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日経記事;『復調電機、インフラで稼ぐ パナソニックなど通期上方修正 ソニー、構造改革遅れ』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

11月1日付の日経新聞に、『復調電機、インフラで稼ぐ パナソニックなど通期上方修正 ソニー、構造改革遅れ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『電機大手8社の2014年4~9月期連結決算が31日に出そろい、パナソニックや日立製作所などが大幅増益となった。15年3月期通期は3社が営業最高益を見込み、全体的な復調の傾向がはっきり見えてきた中で、ソニーの苦戦が目立つ。大きな差がついたのは、構造改革の進捗と稼ぐ分野の見極め具合の違いにある。

決算発表するパナソニックの津賀社長。

最初の決算発表ピークとなったこの日は、東証上場企業の2割近い375社が業績を開示した。2けたを超える増益の企業が全体の約4割ある一方で、落ち込みが2けた以上の企業も約2割あり、好調と不調がはっきり分かれている。電機8社は二極化が進む今回の決算を象徴している。

パナソニックや日立などはまず、構造改革で事業の取捨選択を一通り終え、前向きのシナリオを描きやすくなった点で共通する。主力事業が、市況変動が激しく損益も振れやすい個人向け商品ではなく、インフラ関連などのBtoBに移ってきたのも特徴だ。

パナソニックの場合、不振だったプラズマテレビ撤退や半導体工場売却などを進めた効果で、今期に営業赤字になる事業部は43のうちの5(全体の12%)と、13年3月期(88のうち26、同30%)から大きく減る。

並行して住宅用の太陽電池や車載機器、電子部品実装機など法人向けビジネスに力を入れており、車載機器を含む部門は45%増益を見込む。「今期の営業利益率の5%達成が視野に入ってきた」(津賀一宏社長)

日立も中国の昇降機や英国の鉄道など社会インフラ事業で6割増益、三菱電機は生産設備の自動化機器などの部門が3割近い増益になりそうだ。

これら2つの面で大きく後れをとったのがソニーだ。過去10年間で約9000億円の構造改革費用を計上したが、エレキ分野で計3000億円の赤字を垂れ流した。圧倒的な価格競争力で攻めてくる中国・韓国メーカーの前にシェアが低下し、損益も悪化する悪い流れを断ち切れない。

再建の屋台骨であるスマートフォン(スマホ)も早々と失速した。中国専用機種の開発を中止するなど追加策を打っていくほか、合理化が必要な部分が残っており「追加の構造改革の可能性もある」(吉田憲一郎・最高財務責任者)という。

グラフは04年3月期から13年3月期までの各社の10年分の営業利益の平均を100として、前期と今期の利益水準を指数で表したものだ。業績拡大から金融危機後の急激な悪化、その後の回復局面を経て、収益環境が平時に戻った足元でむしろ勢いの差が鮮明に出ていることが分かる。

同日決算発表したシャープは、中小型液晶で稼ぐ体制は整ってきたが、4~9月期の連結営業利益は292億円と前年同期比14%減った。高橋興三社長は「(会社の)筋肉質化は進めている。年間で取り返すため全員が緊張感を持たないといけない」と話す。合理化で利益を出す状態からの出口に向かう途上だ。

電機はIT(情報技術)バブル崩壊後は8社のうち6社、金融危機後は4社が営業赤字になるなど、もともと世界的な景気変動に弱い。だが抜本的なリストラで稼げる事業構成に組み立て直したところは、多少の景気変調に見舞われても収益基盤が揺らぎにくくなっている。業績格差の要因が「景気」から「経営」へと変わりつつある。』


本日の記事は、国内電機機器メーカーの2014年期に関する決算発表について書いています。予想通り、ソニーを除く各社は、収益改善傾向が出ています。

特に、何度か本ブログ・コラムで取り上げました日立製作所と東芝は、国内メーカーの中でいち早く家電事業の赤字対策を行いながら、環境・エネルギー・社会インフラなどの非BtoC事業であるBtoBにかじを切ったことが、急激な収益改善の結果として表れています。

集中と選択後発組の中では、パナソニックが赤字家電の合理化を集中的に行って止血をしながら、住宅や自動車などの分野での新規事業立上を積極的に行うことで、収益改善を図りつつあります。

パナソニックは、ソニーとほぼ同時期に集中と選択作業を再スタートしました。パナソニックがソニーに先行して集中と選択作業の成果を生みつつあります。

パナソニックが集中と選択に成功しつつある要因の一つは、赤字事業を明確に合理化しつつ、BtoB分野を中心に新規事業立上を軌道にのせつつあることです。

AV家電は、国内電機機器メーカーにとって、もはや果実を期待できる事業分野ではありません。確かに、スマートフォン(スマホ)市場は拡大していますが、同時に急激な汎用化が進んで価格競争に陥っています。

スマホ事業の開拓者であるアップルでさえ、iPhone6で気を吐いていますが、本当にこの新型スマホが売れているのは、米国と日本くらいなものです。

他の国々では、それほどアップルに対して熱烈なファンは少なく、中国やインドなどの低価格スマホの販売が主流になっています。

スマホは、世界市場でみると、テレビと同じような汎用化が進んで価格競争になっていることは確実です。

ソニーは、このスマホ事業を経営の柱の一つとしたために、世界市場で価格競争に巻き込まれています。テレビで直面したことと、同じことをスマホで経験しています。

家電事業は、世界市場で大量に売る商品は、確実に汎用化が進んで価格競争になることと理解すべきです。これは、パソコンが持ち込んだ水平分業型ビジネスモデルにより、部品やデバイス、ソフトウエアを入手できれば、誰でも簡単に商品開発・製造ができる状況になっていることによります。

家電分野では、真に革新的なエンターテインメント性をもった商品しか勝ち残れません。その市場創造企業でも、競合他社の急激な追い上げに直面して、市場で事業拡大できない状況になることもあります。今のアップルが置かれている状況がその例になります。

ソニーが引き続き家電AV事業を柱の一つとして事業していくなら、自ら画期的な商品やサービスを開発・実用化しないと世界市場で勝ち残れません。

他の国内電機機器メーカーが、事実上家電AV事業から撤退したのは、汎用化が進んで価格競争になっている業界に見切りをつけたことによります。

もう一つ家電AV業界には、米大手ITベンダーの動きが影響を与えています。アップルを除けば、グーグル、アマゾンなどの米大手ITベンダーは、スマホやタブレット端末をインターネットの出口として捉えています。

基本的には、グーグルやアマゾンなどの米大手ITベンダーは、安い出口端末を世界市場で拡販し、インターネットプラットフォーム上で稼ぐビジネスモデルを展開して、収益拡大を実現することになります。

このような、スマホの事業環境下で、ソニーが勝ち組になることは、極めて困難です。

ソニーは、コンソール型のゲーム機器で、PS4を出しました。極めて高い評価を得ています。ソニーは、このように他企業を圧倒する商品開発力をもっています。

ソニーは、自社の競争力を発揮できる事業分野で、圧倒的な勝ち組になることが必要であり、重要になります。現在の家電AV事業には、そのようなフロンティア事業が残っているかどうか疑問があります。

エンターテインメント用ロボットは、残されたフロンティア市場の一つなる可能性があります。当然、普及型商品は、汎用化が進んで価格競争になりますが、インターネット、ソフトウエアや応用範囲などの多様化などで、付加価値をつけられれば、ハードウエアだけでなく、その上で動くもので収益拡大をはかれる可能性があります。

ソニーは、インターネットを活用したビジネス展開に長けています。もし、今後も家電AV事業でビジネスをするのであれば、ITをフル活用した総合的なビジネスモデルで収益拡大を図る必要があります。

ポイントは、ソニーにとってそのような可能性を見つけられるかどうかです。他の電機機器メーカーが家電AV事業に見切りをつけたことも含めて、どのような事業展開をしていくのか注目していきます。

中小企業にとって、日立、東芝、パナソニックなどの大手電機機器メーカーが集中と選択を行って、収益拡大を実現しつつあることは、とても良い参考事例になります。

その良い参考事例の中に、ソニーが早く仲間入りすることを期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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