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日経記事;『再生エネ政策,仕切り直し 高値買取裏目 事業者急増,家庭負担1000円試算 4電力受入制限』考察

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皆様、

おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月1日付の日経新聞に、『再生エネ政策、仕切り直し 高値買い取り裏目 事業者急増、家庭負担1000円の試算 4電力が受け入れ制限』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『太陽光や風力発電など再生可能エネルギーの普及政策が、仕切り直しを迫られている。2012年に太陽光などの電力を電力会社が高値で買い取る制度を始めたが、再生エネの事業者が急増して受け入れきれないためだ。

わずか2年で行き詰まり、4電力が30日に新規の買い取り契約を当面停止すると表明した。再生エネを増やすには送電インフラなどの投資が必要で、電力を使う家庭や企業のコスト負担も増す。

「今回は苦渋の決断」。30日、福岡市内の本社で記者会見した九州電力の瓜生道明社長は、表情を曇らせた。日照量が多い九州では再生エネの事業者が多く参入し、太陽光での電力の買い取り申し込みが殺到した。このまま受け入れれば、再生エネの導入量は同地域のピーク時の電力需要を上回る規模になるという。

北海道電力や東北電力、四国電力も30日、再生エネの新規の買い取り契約を当面停止すると表明した。停止するのは企業が対象で、送電網への影響が小さい家庭での再生エネの発電はこれまで通り買い入れる。

太陽光発電は夏の日中に発電量が大きく増えるが、冬場や悪天候時は急減する。再生エネを買い取る電力会社にとっては域内の電力量が不安定になり「設備故障や大規模停電といったリスクも高まる」(電力会社幹部)。ただ「電力会社の送電網が不足して買い取りが困難になることは経済産業省もわかっていたはず」と金融機関の関係者は制度設計の甘さを指摘する。

政府は12年7月に再生エネを高値で買い取ることを電力会社に義務付ける「固定価格買い取り制度」を始めた。東日本大震災後、それまで電源の3割弱を占めていた原子力発電所が一斉に停止したため、代替として地球温暖化ガスの排出抑制につながる再生エネに期待が集まった。

特に太陽光は設備を導入しやすく、企業などが大規模発電所をつくった。制度開始後2年で、経産省が認定した再生エネの設備の容量は7178万キロワットと、原発70基分に相当する。

経産省は近く専門家会合を設けて制度の見直しに着手する。再生エネの電力を全国の各電力会社が横で融通し合ったり、再生エネを受け入れる地域の送電網を強化したりする策を検討する。いずれも送電インフラへの投資が欠かせず、全国で数兆円規模が必要になるとの見方がある。

もともと再生エネを買い取る原資は電気料金に上乗せしている。経産省が30日示した試算では、このまま再生エネ導入が続けば一般家庭の1カ月当たりの負担はいまの225円から935円まで増える。送電網を強化すれば投資費用が電気料金に上乗せされる可能性もあり、負担は増す。

固定価格買い取り制度で先行する欧州では、同様の問題がいち早く表面化した。電源に占める再生エネの比率が2割を超えるドイツは、買い取り制度による家庭負担が毎月2000円を超えたため、買い取る価格を引き下げたり、買い取り量に上限を設けたりした。

経産省も送電網強化に加え、買い取り制度そのものの見直しに着手する方針。欧州の前例を参考に、買い取り量の制限や価格を頻繁に見直すこと、導入が遅れる風力発電を優遇することなどが案として浮上している。

電力問題に詳しい東京財団の平沼光研究員は「電力を地域で融通できないのが問題。電力会社から送電部門を早期に分離して広域で運営する必要がある」と分析する。原発再稼働の遅れで地球温暖化ガスの削減が進まない日本にとって、再生エネの導入は不可欠だ。持続可能な制度づくりが必要になっている。』


太陽光発電を中心とする再生可能エネルギー事業は、現在の方式ではそう遠くない将来、矛盾が出て、大幅に見直される可能性があると考えていました。

今まで、複数の中小企業から、太陽光発電事業への新規参入や、太陽光発電事業者が販売する分譲型設備への投資などの相談を受けました。

私は、この分野で先行しているドイツでの太陽光発電事業の最新状況などを調べて、分析した結果をもとにこれらの相談へのアドバイスを行いました。

太陽光発電事業の大きな課題は、発電方式の不安定さ、低効率性、高コスト、高コストの負担方法にあります。

太陽光発電の最大の課題は、発電条件が天候や気象状況に大きく左右されることにあります。不安定な発電量を平準化させるには、大型蓄電池の使用が一つの解になります。

しかし、多くの太陽光発電事業者にとって、大型蓄電池の実装は大きな投資負担を伴います。

電力供給は、一般的に供給量と安定性が求められます。現在の日本では、電力供給がこれらの二つの条件を全く問題なくクリアーしていますので、安定性が崩れたときの問題を実感していません。

東南アジアでは、電力供給は不安定な国が多く、供給量だけでなく安定性についても課題があります。

電力供給の不安定性は、測定器などの電子電機機器を正常に使えないなどの問題を起こします。現在の国内の発電・送電の仕組みのままでは、大量の太陽光発電による電力供給が行われると、不安定性が高まるリスクは、理解できます。

その観点から、本日の記事にありますように、九州電力などが企業向けの再生可能エネルギーによる新規発電分の買い取りを見合わせることは、不安定性を避けるために合理的です。


太陽光発電の低効率性は、国内メーカーの不断な努力により年々改良されつつありますが、まだまだ解決には時間を要します。

太陽光パネルや太陽電池などの関連機器の技術開発も進んでおり、より高機能・高性能で低価格品が開発・実用化されつつあります。

一方で、太陽光発電事業者の中には、短期的に低コスト化を実現するため、中国などの海外メーカー品を採用することがあり、維持や保守に問題を抱える企業もあります。

そして、最大の課題は、買い取り価格を家庭や企業が払う電気料金にそのまま上乗せする仕組みです。

ドイツの場合は、記事にありますように、家庭や企業の負担が上限に達したため、買い取り価格に制限を設ける仕組みを取り入れました。

政府が太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー事業に、高い買い取り価格を設定したのは、普及を促進・加速させることにあります。

太陽光発電事業は、この買い取り制度により、多くの企業が参入した結果、当初目的は達成しました。

政府が、太陽光発電事業の仕組みを見直すことは、予想されましたし、合理的なことです。

太陽光発電事業に対しては、買い取り価格の低減化を進めて、より厳しい競争状態を作ることが必要です。競争は、技術開発のスピードアップと、高効率化を促進させる効果があります。

競争に負けた事業者は、太陽光発電事業の土俵から去ることになります。

同時に、政府には、発電、送電、売電の徹底した事業分離と競争原理導入を期待します。技術革新と制度の大幅緩和で、太陽光発電事業者が切磋琢磨して合理的な競争を行うことで、よりよいサービスメニューが提供されることになります。


さらに、現在の再生可能エネルギー事業は、太陽光発電事業に偏り過ぎているので、風力発電などより安定して発電できる事業分野への参入を促進させるやり方が必要になります。

風力発電装置を開発・実用化するには、素材や部品レベルまでさかのぼる必要があります。その他関連領域も幅が広いので、この事業分野の確立は、日本にとって得意分野を活用した新規事業の立ち上げが期待できます。

必要な開発・実用化作業に対する助成金の強化も含めて、政府には、風力発電の本格普及に向けた取り組みを期待します。

当面、政府が近々に打ち出す新規政策の内容に注目していきます。
これから、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー事業への新規参入や投資を考えている中小企業は、しばらく様子見をするやり方も合理的です。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 


 

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