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日経記事;『日産,電気自動車2種を投入 ハイブリッド,主力小型車に16年度にも日本勢,エコカー市場攻勢』考察

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皆様、
こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

本年もよろしくお願いいたします。

1月3日付の日経新聞に、『日産,電気自動車2種を投入 ハイブリッド,主力小型車に16年度にも日本勢,エコカー市場攻勢』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日産自動車は電気自動車(EV)とハイブリッド車(HV)の拡充に乗りだす。2016年度にもEVを2車種発売するほか、主力の小型車「ノート」にHVを加える。

世界で最も多くのEVを販売する実績を生かしてコストや性能を改善し、エコカー競争で優位に立つ狙い。14年12月にはトヨタ自動車が燃料電池車(FCV)を発売しており、日本の大手メーカーが世界のエコカー市場をけん引する。

日産は10年にEVの「リーフ」を発売した。世界での累計販売台数は15万台を超え、独フォルクスワーゲン(VW)や米テスラ・モーターズを抑えて最も多くのEVを売っている。

日産が現在販売するEVの乗用車はリーフのみ。16年度後半にもリーフの後継車と、軽自動車をベースに三菱自動車と共同開発する車種を発売する。

リーフの後継車は1回の充電で走れる距離を現行の228キロメートルから延ばすとともに、車両価格を287万円より安くする。三菱自と開発する新型車は1回の充電での走行距離は現行のリーフに比べて短いものの、価格は100万円台半ばに設定する見通しで、消費者の選択肢を増やす。

EVが200キロメートルを走るのにかかる電気代は300円程度。現状ではガソリン車が同じ距離を走るのに必要なガソリン代の約4分の1で済む。だがガソリン車が満タンで700キロメートル走れるのに対してEVはフル充電でも200キロメートル超しか走れず、価格も高めなことが課題だった。

日産は13年度の国内販売が13万5千台と、同社で最も売れている車種であるノートのHVタイプも発売する。これまで「フーガ」や「スカイライン」などの高級車を中心にHVを4車種そろえているが、普及価格帯の車種がなく、「プリウス」や「アクア」でHVを展開するトヨタに大きく後れを取っていた。

米カリフォルニア州がメーカーの販売台数の一定割合を排ガスの出ない無公害車とする、世界でも先進的な「ZEV(無公害車)規制」を導入している。ニューヨーク州なども同様の規制を取り入れる予定で世界的に排ガス規制が強化される見通し。世界の自動車大手はエコカーの品ぞろえ拡大を迫られている。

規制強化に備えて、トヨタやホンダは水しか排出しないFCVを次世代のエコカーの主力に据える見込み。日産や独VWはEVに力を入れる方針で、自動車大手で戦略に違いが出る。

日産もFCVを開発中だが、燃料となる水素を供給するスタンドの数が限られる。当面は水素に比べて充電拠点が豊富で家庭でも充電できるEVや、電池やモーターなどの既存技術が応用できるHVがエコカーの本命になると判断した。』


エコカーとは、日経新聞では「二酸化炭素(CO2)など走行中の排ガスを減らした車。ガソリン車やディーゼル車を除いた車を指すことが多い。」と書かれています。

国内自動車メーカーでは、トヨタやホンダがHV対応で先陣を切って走っています。両社とも、HVの開発・実用化の歴史は長く、他社に比べて多くのノウハウを蓄積しています。

本日の記事にありますように、米国のカリフォルニア州では、排ガスの出ない無公害車の販売数量を一定規模の割合を設定して義務付けるやり方をとっています。

これは、カリフォルニア州が米国の中でも特に環境規制が厳しいことによります。カリフォルニア大気資源局は、無公害車(zero-emission vehicles =ZEV)の普及を目指して、同州内で販売する自動車メーカーと覚書を結んでいます。

カリフォルニア州は、自動車メーカーに対して、2015年までに、7台に1台以上の割合でZEVを販売することを義務づけています。実際には、この規制値どおりにZEVを導入することは難しいため、ハイブリッド車や天然ガス車などの販売台数もZEVに準じて考慮されるようになっています。

同州のZEV規制では,電気自動車や燃料電池車などの排出ガスを出さないものを「Pure-ZEV」,ハイブリッド車や天然ガス車などを「AT-PZEV」、同州の基準であるSULEV(super ultra low emission vehicle)の保証距離を15万マイルに延長して、燃料システムから炭化水素(HC)の蒸発がない車両を「PZEV」と定義しています。

将来の無公害車は、電気自動車と燃料電池車となります。これらの自動車が普及するまで、代替車として、HVや天然ガス車が認められている構造になっています。国内自動車メーカーは、基本的にHVに集中して開発・実用化を進めています。

米国では、カリフォルニア州に加えて、ニューヨーク州も同じようなZEV規制を導入しようとしています。また、米国のカリフォルニア州、コネチカット州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ニューヨーク州、オレゴン州、ロードアイランド州、及びバーモント州の州知事が2014年5月29日に、「多数州無公害車アクション計画(Multi-State ZEV Action Plan)」を発表しました。

「多数州無公害車アクション計画」は、上記8州の州知事が2013年10月24日に調印した、2025年までに8州で合計330万台の無公害車(ZEV)を普及させることで協力するという覚書に基いて策定されたものであり、ZEV市場の拡大に向けて州政府が講じるべき11の主要アクションを説明しています。

11の主要アクションは、ZEV市場の確立;インフラストラクチャーの構築;政策や規格・基準の調整、という3つのカテゴリーに分類・整理されています。

米国の自動車市場は、将来、電気自動車や燃料電池車の無公害車が大きな割合を占めるようになる可能性があります。

国内自動車メーカーの中では、日産自動車が電気自動車を無公害車の切り札として、開発・実用化を進めています。

電気自動車の最大の課題は、航続距離の短さ克服にあります。走行距離は、搭載するリチウムイオン電池などの容量によって制約を受けています。

このため、日産や電気自動車の専業メーカーである米テスラモーターズは、リチウムイオン電池の改良に力を入れています。

もっとも、テスラモーターズの場合、最大500kmまでの前例のない航続距離を電気自動車で実現しています。日産は、航続距離の短さの克服が重要課題になっています。

無公害車の切り札が、電気自動車か燃料電池車のどちらになるか、あるいは両車が並存してくか現時点では読めません。当面は、HVが切り札になるとみています。

日産は、今、販売している自動車の競争力が落ちており、世界市場での販売数量が低迷しています。本日の記事では、日産が当面の間、無公害車の切り札となるHVの開発・実用化を急ぐ理由は、ここにあります。

ライバル企業であるトヨタやホンダは、HVおよび燃料電池車の開発・実用化で先行しており、日産が主力車にHVを加えないと、競合他社の競争に負ける可能性が高くなります。

トヨタやホンダは、もし、将来無公害車の主力が電気自動車になっても、HVの開発・実用化で蓄積した技術やノウハウを転用すれば、当該自動車の商品化に大きな課題をもちません。

日産が今回、HVを主力車に加える決断をしたのは、トヨタやホンダとの競争に打ち勝つと共に、当面の無公害車の切り札であるHVによって収益確保を図るためとみています。

日産も、すでに電気自動車を扱っていますので、HVの開発・実用化に対して大きな課題はないとみています。HVの積極的投入で、短期的な収益確保は図れるとみます。

日産にとって最大の課題は、燃料電池車が無公害車の切り札となった場合の対応能力にあります。トヨタやホンダは、長い年月と多額の投資を行って、燃料電池車の開発・実用化を進めてきました。

トヨタの燃料電池車、2014年に導入しました「MIRAI」は多くの顧客から2~3年先までの受注を受けています。世間の関心が高いことによります。

水素ステーションの設置と燃料電池車の販売価格低減が進めば、燃料電池車が次世代無公害車の切り札となる可能性が高くなります。

日産は、燃料電池車の開発・実用化について、ルノー、フォード、ダイムラーと提携・協業しています。この提携・協業で、日産が燃料電池車の開発・実用化に成功しないと、収益基盤は大きく揺らぐ可能性があります。

日産が今後世界市場で勝ち組になるために展開する事業のやり方は、競合他社に売上や技術面などで不利な状況にある中小企業が勝ち残るための参考事例になる可能性があります。

この観点から、日産の今後の対応について注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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