倫理や業法上、FP単独の資格のみで遺言書の作成をすることは出来ませんが、行政書士や弁護士などとの協力があれば携わることができます。
何よりもFPとしての役割は、お客様に遺言書作成のメリットを知ってもらうこと。
もちろん、すべての人に遺言書が必要なわけではありません。
遺言書があった方が良いケース、なくても良いケースがありますが、「遺言書はお金持ちが作成すること」と思っている人もまだまだ多くいます。
遺言書を作成する利点のひとつは、遺産分割をしなくてよいことです。
もちろんこれがデメリットになることもあります。何も考えずにただ渡したい人にあげるというのでは、争いになってしまうことだってあるのですから。
遺言書がない場合には、相続人全員で遺産分割を行わなければなりませんが、これがまた大変なのです。
みんな、欲しいものは欲しい、いらないものはいらないのですから、欲しいものが集中してしまったり、いらないものを押し付けあったりすることもあります。
それが現金のように分けられるものならよいのですが、不動産や動産など分割することが難しい(すべきではない)ものの場合は大変です。
また、「相続人全員で」ですから、被相続人(死亡した人)の出生時から死亡時までの連続した戸籍謄本で相続人を確定したり、連絡が取れない人を探して連絡を取ったり、認知症などで遺産分割できない人がいるなら後見人や特別代理人を家庭裁判所に選任申立てをしたり、スムーズにいかないこともあります。
また、遺言書を作成するにしても、自筆証書遺言(本人が直筆で作成)にするのか、公正証書遺言(公証役場で作成)にするのかによって、相続手続きの流れも違います。
アドバイスする側としては、お客様に遺言書の必要性を気付かせるだけの知識があることが必要です。
「あなたはこういう理由があるから、だから必要なんだ」という具体的な理由が伝えられなければならないのです。
一般的には・・・なんて言われても、お客様は自分ごとと捉えませんから。
そして、遺言書の必要性が分かってもらえたら、次のどうするのか。
自筆証書遺言にするのか、公正証書遺言にするのか。
これもそれぞれメリット・デメリットがありますので、それも伝えられなければなりません。
最終的にどうするのかを決めるのはお客様ですが、選択出来るような判断材料を提示してあげることもFPとしての仕事であり役割です。
FPの分野で相続も学びますが、残念ながら資格テキスト上では、実務に直結するような内容は学びませんから、相続が不得意な人もいます。
しかし、お客様の相談窓口としては、FPが適任です。
ただし、それには多くの分野の幅広い知識が必要になってきますので、ある程度、得意分野に特化することは必要です。
FP単独で出来ることはそうありませんが、FPだからこそできることもあります。
今日の講座をスキルアップの一環にしていただけたら・・・と思います。
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