高杉良「不撓不屈」(新潮文庫2006) - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

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高杉良「不撓不屈」(新潮文庫2006)

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雑感 書評
今日は、税理士にどうしても読んでもらいたい本を紹介します。

高杉良「不撓不屈(上・下)」(新潮文庫2006)です。

本書は、2002年に新潮社から出版された同名の本に、
文庫版に当たって、加筆されたものである。

国士舘大学で私の講義をとっている学生にとっては、
夏休みのレポート課題に指定されている本です。

滝田栄主演で映画化され、2006年6月に公開されましたので、
映画でご覧になられた方も多いのではないでしょうか。
私は、映画を公開直後に妻と地元の映画館で見ました。
ご年配の方が多く、同業者?も多かったように思います。

本書は、飯塚毅税理士の国税庁との苦闘を題材にしています。
昭和38年の調査から足掛け8年もの長期間争われたいわゆる飯塚事件を
ドキュメンタリータッチで描き出した力作です。
映画もドキュメンタリー映画のような雰囲気もありましたが、
家族愛をテーマにした名作です。是非DVD等で見て頂きたい。
ちなみに、映画にはほんのワンシーンですが、
友人が調査官役でセリフ付きで出演しております。

飯塚先生がTKCの創設者であることから、反TKCの先生方には
飯塚事件が税理士業界にもたらした功績さえ無視されているような気がしますが、
(ちなみに私はMJS派です)
飯塚事件が昭和40年の税理士法改悪を阻止したと言ってもいいのではないでしょうか。
飯塚事件がなければ、税理士法1条に独立した中立の立場としての
税理士の専門家の地位を勝ち得なかったのかもしれません。
その意味では、税理士業界にとって、
飯塚事件を風化させることは許されないと思います。

今は時代が違うといわれれば、その通りでしょう。
税務署も当時のような「国家権力ありき」の
税務調査が許されないことは百も承知です。
ただ、近年の税務訴訟における納税者勝訴判決の急増を考えると、
税理士補佐人による貢献だけとは考えにくいんですね。
税理士法改正前に2%程度であった勝訴率が現在では20%強ですからね。
それだけ税務署によるちょっと無理な課税が増えているような気がしています。

税務調査について、近いうちに私の考えを書き込む予定ですが、
無理な処分が増えているこの時代だからこそ、
飯塚事件を忘れないで頂きたいのです。
また、納税者の皆様にも、
税理士に、これだけの男がいたことを知ってもらいたいのです。

飯塚先生の、「事実をして真理を悟らしめよ」、
「一円の取りすぎた税金もなく、一円の取り足らざる税金無からしむべし」、
との指導理念は、私の指導理念とさせて頂いております。

「理論武装は納税者のために!」という私の事務所の経営理念は、
納税者のために最善を尽くすのが専門家としての税理士の役割であるとの
思いから来るのですが、税理士までもが税務署の方を向いて仕事をしていたら、
納税者は誰を頼ればいいのか、との強い思いを、
亡き父から託されているように感じているからに他なりません。

本書上巻の30ページに、飯塚事件の端緒時における
飯塚先生の決意として、このような文章があります。

「弁護士の今日の権威は、先輩たちの血と涙の半世紀の闘いのすえに、
勝ち取ったものです。弁護士もかつては検事正に隷属して、その監督下に
服していました。検事と対等な立場で正義の実現に邁進すべき弁護士が、
身分的に検事に隷属していて、どうして真の正義を実現し得ますか。
同じことが税理士にも言えるんです。今日、有史以来の重税の中で、
課税関係における公平と正義を実現しなければならないときに、
税理士が身分的に税務当局に隷属していて、どうして真の公平と正義とを
実現し得ましょうか。誰かが、税理士の実質的独立性の確保のために、
当局の圧力を一身に受けて、闘わなければならないのです。わたくしは、
その使命を帯びている。当局と闘う立場に立たされたと覚悟しております。」

このような高邁な精神と自己に厳しい強い心があってはじめて、
税理士業のあるべき姿が体現されてのである。

また、下巻296ページに飯塚先生がなくなった直後に書かれた
産経新聞のコラムが引用されている。

「脱税を許さぬ税理士だった。納税者に一円でも不必要な税を納めさせる
ことも、よしとはしなかった。税法に基づいた徹底した租税主義。
ところが、41年前国税庁に「脱税指導者」の汚名を着せられた。
 昭和38年、当時の税法のぎりぎりまで得意先企業に指導した節税策を
「脱税」とされ、得意先約400社が徹底的な税務調査を受けてしまった。
自らの会計事務所の職員4人が法人税法違反(脱税)などに問われ
宇都宮地検に逮捕、起訴された。
 しかし、4人全員が昭和45年の宇都宮地裁判決で「無罪」を勝ち取る。
税務行政史上に残る「飯塚事件」である。(略)
 目指したのは、「独立した公正な立場」に立った租税の実現。
そのことを通じた中小企業の健全な発展だった。(略)
 大乗仏教の経論に登場する「自利利他」を「自利とは利他をいう」と
紹介し、「社会のために精進努力の生活に徹することが、自利すなわち
本当の喜びであり幸福なのだ」と説いた。
 14日の葬儀式で、ドイツで会計事務所支援ネットワークをつくり、
親交を深めたダテフ社名誉会長のハインツ・セビガー博士は
飯塚氏の生涯を「正義を求める不屈の闘いでした」とたたえた。」

飯塚先生のような強い人間ではありませんが、
少しでも近づけるよう、頑張りたいですね。

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