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日経記事;『ベトナム、縫製の好適地 TPPにらみ集積、輸出2兆円 伊藤忠などは生地工場』に関する考察

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皆様、

こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

11月22日付の日経新聞に、 『ベトナム、縫製の好適地 TPPにらみ集積、輸出2兆円 伊藤忠などは生地工場』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『コストに敏感な縫製産業が東南アジアで最適な立地を探っている。進出が相次ぐのがベトナムだ。米国に無関税で輸出できる環太平洋経済連携協定(TPP)の締結を視野に、伊藤忠商事などが相次ぎ工場を立ち上げている。

衣類輸出額は4年で2兆円規模に倍増した。アジアの新興国では人件費の低いミャンマーが存在感を増す一方、カンボジアは低下気味だ。人件費、税金、インフラ――。どこでつくるべきか、立地選びの条件は複雑になっている。

スマートシャツの生産量は昨年に比べて3割増えた (ベトナム・ナムディン省)

ベトナム・ナムディン省にあるスマートシャツ(香港)の縫製工場。度重なる人員増強で作業机はぎゅうぎゅう詰めだ。3000人超の人海戦術で1枚の布が瞬く間にワイシャツに仕上がる。

「ベトナムに工場をつくって正解だった」。生産部門幹部の余志偉氏はうれしい悲鳴を上げる。取引先は日米欧の10を超える有名衣料ブランドだ。米国からの受注が膨らみ、足元の生産量は1日2万4000枚と2013年から3割増えた。

米向け3割増

理由はTPP。発効すれば、世界最大の衣類輸入国である米国で20%近い関税が撤廃され、安く供給できる。これを見据え、米企業がベトナムの工場に殺到している。米国商工会議所によると、米国への縫製品輸出額は14年に前年比3割増の98億ドル(1兆1500億円)に達する見通しだ。

隣接地では伊藤忠が7月、現地企業などと

紡績・生地工場を稼働し、スマートシャツに供給している。TPPの恩恵を受けるには糸や生地も現地でつくる必要がある。

「人件費は周辺国より高いが輸出競争力は数年先行できる」。現地で繊維事業を統括する伊藤忠の森田洋氏は話す。韓国・京紡や中国・天虹紡織集団も巨大工場を立ち上げた。

ベトナムは欧州連合(EU)と近く自由貿易協定(FTA)を締結する見通しで、欧州からの引き合いも増えている。衣類輸出額が中国に次ぐアジア2位のバングラデシュはTシャツなどが多いのに対し、ベトナムは中高級品に注力する。14年の衣類輸出額は200億ドルを超える見通しで、バングラデシュの8割近い規模に迫りそうだ。

中国の賃金上昇で工場移転先を探す「チャイナ+1」の特需に沸くのはベトナムだけではない。

「30~40社が政府の認可を待っている」。ミャンマーのアパレル関係者は明かす。海外から生産を受託できる縫製工場は同国に300前後あるとされ、韓国や香港の大手企業も進出を検討中だ。

ミャンマーの13年度衣類輸出額は前年度比3割増の9億ドル弱で12年ぶりの高水準。14年度も過去最高を更新する勢い。物流や電気などのインフラ整備が不十分で輸出規模は小さいが、中国の6分の1、ベトナムの半分という人件費の低さに企業は将来性を見いだす。

輸出先の3~4割を日本が占めるが、今後は欧米向けが伸びそうだ。民主化の進展で禁輸措置を緩和しており、米ギャップや英マークス&スペンサーなど衣料品販売大手が委託生産を決めた。

カンボジア低調

風向きが変わったのがカンボジアだ。2、3年前の工場進出ラッシュからほどなく労働者が賃上げを要求。政府は13年に最低賃金を月61ドルから80ドルにし、さらに18年に倍増する方針だ。それでも不満な労働者と治安部隊が1月に衝突し、死者が出る事態となった。

同国縫製業協会のケン・ルー事務局長は「工場を持つ中韓企業は他国でも生産しており、賃金上昇で撤退を考え始めた」と漏らす。現地企業に生産委託を始めた丸紅の酒井宏プノンペン事務所副所長は「賃金上昇を吸収できるほど生産効率が上がらず、低コストとはいえない」と明かす。

賃金水準やFTA、インフラなど競争条件が短期間で変わり「5年後にどこが有利かは分からない」。アジア・アパレルものづくりネットワーク(岐阜市)の小島正憲代表理事は指摘する。生産を委託する側、受託する側とも、変化に即応できる体制が必要になる。』


昨年後半以降、私の支援先も含めて国内メーカーのベトナムに対する関心が急激に高まっています。要因は以下の通りです。

・中国からの工場移管を目指す動き「チャイナ+1」
・タイでの新規工場立ち上げの困難さ(賃金上昇と失業率が0.4%位とほとんど新規雇用が難しいなどの要因による)
・政治/社会的安定性の高さ
・道路/港湾/電力供給などの社会インフラの整備促進
・賃金水準がタイに比べて低いインドネシアなどと比べると賃金上昇率が低い
・従業員の勤務態度が真面目で学習意欲が高い
・政府の積極的な投資受け入れ政策
・ASEAN域内での関税撤廃あるいは関税引き下げの動き
・TPP実現の可能性
・親日的であること、など

2013年ころまでは、ASEAN域内で国内メーカーの関心が最も高かった国は、タイでした。日本企業は今まで約50年間、電気電子機器や自動車を中心に継続して投資続けてきました。

その結果、バンコク周辺の工業団地には、多くの日系企業が進出して、日本と同じような5次あるいは6次くらいまでの下請け構造が出来上がりました。

タイでの15歳から64歳までの生産年齢人口は、そろそろ天井に近づきつつあります。また、上記しましたように、失業率がほとんどゼロになりつつあります。タイの労働者賃金も上昇を続けていることと、離職率も高くなっています。

さらに、タイ政府は2015年初頭から投資優遇制度(BOI)を見直し、医療、環境、バイオ、ITなどの高度産業分野に特化して適用する施策を明確化しています。

このように、タイは一般的な製造事業者にとって工場建設のような新規投資対象地域ではなくなりつつあり、所得水準が向上した中間所得層を狙った消費者市場としての魅力が高まっています。

また、ASEANは2015年から域内関税撤廃あるいは関税引き下げを行って、域内生産品の自由な流通網を確保しようとしています。

これは、域内貿易を活性化して、ASEAN全体の経済規模を上昇させる効果を狙っています。この施策が実現しますと、物流コストを除けば、どこで生産しても域内に自由に低コストで流通できることになります。

このような経済・市場状況化では、例えば、ベトナムやインドネシアなどに工場を作って、タイで販売するビジネスモデルを容易に構築・実現できます。

ベトナム政府は、ASEAN域内で第二のタイを目指して、投資優遇策を活用して積極的に外資導入を図っています。

もちろんベトナムは、中国と同じように社会主義国ですので、タイやインドネシアなどと同じような自由な経済活動ができない不自由さは多少あります。ベトナム政府の官僚からわいろを要求されることもあります。

ベトナムの政治体制は、中国と比べて緩やかなものになっています。また、中国と決定的に異なるのは、親日であることです。

中国では賃金上昇が続いており、また、本日の記事にあります繊維のような労働集約的な産業では、労働者確保が難しくなっています。

結果として、上記中国からベトナムへの工場移管を目指す動き「チャイナ+1」の動きが活性化していることは周知の事実になっています。

上記しました状況から、ベトナムが国内企業の新規投資受け入れ先として関心が高いと同時に、多くの企業が投資や工場移管をハノイ周辺、ホーチミン周辺、ダナンなどの地域で実行しています。

しかしながら、ベトナムでも将来労働者賃金がさらに上昇し、失業率が低くなると、離職率の上昇や労働者確保の困難さなどの課題も出てくる可能性があります。

新規にベトナムに投資する国内企業は、進出一辺倒の考え方を変えて、事業環境が変化すればどのように対応するか、進出実施前から周到な事業計画を作成しておき、撤退基準も明確化することが重要であり、必要になります。

ASEANおよびインドやバングラデシュなどの周辺地域は、急速に変化していますので、これらの地域への投資や進出は、事前に十分な情報収集と分析、販路開拓などの事前実施を含めた行動計画となる事業計画作成が非常に重要になります。

私にASEANなどへの進出や投資などの相談あるいは支援を要請する中小企業に対しては、必ず上記のことをアドバイスして、同意が得られる会社のみを支援するようにしています。

そのようにしている理由は、私の経験則から、この方法が中小企業の海外進出リスクを低くさせることによります。

これから新規に海外進出する中小企業は、表面的な情報のみを信じないで、自ら汗をかいて上記のことを確実に行うことが、非常に大事です。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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