- 国府谷 明彦
- カウンセリングセンター聴心館 聴心館館長
- 東京都
- 厚生労働省認定 産業カウンセラー
《聴心館》【心の炎・散歩路 No.8】精神疾患のお話・その2。
精神疾患のお話の2回目。前回は環境面からの話でしたが,精神疾患の要素として忘れてならないもうひとつの側面があります。遺伝的側面・DNAからのお話です。
遺伝と言うことでよく出てくるのが統合失調症です。統合失調症の方のお話を聞いていると,「兄や姉が統合失調症だった」とか,「父が統合失調症」「父方の祖母が精神分裂(統合失調症)だった」という話が良く出てきます。何らかの遺伝的要素が働いているようですね。
でも,ご相談にきたご本人は統合失調症ではないが,「姉が統合失調症」というケースがあります。恐らく,DNA的には何かをもらい受けてはいるのだと思いますが,発症はしていない。ということは,遺伝的な要素だけでは発症しないと言うことなのでしょうね。
私が思うに,遺伝要素に過酷な環境要素が重なって,統合失調症は発症するのだと思うのです。遺伝要素のない人がそうした過酷な環境要素にあっても発症はしない。でも,何か被害妄想的な性格を帯びてくるようにも感じています。逆に,遺伝要素があっても過酷な環境要素がなければ,同じように発症しない。ここでも,被害妄想的な性格は出てくるように思います。
精神医学では,「氏か育ちか」(遺伝か環境か)という議論が,かつてはなされていたそうです。でも,どちらも必要というのが,現在の精神医学の見解です。
ほかの精神疾患についても,同じように感じます。うつの人が「完璧主義」だったりしますが,よくよく効いてみると「母方の祖母がものすごく神経質な人だったらしい」といったことがよくあります。
この遺伝要素やDNAについては,脳神経科学の方面からかなりアプローチされていますので,その研究成果を待ちたいと思います。
ではまた。
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