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日経記事;『三菱重工、造船を分社 LNG船、再編にらむ 防衛は本体に』に関する考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

12月23日付の日経新聞に、『三菱重工、造船を分社 LNG船、再編にらむ 防衛は本体に』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『三菱重工業は造船事業を2015年度中にも分社する検討に入った。需要拡大が見込める液化天然ガス(LNG)船などを本体から切り離し、民間用船舶に特化した新会社を設立する。

防衛向け艦艇などは本体に残す。同社の造船事業は中韓勢との競争激化や、大型客船の設計変更などで多額の損失が発生するなど苦戦している。新会社は造船専業大手との連携も進める考えで再編の呼び水になる可能性もある。

分社の対象となるのは長崎造船所(長崎市)で手掛けるLNG船や液化石油ガス(LPG)船など。これらを同造船所の香焼地区に、防衛向けの艦艇は同・立神地区に集約、香焼地区を分社する。同地区の約1千人の従業員の雇用は維持する。

三菱重工の造船事業の売上高は全体で2500億円規模。このうちLNG船やばら積み船、コンテナ船などの売上高は約1千億円。価格競争の激しいばら積み船などの受注はやめる。

分社化で設立する新会社は国内最大手の今治造船(愛媛県今治市)や、低コスト生産が強みの大島造船所(長崎県西海市)など専業大手と生産や設計などの連携を探る。

船の部材となる船体ブロックの製造を手掛ける別会社を設け、今治や大島などへの出資要請も検討する。建造中の大型客船や、下関造船所(山口県)の資源探査船、フェリーは本体で続ける。


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三菱重工業が創業の地である長崎造船所(長崎市)で造船事業の改革に取り組む背景には、圧倒的な規模を誇る中韓勢の攻勢がある。

日本勢は建造量で世界シェア5割を超していたが、中韓勢に押され2013年は2割に低迷した。今回の分社化を契機に三菱重工は専業大手の今治造船や大島造船所などとの連携を進める考えで、コスト削減など生産効率化で生き残りを狙う。

三菱重工はこれまでも、ばら積み船や石油タンカーなどで中韓の造船メーカーと価格競争になるのを避けるため、付加価値のある船へのシフトで収益改善を目指してきた。

12年に神戸造船所(神戸市)でコンテナ船や自動車運搬船から撤退したのもその一つだ。大型客船も中韓勢が現状では手掛けられない船であったが、船主からの度重なる内装などの仕様変更という誤算が生じ、1000億円もの特別損失を計上する事態となった。

そこで三菱重工が検討するのが分社による他社との連携強化だ。足元では円安が進むなど受注環境が改善、日本の多くの造船所が数年先までの仕事量を確保しているが、世界的な需給ギャップは依然として残っている。

業界では13年にIHIとJFEホールディングスそれぞれの傘下の造船会社が統合しジャパンマリンユナイテッドが発足。14年は名村造船所が佐世保重工業を完全子会社化した。

三菱重工は技術力に定評があるが13年の建造量では国内9位。グループの建造量で同社の8倍の規模を誇る国内最大手の今治造船や、生産効率の高い大島造船所との連携を強化すれば中韓勢に対抗できる勢力になる可能性も大きい」』


日本の造船業界は、市場規模や成長性をみると、現時点では事業展開する企業数がまだ多いとの印象をもっています。もちろん、今までに多くの中小・中堅造船メーカーは、廃業や他社との統廃合を行っており、企業数自体は減少してきています。

国内造船会社の世界市場でのシェアは、20%にとどまります。かっては、50%くらいの世界シェアをもっていましたが、中国や韓国メーカーにシェアを奪われました。

中韓勢に市場を奪われた状況は、家電のAV機器業界と同じです。国内メーカーは、高い技術やノウハウをもっていても、同程度の性能・機能・仕様などをもったより低価格商品を中韓勢に売られれば、消費者は海外商品を買います。

国内造船業界も家電AV機器と同じ事業環境に置かれています。高い技術やノウハウをもっていても、低価格商品に市場を奪われる状況です。

現在、円安状況下になっていますので、造船会社の採算性は向上しています。しかし、為替レートは、常に動いていますので、将来、再び円高になり、採算性を直撃する可能性があります。

従って、円高になる前に、今の円安環境を生かして、一気に国内造船業界の競争力を高めることが重要とみています。

今回、造船業界では大手でない三菱重工業が、防衛用途を除く造船事業を分社化する動きをみせています。

三菱重工業が造船事業を分社化すると、以下のメリットが想定できます。

・造船事業に特化する企業体になるので、意思決定のスピードが速くなる。
・一般的に企業規模が小さくなるので、本社費用も含めた固定費負担が軽くなる。
・造船事業に特化することで、よりエッジの効いた技術;商品開発がやりやすくなる。
・他の造船専業メーカーとの事業連携・協業をより柔軟、かつ、大胆にやりやすくなる。など

現在、国内で事業している造船会社は、それぞれ固有の差別化・差異化可能な技術やノウハウをもっています。お互いの強みを補完・強化できる仕組みができれば、国内造船業界は息を吹き返す可能性があります。

記事にありますように、国内造船業界が世界市場のシェアを30%に上げるには、個別企業の事業活動だけでは、限界があります。

今回の三菱重工業による造船事業の分社化が引き金になって、今治造船、大島造船所、ジャパンマリンユナイテッドなどの国内造船会社が、資本提携も含めて大胆な事業連携・協業の検討を行うことを期待しています。

中韓勢が世界市場で強いのは、高い受注量に基づく造船コストの圧縮による低価格化の実現です。造船コストを下げるには、受注量を増やす必要があります。

日本は、周りを海に取り巻かれた海洋国家であり、貿易立国です。日本にとって造船事業は、自動車事業と同じように国の経済や貿易を支える重要産業の一つです。

この視点から国内造船業界は、コスト競争力を高めてオールジャパン体制で当該事業の再構築を行う時期にきています。上記しましたように、円安は実行するのに絶好の環境です。

国内造船業界が世界市場で30%以上のシェアを奪還するためには、国内企業による「強者連合」を作る必要があります。

弱い企業同士が作る「弱者連合」では、世界市場の勝ち組になれません。国内造船会社が自社の強みを出し合って、補完・強化できる「強者連合」を形成して、中韓勢との価格競争に打ち勝つことが極めて重要になります。

三菱重工業の場合、例えば2013年4月に今治造船と液化天然ガス(LNG)運搬船の共同受注会社を設立しました。これは、共同受注によるスケールメリットを出して、コスト競争力を高めることを目的としています。

国内自動車業界は、世界市場の勝ち組になるために、お互いに競争しながら、巧みに事業連携・協業を行うことで、開発コスト圧縮や生産コスト削減、販売体制の強化などを柔軟に行っています。

国内造船業界が世界市場で勝ち組になるためには、自動車業界と同じように巧みな事業連携・協業を実行することが必要であり、重要になります。

私は、ときどき複数の中小企業の事業基盤を強くするため、事業連携・協業の実現・実行の支援を行います。そのときにポイントとなるのは、お互いの強みを最大限に補完・強化できる仕組み作りです。

この仕組み作りができない場合は、事業連携・協業を行いません。「強者連合」を作れないことによります。

中小企業の社長には、自動車業界の柔軟な事業連携・協業のやり方を学んでもらいます。良い事例を手本にすることで、「強者連合」の基本形を学べることによります。

今後の国内造船業界の事業連携・協業の動きに注目していきます。国内造船業界が自動車業界と同じように、中小企業の手本の一つになることを期待しています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


 

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