日経記事;『東南ア賃金、中国に迫る 2~3割上昇 進出企業の負担増、生産移転に影響も』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;『東南ア賃金、中国に迫る 2~3割上昇 進出企業の負担増、生産移転に影響も』に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. 海外展開
経営戦略 海外展開

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

12月21日付の日経新聞に、『東南ア賃金、中国に迫る 2~3割上昇 進出企業の負担増、生産移転に影響も』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日本企業の生産移転が続く東南アジア各国で労働者の賃金が急上昇している。2015年の月額最低賃金はインドネシア、ベトナム、カンボジアで前年比2~3割上がる。

一部の国では中国の主要都市の8~9割の水準に達する。低賃金を求めて中国から東南アジアに拠点を移してきた日本企業にとってコスト上昇要因となり、対応を迫られる。

1990年代から低賃金を求めて日本企業などは、中国に生産拠点を構えてきたが、中国の主要都市ではここ4~5年で最低賃金が1.5~1.6倍になった。コスト上昇に直面した企業は中国以外に新たな工場立地を探る「チャイナ・プラスワン」戦略を進め、東南アジアに生産を移転してきた。

だが、ここに来て東南アジアの一部で中国以上に賃上げが加速している。翌年の最低賃金水準は年末にかけて決める国が多い。これまでに明らかになった15年の上昇率は国別ではカンボジアが28%で最も高い。

インドネシアの15年の主要都市の最低賃金は最大で2割強伸び、円換算で約2万7000円と北京や工場集積地である広州など中国主要都市の約9割の水準になる見通しだ。10年比では2.6倍にもなる。

インドネシアでは首都圏以外にも賃上げが波及。15年に第2の都市スラバヤの最低賃金が初めてジャカルタを超える。低賃金を求めてスラバヤ周辺にはヤクルト、味の素など50以上の日本企業が進出したが、縫製業など労働集約型産業では撤退の動きもある。

そのほかの国でも上昇は急だ。ベトナムの最低賃金は10年比で2.3倍になる。カンボジアはわずか2年で2倍超に跳ね上がる。ベトナム、カンボジアの賃金水準は中国の半分程度だが、今の賃上げペースでは5年ほどで追いつく計算だ。

背景には、経済成長に伴い、賃上げを求める低所得層の政府に対する圧力が強まっていることがある。ベトナムの15年の賃上げ率は約15%と物価上昇率(4%程度)を大幅に上回る。

日本の産業界は上昇を10%以下に抑えるようグエン・タン・ズン首相に要請していたが、認められなかった。

カンボジアでは最低賃金引き上げを公約に掲げた政党が選挙で大勝し、賃上げ率が約3割に決まった。同国は労働集約型の衣料品が輸出の6割を占め、ユニクロの協力工場も進出している。

賃上げの加速は企業のコスト管理や事業計画を左右し、戦略の見直しを迫られる。一方で、賃上げにより生活水準が向上し、中間層が育てば、日本企業にとって市場が拡大するという側面もある。』


アセアン地域の賃金上昇は、毎年二桁上昇し続けることは織り込み済みで考える必要があります。少なくとも、私が国内の製造事業者からアセアン地域への工場建設や自社の販売会社設立に関して相談を受けたときには、そのような前提でアドバイスしてきました。

特に、繊維や皮革、鋳造、機械加工などの労働集約型産業の場合、工場経営は労働者賃金の絶対額に左右されますので、低賃金な労働力確保が必要になります。

数年前までは、アセアン地域では、インドネシアやベトナムが最適地でした。しかし、両国の労働者賃金は、毎年二桁で上昇しており、近い将来には適正地域ではなくなります。

特に、インドネシアは、国策として、政権安定化のために労働者保護を前面に打ち出しており、労働集約型製造業は、事業継続の難しさを強めています。

現在、そのような労働集約型製造事業の適正地域は、バングラデシュ、ミャンマー、カンボジアなどになりつつあります。

アセアンやアジア地域で工場建設の場所を探す場合、労働集約型製造では、上記しましたように労働者賃金が重要な指標の一つになります。

しかし、労働集約型製造といえども、最適な工場建設の場所選定は、労働者賃金に加えて従業員の勤務態度、真面目さ、勤勉さ、手先の器用さなども重要な要因になります。

例えば、ベトナムは労働者賃金の二桁上昇が続いていますが、真面目で素直な国民性、手先の器用さ、親日的などのことから国内製造事業者の関心が最も高い国になっています。

労働集約型製造の場合、あと5年位は事業継続ができるとみています。5年後には、ミャンマー、カンボジアなどのアセアン諸国か、バングラデシュなどに製造拠点を確保する必要が出てくる可能性があります。


アセアンは、2015年に経済統合を行います。幾つかの施策が検討されていますが、まず手始めに行われるものは、域内の関税撤廃か可能な限り低い率になることです。

アセアン域内の関税撤廃と大幅な引き下げが実施されますと、域内のどこで作っても物流コストを除けば、同じ土俵で販売できる競争環境になります。

現在のアセアン地域内では、タイが最も大きな消費者市場になっています。日系企業が約50年間に渡って継続的に投資し続けた結果、バンコク周辺で事業しています日系企業数は、登録ベースで約8000社とされています。

タイでは、バンコク周辺の工業団地に電気・電子機器、自動車などの産業を中心に大きな産業集積が進み、東京都の大田区などと同じように6次下請けまで進出している状況になっているところがあります。

昨年来、タイでは政治状況が不安定になり、軍事政権成立前後で若干経済状態が不活性化しています。

しかし。以前としてバンコク周辺の失業率は、基本的にゼロに近い状態になっています。12月にバンコクに出張した際、都市部を中心に市民生活や日系企業の事業環境を見て回りましたが、特に経済的問題に直面していることはありませんでした。

多少経済状況が不活性化しているので、現地従業員の離職率が低くなったとのコメントも複数の日系企業から聞きました。

タイでは、15歳から64歳までの生産年齢人口が、ピークを迎えつつあります。しかも、ほぼ失業率ゼロに近い状態ですら、必然的にこの生産年齢人口層、つまり中間所得層が大きな消費者市場を形成しています。

生産年齢人口層の絶対数と所得水準の向上で、現時点ではタイがアセアン地域内の大消費地になっています。

また、タイは2015年1月から、現在の投資優遇制度(BOI)を大幅に見直します。現在のBOIでは、製造事業者であれば、なんでもBOIの対象になりますが、最近発表された新優遇策をみますと、適用業種は制限されます。

少なくとも、今後のタイは、一般的な製造事業者が新規に工場建設の投資を適する国ではありません。タイの中間所得層を対象にした、サービス、流通、飲食などの事業者が中心になって、新規投資を行う国であると実感しています。

現在、ベトナムとインドネシアが第2のタイを目指して、盛んに外資導入を図っています。両国がタイと同じように、生産年齢人口層の所得水準が向上すれば、大きな消費者市場になることは確実です。

しかし、物流インフラなどのことを勘案すると、私見ですが、インドネシアのジャカルタは、バンコクより20年くらい遅れているとの印象をもっています。

現在、上記しましたように、多くの中小製造事業者がベトナム、ハノイ、ホーチミン、ダナンなどの都市部周辺への投資に大きな関心をもって、事業性検証などを行っています。

私が、これらの中小企業からベトナムを含めたアセアン地域への投資や事業展開などについて、相談や支援の依頼を受けたときには、各国およびアセアン全体の状況や今後の展開などに関する情報を徹底的に収集して、分析してから行動計画を立てて確実に実行することをアドバイスしています。

日系中小企業が工場展開に加えて、海外市場・販路開拓を考える場合、アセアンをその最重要地域の一つとして扱うことは、極めて合理的です。

アセアンや周辺国の最新状況や今後の見通しなどについて、細心の注意を払って理解しておくことが重要なやり方の一つになります。

他社の動きをみて、すぐに行動を起こしたがる中小企業経営者をときどき見かけますが、短絡的な投資や事業展開のやり方は、失敗リスクが高くなると理解することが必要であり、重要になります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 


 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム