日経記事;『伊藤忠、上海に通販拠点 特区活用、日本製品配送早く タイ財閥と組む』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『伊藤忠、上海に通販拠点 特区活用、日本製品配送早く タイ財閥と組む』に関する考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

11月2日付の日経新聞に、『伊藤忠、上海に通販拠点 特区活用、日本製品配送早く タイ財閥と組む』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『伊藤忠商事はタイの華僑財閥チャロン・ポカパン(CP)グループと組み、中国で日本製品を対象とするインターネット通販事業に参入する。貿易手続きの簡素化などを進める上海の規制改革特区を活用することで、個人輸入に比べ納期が短く低価格にできる点を生かす。

米アマゾン・ドット・コムも同様の仕組みでの参入を表明しており、急拡大が続く中国のネット通販市場の争奪戦が一段と激しくなりそうだ。

上海市政府が「中国(上海)自由貿易試験区」の目玉事業の一つとして伊藤忠などを誘致。2日に伊藤忠とCPグループのほか、携帯電話事業最大手の中国移動、保険大手の中国平安保険、上海市傘下の投資会社が事業提携や協力に関する覚書(MOU)を結ぶ。

CPの中国事業を統括する「正大集団」を筆頭株主として新会社を設立し、来年にも事業を始める考えだ。詳細は今後詰める。

新会社は伊藤忠を通じ、日本のブランド品や衣料品のほか、中国で人気がある日本製の粉ミルクや紙おむつなどの生活用品を販売する。商品の多様化へ、アパレルなどほかの日本企業の事業参加も呼びかける。

商品は試験区の保税倉庫に保管し、注文に応じ輸入手続きをする。関税などの税金は大幅に少なくて済むという。定番品は上海市の正大集団の商業施設の店舗でも陳列し実物を手にとった上で買える仕組みもつくる。

中国では日本など外国製品の人気が高いが、現在は代行業者に頼る個人輸入が主流で偽物も多く、手に入るまで1カ月程度かかることがある。新方式では数日で済むうえ、商品によって個人輸入に比べ3割程度安くなる。すべて「本物」であることを保証し、商品の信頼性をアピールする。

中国のネット通販市場規模は今年、前年比約5割増の50兆円弱に達する見通し。ただ、従来は中国国内で流通する商品の販売が主流で、外国製品は少なかった。

伊藤忠は7月、中国指導部と太いパイプを持つ華僑のタニン・チャラワノン会長が率いるCPグループと資本提携した。タニン氏は上海市政府の経済顧問を務めており、提携効果が表れた形だ。

今回の事業は習近平国家主席らの意向も働いたとされる。日中関係の冷え込みが続くなか、指導部肝煎りの改革に日本企業が関わる政治的意味は大きい。中国には日本からの対中投資の呼び水にしたいとの思惑もある。』


中国やアセアンを含むアジア地域では、スマホやタブレット型端末機器の急速普及が進んでいます。特に、中国やインド製の安価なスマホが数多く使用されるようになっています。

スマホの急速普及は、アジア地域にインターネットプラットフォームを短時間に構築する効果を生み出しています。

スマホの急速普及により、インターネット通販事業が伸びています。中国やアセアン地域では、15歳から64歳までの生産年齢人口層の数と産業集積により所得水準が高まった結果、巨大な中間所得層が形成されつつあります。

ここ2~3年で、アジア地域から日本への観光客数が急増しています。この観光客数の中核を占めるのが、上記中間所得層です。

中国やアセアンでは、品質が良く高い安全性と信頼性が担保されている日本商品に対する潜在需要は、非常に高いものがあります。

大都市では、いくつものショッピングモールがあり、その中の店舗で日本商品が数多く売られています。

しかし、取扱商品の数や品種は、限られていることがあり、欲しいものが直ぐ買える状況になっていないことがあります。

そのような時に、顧客に重宝されるのがインターネット通販です。すでに中国やアセアンでは、国内あるいは域内でネット通販が活発に利用されています。

いわゆる国をまたがる越境ネット通販事業には、国内あるいは域内取引にはない固有の課題や問題が発生します。

例えば、経済産業省「平成25年度日アセアン越境電子商取引に関する調査」(2014年5月)によると、「関税負担」、「配送期間」、「配送料負担」が顧客側の不安や不便さの上位を占めます。

また、日本国内企業固有の課題として、Webサイトの言語の問題があります。要は、国内でネット通販事業を行っている事業者のサイト言語が日本語中心であり、アセアン地域の人たちが理解できないことです。

本調査結果によると、調査対象であるASEAN主要5か国;シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナムの合計額でみると、対象5ヵ国から越境EC(電子商取引;ネット通販)購入額が一番多い国は米国の80.9億円、次いで中国の60.7億円となっています。

日本に対しては34.7億円の越境ECの利用がありますので、ざっくりいますと、対日本へのネット通販の購入額は、米国や中国の半分になります。

日本に対するネット通販事業の規模が、米国や中国向けネット通販事業の半分以下になる主要因の一つは、Webサイトで使われる言語にあります。

アセアンには多くの華僑が住んでいますので、中国語に問題ありません。米国企業の場合、サイト言語は英語になりますので、中国語ほどでないにしても英語版のWebサイトの内容は理解できます。

アセアン地域にネット通販事業を拡大したい事業者は、少なくとも英語もしくは中国語版のWebサイトを構築・維持する必要があります。

これは、BtoC、BtoB共通の課題です。

その他の課題としては、上記しましたように、「関税負担」、「配送期間」、「配送料負担」が顧客側の大きな不満や負担になります。

国内中小企業が単独でこれらの課題解決を行うことは、難しい状況にあります。この視点からみますと、本日の記事にあります伊藤忠がタイや中国資本と組んで、経済特区に指定された上海で、上記するこれらの課題を解決しようとする取組みは、大きな意義があります。

国内企業中小企業が、米アマゾンなどの米大手ITベンダーの仕組を利用せずに、中国やアセアン地域にネット通販事業を拡大できれば、国内ネット通販事業関連事業者にとっても大きな新規事業機会を獲得することになります。

経済産業省「平成25年度日アセアン越境電子商取引に関する調査」(2014年5月)によると、日本商品では、「衣料、アクセサリー」「生活家電」「PC、通信機器、周辺機器」の人気が高いとのこと。

日本企業がネット通販の仕組を利用して、より安価にこれらの人気商品を中国やアセアン地域の中間所得層に届けられれば大きな事業機会になることは確実です。

楽天やヤマト運輸などの海外進出を加速させている国内ネット通販関連事業者が、伊藤忠などの大手商社などと組んで、日本企業がより安価にかつ容易に中国やアセアン地域の顧客に国内商品を輸出できる仕組み作りすることを期待します。

アセアンは、2015年度に関税撤廃を行う方向で動いています。短期的な実現は難しいにしても、大きな障壁の低下に動いています。

これを機に国内ネット通販関連企業が連携して、より使い勝手の良いネット通販の仕組み作りを
アセアン地域で実現することが、顧客・国内企業の双方にとってもメリットがあり、お互いに収益拡大につながることになります。

中国では、上海のような経済特区が広がって、伊藤忠のような取り組みが成功することを期待します。今後の展開に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

 

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