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日経記事;『トヨタ、燃料電池車増産へ200億円 国内2工場に 生産能力3倍 VWは20年にも投入』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

12月6日付の日経新聞に、『トヨタ、燃料電池車増産へ200億円 国内2工場に 生産能力3倍 VWは20年にも投入』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『トヨタ自動車は燃料電池車(FCV)「ミライ」の年産能力を2015年末に現在の3倍に引き上げる。国内2工場に200億円程度投資する。国内での引き合いが強いほか、米国などへの輸出にあてるため、増産体制を早期に整える。独フォルクスワーゲン(VW)も20年にも日米欧で投入する。世界2強の増産や参入でFCVの普及期が早まりそうだ。

現在、トヨタのFCVの年産能力は700台。走行時に二酸化炭素(CO2)を一切出さないため、企業や官公庁などから注文が相次いでいる。販売店によると15日の発売までに年産能力を超える受注が見込まれ、「納期を確定できない状況」(トヨタ幹部)になっている。

15年夏から始める米欧への輸出のための台数も確保する必要がある。特に米カリフォルニア州では販売台数の一定割合を排ガスの出ない車とするZEV規制があり、トヨタもこれに対応するためミライの販売を伸ばす計画を立てている。

現状の生産能力では日米の需要に応じることが難しくなっている。このため、トヨタは水素と酸素の化学反応で動力源となる電気を起こす「燃料電池スタック」と、水素を貯蔵するタンクを本社工場(愛知県豊田市)で増産する。15年末までにさらに2ラインを加えて年産能力を3倍に増やす。車両を組み立てる元町工場(同)も設備増強する。

ミライは国内では15年末までに400台の販売を計画。米国では17年末までに累計3千台以上、欧州では16年ごろに年50~100台の販売を見込む。米国を最大の市場と位置づけ、輸出台数も増やしていく。

トヨタに次ぐ世界2位のVWは20年にもFCVを日本を始め、世界で発売する。今までVWはエンジンを小型化し排ガスを減らす「ダウンサイジング車」をエコカー開発の軸に据えてきた。しかし、先進各国の環境規制の強化に対応するため、FCV開発を加速する。

スタックを自前で開発、フル充填した場合の航続距離を500キロメートルとしている。VWは日本は水素ステーションの増設が早いペースで進むとみており、今後、投入車種や価格などを詰める。

FCVを巡っては、ホンダが5人乗りのセダンを15年度中に発売する計画だ。FCVの共同開発で米ゼネラル・モーターズ(GM)と提携、開発コストを負担し合い安価にFCVを提供できるようにする。日産自動車も資本業務提携している独ダイムラーや、米フォード・モーターと17年にも市販する計画だ。

今回のトヨタのFCV増産で水素ステーションや燃料電池など国内関連メーカーの投資意欲も高まりそうだ。デロイトトーマツコンサルティングによると、FCV関連の国内での経済波及効果は30年には4兆4000億円に達するとしている。』


本日の記事によると、トヨタ自動車は、先日発表しました燃料電池車(MIRAI)の年産能力を2015年末に現在の3倍に引き上げるとのこと。

燃料電池車は、CO2などの有害物質を出さない究極のエコカーと言われていますので、環境対応のために、官公庁や大手企業を中心に受注が活性化しているようです。

燃料電池車の生産・販売台数が増えれば、量産効果で販売価格も下がることになりますので、政府から当面の間、補助金が出ればハイブリッド車並みの価格での購入が可能になります。

トヨタ自動車のトヨタ社長は、12月4日に燃料電池車と水素インフラの関係は「花とミツバチ」であり、水素自動車の普及のために、水素ステーション設置に協力して欲しいとのメッセージを出しています。

現時点では、水素ステーションの日本国内での設置個所は、2015年末で30~40とのことであり、まだまだ少ないのが実情です。

水素ステーション設置の課題は、割高な建設費や各種の規制です。

日本政策投資銀行の試算によると、ステーションに必要となる水素の圧縮機は欧州では8千万円程度が一般的なのに対し、国産の水素ステーションでは1億3千万円を要します。

さらに、圧縮した水素を保管するタンクは欧州1千万円に対して国産6千万円で、コスト増大の要因となっているとのこと。

また、日本の安全基準は、欧州より厳格であり、1カ所当たりの建設費は全体で4~5億円で、ガソリンスタンド建設費の4~5倍となっています。

高圧ガス保安法に基づき、燃料ディスペンサー(補給器)と公道との距離は6メートル以上と定められており、4メートル以上のガソリンスタンドよりも広い敷地面積を求められていました。

しかし、経産省は11月20日に高圧ガス保安法の省令を改正し、液化水素を使うステーションの安全基準を整備すると発表しました。

従来は基準がなく、設置が難しかったことによります。今回の改正で、液化水素の貯槽から火気を取り扱う施設との間であけなければならない距離は従来の8メートルから2メートルに縮まる
ことになります。さらに、従来は認めていなかったプラスチック製の器具の使用も認めるとしています。

この改正で、水素ステーション設置コストの削減と都市部での設置も可能になります。さらなる政府による水素ステーション設置に関する規制緩和が進むことを期待します。

さて、燃料電池車に関してビジネスの側面でとらえますと、いくつかの新しい動きが出つつあります。

その一つが本日の記事にあります、世界第2位の自動車メーカーであるVWが、日本市場で燃料電池車の販売を開始します。

国内市場では、トヨタ、ホンダ、VWの3社が燃料電池車の販売を行いますので、競争が起こり技術革新が加速されます。

また、国内市場で燃料電池車の開発・実用化が進むと、実証試験を行うことになりますので、日本で蓄積されたノウハウややり方が、海外市場で事実上の標準(デファクトスタンダード)になる可能性があります。

この視点から、VWの国内市場参入は大いに歓迎します。

燃料電池車のさらなる普及のためには、乗用車以外のバスやトラックも水素を使うことが重要になります。

11月24日付の日経新聞に、独ダイムラーは2020年をメドに日本で燃料電池バスの販売を始めるとの記事が掲載されました。日野自動車も、2016年から燃料電池バスの販売を開始するとのこと。

バスやトラックは、現在、燃料に軽油を使っていますので、すべてのバスやトラックが燃料電池車になりますと、CO2排出削減に大きく貢献します。

燃料電池バスやトラックは、現行のディーゼルエンジン車に比べて静粛性も優れていますので、都市部での騒音対策にも貢献します。

ダイムラーは水素が満タンの状態で150~200キロメートル走るバスを開発。20年の東京五輪に合わせて、東京都などの自治体やバス会社に売り込むとのこと。

これに触発されて、日野自動車などの国内勢が高性能の燃料電池バスの開発・実用化を加速化させることを期待します。

日野は16年に首都圏で燃料電池バスを先行販売する。定員は80人規模で、航続距離は200~300キロメートル。1回の充填でほぼ1日運行できる。日野といすゞ自動車が折半出資するジェイ・バス(石川県小松市)で生産する見通しだ。初年度は10台程度の販売を見込む、とされます。

2020年に燃料電池バスやトラックが都内を走れば、公害と騒音問題が解消する方向になります。

このように、国内で、自動車、バス、トラックの燃料電池車化の開発・実用化・実証試験が進むと、海外市場特に米国の環境先進地域であるカリフォルニア州で大きな新規事業機会が見込まれます。

カリフォルニア州の場合、独自の自動車の環境規制「ZEV(Zero Emission Vehicle)=無公害車)規制」を定めています。

自動車各社は排ガスを出さない電気自動車(EV)や燃料電池車などのエコカーを一定比率以上販売することを求められています。

日経記事によると、現在対象になっているのは同州で年6万台以上を販売しているトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、クライスラーの6ブランドです。

これが2018年からは中規模ブランドにも対象が拡大し、マツダや富士重工業、独フォルクスワーゲン(VW)など8ブランドが新たに追加されるとされます。

さらに、規制地域も市場規模が大きいニューヨーク州やマサチューセッツ州など10州近くに拡大する見通しとなっています。

今米国では、シェールオイルの自国内共有でガソリン価格が下がっており、低燃費のSUV車が売れていますが、中期的観点からは、HV、EV、燃料電池車などの環境対応車に対する需要が増えていくとみます。特に、燃料電池車やEVに対して一定の需要が見込めます。

国内で燃料電池車の開発・実用化・実証試験を進めて、その成果をもとに米国や欧州市場開拓を行うことは、大いに意義があります。

燃料電池車を含めた自動車産業のすそ野は広く、素材、部品、デバイス、ソフトウエアなど多方面にわたって大きな新規事業機会を生みます。例えば、燃料電池の技術革新も加速して、国内メーカーの技術的優位性を確保・強化することにつながります。

政府には、さらなる規制緩和と産業が立ち上るまでの一定の助成を期待します。

すでに多くの関連ベンチャーや中小企業が燃料電池車周辺の事業領域で活発に動いています。

今後の燃料電池車の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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