなた自身が治療の限界、費用、期間を客観的に把握した上で、自分の希望にそった方法を選択することになります。
費用は外科矯正希望の場合は、保険適応となることもありますので、歯科大学病院等へお問い合わせください。

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