日経記事;『生産体制 円安で見直し』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『生産体制 円安で見直し』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

1月9日付の日経新聞に、『生産体制 円安で見直し キヤノン、国内比率5割超に 新製品原則日本で パナソニック、白物家電で検討』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『円安水準が続く為替相場を受け、企業に生産体制見直しの動きが出てきた。キヤノンは新製品の生産を原則、国内に切り替える方針。

パナソニックやシャープも国内市場向け家電製品の一部で国内生産を増やす検討に入った。世界展開する企業の多くは為替相場の変動に左右されない消費地での現地生産を基本戦略としている。生産体制の見直しにより、世界規模でのより最適な生産配分を探る。

キヤノンは2年以内をめどに現在約4割の国内生産比率を5割超に引き上げる方針だ。8日、日本経済新聞の取材に応じた御手洗冨士夫会長兼社長最高経営責任者は「製品が切り替わる機会に日本で(生産体制を)立ち上げる」と述べた。

複合機やカメラ、プリンターなど全製品を対象とし、高価格帯を中心に国内生産に切り替える。低価格の量産品は海外拠点での生産を続け、「海外の工場を閉鎖する考えはない」と御手洗氏は明言した。国内、海外ともに生産拠点を維持し、為替の変動に応じて機動的に生産配分を変更できる体制を整える。

海外生産の増加とともに現地調達が増えていた部品の一部も国内生産に切り替える考え。国内でつくっているコア部品に加え、汎用品以外の中級部品の生産も国内に移し、「日本から逆に海外に部品を供給する」(御手洗氏)。国内での新たな設備投資について、御手洗氏は「今空いているところがいっぱいになってから、3年以内にはありうる」と述べた。

足元で国内生産を増やす動きが目立つのは家電メーカーだ。

パナソニックは中国で生産する白物家電の一部機種の生産を国内に移す検討に入った。対象は電子レンジやエアコンなどの中上位機種となる見通し。海外生産比率が高いパナソニックの家電事業は対ドルで1円円安に振れると営業利益が18億円目減りする。

2015年3月期は想定為替レートを1ドル=110円としており、15年春以降に発売する白物家電の新製品の一部を神戸市や静岡県袋井市などの工場で生産する方向で準備している。

シャープも白物家電や液晶テレビの一部を国内生産に移管する方針。国内に生産を移す場合も既存の設備を活用し、新たな設備投資は計画にないという。

円安は国内生産が主体となっている造船や半導体にも追い風となる。三井造船は船舶や船舶用エンジン、港湾クレーンなどを生産する国内主要生産拠点に約170億円を投じて設備を増強することを決めた。円安などを背景に受注環境が改善していることも理由の一つだ。

半導体では東芝やソニーが国内での生産を増強する。ソニーは世界首位の画像センサーの国内2工場に15年度までに約350億円を投資し、生産能力を1割増強。円安で輸出競争力は高まっており、販売が伸びれば、一段の投資につながる可能性がある。』


本日の記事は、大手製造事業者が現在の円安状況下で海外工場での生産を日本に移したり、国内工場の生産規模を拡大するなどの動きについて書いています。

記事にありますキャノンは、ファナックや小松製作所などと同様に、もともと異常な円高時にも自動化対応などで国内工場を稼働させている実績をもっています。

このように為替レートの変動に左右されないで、国内生産体制の維持・拡張に実績のあるキャノンが、最近の円安状況下と今後の見通しを含めて検討して、国内生産の増産を決めたことは、合理的であり特段目新しいことではありません。

多くの大手国内製造事業者は、生産コスト削減のため、日本市場の需要分も含めて中国やアセアンなどの海外に生産拠点を移管しました。

円高環境下では、国内需要分を海外工場から輸入して収益確保が可能になっていましたが、円安進行で輸入コストが上昇して、収益悪化になっています。

そこで、国内需要分を中心に国内生産に切り替えはじめた動きにつながっていると考えます。為替レートや国内外での需要をみながら、最適な工場で生産する動きになっています。

大手製造事業者の生産拠点に対する基本的な考え方は、消費地市場で近いところで生産することです。特に、電気電子機器や自動車産業などでは、顕著になっています。

また、キャノン、ファナック、小松製作所などの大手製造事業者は、強い商品力を背景に価格競争力をもっているため、円高環境下では輸出価格を上げることができ、収益確保が可能になっています。

一部の電気電子機器の製造事業者は、大半の生産拠点を海外に移管したため、国内需要分に応じた輸入品のコストが上昇して収益確保が難しくなっているところもあります。

大手製造事業者の場合、先見性があり柔軟な対応ができる企業は、為替レートの変動に合わせて生産拠点間の生産規模を容易に変更・調整できます。


しかし、中小製造事業者の場合、一般的に複数の生産拠点を国内外にもって柔軟に生産規模を調整するやり方はできませんし、現実的でもありません。複数の工場を稼働させる資金や人材などの経営資源をもってなことによります。

私の支援先の中に、異常な円高時にも頑張って国内生産を行い、輸出価格を調整して(上げて)凌いだ複数の中小製造事業者がいます。

輸出価格の調整ができた理由は、高い技術力や商品力をもっていることと、顧客との契約締結時に為替レートの変動に合わせた価格調整メカニズムを盛り込んでいることによります。

高い技術力と商品力をもっていると、競合他社と差別化・差異化が可能になりますので、価格競争力を維持できます。円高になれば、輸出価格を上げて日本円ベースでの手取り金額を維持できます。

逆に、今の円安状況下では、輸出価格を下げています。このようにすれば、海外顧客との間で為替レートの変動に関係なく、お互いにメリットがある「Win/Win」の関係を構築・維持できます。

もちろん、このような価格調整メカニズムを生かすには、大前提として徹底的な差別化・差異化可能な技術やノウハウを当該中小企業がもっていることになります。

以前、海外事業展開に関するセミナーを行った際に、差別化・差異化可能な技術力や商品力をもたない中小企業は、海外販路開拓や生産を行うことができないのかとの質問が複数ありました。

私が今まで行ってきた中小企業の海外展開支援経験に基づいて、差別化・差異化可能な技術力や商品力をもたない中小企業の海外展開は失敗リスクが高いと回答しました。

アジア勢などの海外企業が競争力をもっている事業環境では、差別化・差異化可能な技術力や商品力をもたない中小企業の勝ち残りは、国内外の市場で難しくなっていることによります。


今の円安環境は、輸出事業を行っている中小企業には大きな恵みの雨であり援軍となっています。上記しましたように、輸出で収益拡大になっている中小企業には、輸出価格を調整して(下げて)顧客の期待に応えつつ、集客拡大を行ってもらっています。同時に、不要なコストの削減と合理化、人材確保・育成も積極的に行ってもらっています。

日本経済には、輸出事業の維持・拡大が不可欠です。今の円安環境は、中小企業が海外販路開拓を行って、輸出事業を拡大するには絶好の機会になっています。インターネットをフル活用して、Webサイトによる情報発信・広告宣伝やネット通販による直販体制の仕組み構築なども重要な施策になります。

私は、中小企業の輸出事業拡大支援を通じて。少しでも日本の輸出金額の増加に貢献して行きたいと考えています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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