- 大塚 嘉一
- 菊地総合法律事務所 代表弁護士
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
ジャケットが出来たとブルックスブラザーズのショップから連絡がありました。立ち寄って、例の濃いブルーの紙袋に入れてもらい、受け取ってきました。
弁護士業務中の服装は、スーツがほとんどで、ジャケットを着ることはまずありません。たまの機会にブレザーを着るくらいです。
私が、お洒落に目覚めたのは、司法試験の受験生の時代。受験生仲間に、お洒落な女性がいました。それまで、ファッションには、興味も関心もなかった私ですが、彼女がお洒落であることだけは分かりました。鬱陶しい梅雨を吹き飛ばすかのような彼女のレインコートの鮮やかな黄色が、眼に焼き付いた瞬間を、昨日のことのように思い出します。
早速、大学の近くの古書店街に行き、定番の男性ファッション誌(メンズクラブですね。)のバックナンバー数年分に目を通しました。そして、ファッションについての数々の決まり事や、流行などについて、知識を得ました。
何か新しい課題が与えられると、纏まった知見を得るまで、関連する書籍を読み込む。これは、私が、大学受験のときから、弁護士をやっている現在まで、変わらない私のスタイルです。
ブルックスブラザーズの薀蓄も、その方式で、知りました。上着は、伝統的な三つボタン段返り。そしてそのナチュラルショルダー、ボックス型の胴回りは、ぽっちゃり体型の私をやさしく包んでくれるのでした。
弁護士になってからも、ブルックスのスーツが、必ず、ワードローブに途切れることなくありました。何年前からか、その三つボタン段返りのモデルが、既製服のラインナップから外れています。成り立ちからして、そもそも吊るしが売りものだったはずのブルックスを、簡易式とはいえ、オーダーで買うというのも、ちょっと変な気持ちですが、やむをえません。
この冬は、久しぶりに、ジャケットでも羽織ってみようかと思い立ったのです。注文と、あいなりました。
持ち帰った紙袋を開けると、私の頭の中で30年以上もスタイルを変えずにいるヘリンボーンのツイードのジャケットが、そこにあります。
私が注文したから出来たはずなのに、まるで、それが、私に命じて自分を作らせたのかようにそこに存在しています。
「頑固な奴」。「お前もな」。激しくも、親しみに裏打された、そんな言葉が飛び交いました。
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- 大塚 嘉一
- (弁護士)
- 菊地総合法律事務所 代表弁護士
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