- 平 仁
- ABC税理士法人 税理士
- 東京都
- 税理士
対象:会計・経理
男性プロが参加した団体競技は実に残念な結果に終わってしまいました。
采配ミスや選考ミスが敗因として取りざたされているようですが、
ふと思ったのが、ずいぶん古い本ですが、
野村監督の「敵は我に在り」です。
本書は、1982年に書かれた、いわゆる幻の名著で、
今年の3月、ワニ文庫から復刻されました。
本書下巻261ページ以下に、昭和57年の日本シリーズを素材に、
何が判断基準になるのか、を検討した節があります。
「中日の敗戦のあとを振り返ってみると、「どんな方針で臨んだのか」
という答えが、何も出てきません。野球を含め、組織の運営には、
確固とした方針が必要です。野球の場合にも、ペナントレースなら
130試合の、プレーオフなら5試合の、日本シリーズなら7試合の、
それぞれ「勝つための基本方針」があるでしょう。
西武・広岡監督は、はっきりした方針を貫いていたが、中日・
近藤監督には、それが見られなかったのです。短期決戦は、
長期レース以上に投手起用が重要になります。それを知っていたか
どうかが、このシリーズの分岐点となりました。」(263ページ)
「考えてみると、近藤監督は、その種の「軌道修正」ばかり
つづけていたようです。シリーズをこう戦う、こうして勝つ
という強い意志は見られなかった。
「方針」が出てこないまま終わっていました。
これでは、チームは結集されません。逆に選手が動揺するばかりでしょう。
ペナントレースのような長丁場でもいえますが、とくにシリーズのような
短期決戦では、開幕前に勝負は7割がた決まるものです。
このシリーズを、どう戦うか。選手を「洗脳」し、「教育」し、「訓練」
する。そして、確固とした「方針」が打ち出されるべきです。それが、
「勝つ」という唯一の目的に向かって選手を集結させる原点となるのです。」
(264ページ)
どこか、今回の星野Jの結果を予見するような文章に
愕然とする思いで読み返しました。
本書は、旧版の時代から、ID野球のバイブルの1冊としてだけではなく、
人材育成のバイブルとしても活用されていたように思います。
このタイミングだからこそ、また読み返してみてはいかがでしょう。