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日経記事;『日立、ABBと合弁 日本で送配電事業 電力改革需要取り込み』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

12月16日付の日経新聞に、『日立、ABBと合弁 日本で送配電事業 電力改革需要取り込み』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日立製作所とスイスの重電大手ABBが高効率の送電分野の合弁会社を日本に設立する方向で最終調整に入った。電力小売りの完全自由化や発送電分離など電力システム改革で日本の送配電の設備需要は大きく増える見通し。

米ゼネラル・エレクトリック(GE)など、海外の重電大手も新規需要を狙っており、日立とABBは提携関係を築くことで国内電力会社からの受注獲得を優位に進める。

合弁会社は日立が過半を出資し、経営トップも派遣する見通し。ABBは変電・変圧所、送電網の建設から管理までに強みを持つ世界大手。日立は国内の電力会社向けの実績が豊富であるほか、高効率の高圧送電分野で国内首位。両社の先端技術を融合し、日本の電力市場開拓を加速する。

電力システム改革に伴い、地域を越えた電力融通が増えるのは確実だ。合弁会社は地域間を高効率で安定的に電力融通できる高圧送電設備の開発や販売を中心に手掛ける見通し。ロスの少ない高効率の送配電システムの提供で、電力料金の引き下げ競争が進む可能性がある。

日本では、2016年に電力小売りが全面自由化されるほか、18年にも電力会社から送配電部門を切り離して別会社にする「発送電分離」が実施される見通し。両社の電力制御や送配電技術を駆使して次世代送電網(スマートグリッド)の構築などを電力会社に提案することも視野に入れる。

世界の送配電システム市場は13年で約18兆円で、火力や原子力などの発電システム市場に近い規模があるとされる。世界経済の成長やスマートグリッドの普及によって、20年には約30兆円まで成長する見通しだ。

日立はITとインフラの両方の技術を持つ優位性を生かして、発電から送配電まで一貫して手掛けられる体制を強化する。日立の送配電事業の売上高は13年度で700億円。20年度には2000億円まで引き上げる目標を掲げており、ABBとの提携をテコにして高い成長を目指す。

重電業界では4月にGEがアルストムに対してエネルギー事業の買収を提案。GEはガスタービン事業の完全買収に加え、送配電や原子力、再生可能エネルギーの合弁会社設立で合意した。

世界的な再編を通じて巨大化した海外大手が電力改革で生まれる需要を狙い、日本での受注獲得に意欲を見せている。

日立はABBと組むことで技術をさらに高め、日本でのシェア拡大を狙う海外重電大手を迎え撃つ。』


日立製作所は、東芝と並んで国内電機機メーカーの中でいち早く、集中と選択作業を推し進めて、収益確保・拡大を可能にする経営体質の変化に成功しました。

日立と東芝は、共に、新規成長分野として、エネルギー環境事業を柱の一つにしています。この点では、日立と東芝は、両社とも国内メーカーの雄として国内および海外市場で激しく競合しています。

世界市場をみますと、米GE、独シーメンス、スイスABB、蘭フィリップスなどの欧米大手企業が、アセアンや中国などですでに事業展開しており、先行しています。

日立と東芝が世界市場で勝ち組みになるには、これら上記の欧米大手企業と激しく競合して勝つ必要があります。

欧米大手企業は、世界市場で長年培った長い経験、ノウハウ、強固なブランドや販売体制などをもっており、一朝一夕に勝てる相手ではありません。

さて、この世界市場で最近、激震がありました。GEが2014年6月に、仏アルストムのガス・蒸気タービンなどアルストムのエネルギー資産の大半を買収することになりました。

本日の日経記事にありますように、GEの年間売上は、17兆2300億円であり、アルストムの年間売上は2兆9800億円で、合計しますと約20兆越えの巨大企業になります。この売上は、2位の独シーメンスの2倍になります。

ちなみに、日立の年間売上は9兆6200億円、東芝の年間売上は6兆5000億円です。

このGEの買収行為は、他の欧米大手企業にも大きな影響を与えています。GEがより積極的に日本を含む世界の各地域で事業展開することで、競合より一層激しくなることによります。

日本では、電力発電、送電、売電の各事業が、今後、順次大幅に自由化されていきます。2016年に電力小売りが全面自由化されるほか、2018年にも電力会社から送配電部門を切り離して別会社にする「発送電分離」が実施される見通しとなっています。

東芝は、この動きを見越して、本ブログ・コラムで取り上げましたように、2011年にスマートメーターの世界企業であるスイスのLandis + Gyr社(L+G社)を2011年に買収しました。

日立と東芝などの国内メーカーは、電力自由化の動きに合わせて、国内市場で発電・送電・売電の事業分野でメインプレーヤーになる必要があります。

これは、日立と東芝などの国内メーカーが国内市場で電力関連事業の開発・実用化を通じて、多くの技術やノウハウを蓄積することが必要になることによります。

国内市場で実証試験を行って、蓄積した技術やノウハウをフル活用して、世界市場で戦わないと欧米大手企業との激しい競争に勝てないからです。

GEやシーメンスなどの欧米大手企業は、日本市場に注目しており、積極的に参入しようとしています。

日立と東芝などの国内メーカーがGEやシーメンスなどの欧米大手企業と競合するときに、補完関係が成立して、お互いの強みを最大化できる「Win/Win」関係を構築できる相手があれば、積極的に連携・協業を行うことは極めて有効なやり方です。

また、GE以外の欧米大手企業も、GEへの対抗策として、国内メーカーとの連携・協業はメリットが確認できれば積極的に応じます。

日立とABBの連携・協業は、GEへの対抗と国内市場開拓の目的で、実行されると理解しています。ひたちなかABBの年間売上を合計すると、約14兆5000億円超になります。売上や事業規模の観点から、GEと十分競争できます。

日立は、ABBとの連携・協業を通じて、相手先のノウハウや強みを合理的な範囲で積極的に吸収することを期待します。

この吸収したノウハウなどが、自社の強みをさらに倍加することになります。

日立と東芝などの国内メーカーが国内の電力市場で、勝ち組になると共に、一刻も早く世界市場で、新規受注できる状況になることを期待しています。

日立、東芝、三菱重工業などの国内メーカーが、スマートグリッドなどのITを駆使した電力事業を展開しますと、関連する多くの中小企業にとっても、国内だけでなく世界市場で事業できる新規事業機会が生まれます。

この視点から、日立、東芝、三菱重工業などの国内メーカーの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

 

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