- 中村 英俊
- 株式会社第一広報パートナーズ 代表取締役 広報コンサルタント
- 東京都
- 広報コンサルタント
対象:広報・PR・IR
- 中村 英俊
- (広報コンサルタント)
- 中村 英俊
- (広報コンサルタント)
東証では以前から発表タイミングを早めたり、重ならないように配慮するよう企業に求めていますが、依然として分散化はあまり進んでいないようです。集中日に発表する理由はわからなくもありません。「寄らば大樹の陰」というわけでもないでしょうが、特に業績が芳しくない場合、集中日に発表しておけばマスコミや投資家からの注目度を相対的に下げることができるためです。
朝日新聞の「金融情報」面に「第一線で活躍している経済人などの社外執筆者による「経済気象台」という匿名コラムがありますが8月19日の紙面に「決算説明会は午前に」という記事があり、興味深く読みました。この記事によると「四半期ごとの決算発表は午後3時以降。そんな企業が日本では8割を占める。続いて開かれるアナリストや投資家を集めた決算説明会は、午後もかなり遅くなるのが普通だ」と述べています。
この記事で特に注目したいのは、ニューヨーク大学教授らによる決算説明会の開催時間に関する研究結果です。これによると「決算説明会の場の雰囲気は、意外にも開催時間に左右される。(中略)1日の遅い時間に始める決算説明会は、早い時間に始まるものに比べて、いらだたしく論争的で、ネガティブな雰囲気になり、株価にも影響する」のだそうです。調査結果を踏まえて「株主や株価に及ぼす効果を考慮するなら朝こそ最も『美しい時間』である」とも述べています。
ところで、決算発表が近くなると、日本経済新聞による業績予想の記事がよく掲載されますが、ブルームバーグの8月7日の*記事によると「日経平均株価採用の225社について調べたところ、国内経済紙の日本経済新聞が営業利益を中心に業績観測記事を報じたのが45社。このうち、82%に当たる37社で示された数値・レンジが正しいか、あるいは会社側公表の実績値に対する乖離(かいり)が10%以内に収まっている」のだそうです。
記者と企業の間でどのようなやり取りがあるのかは当事者にしかわかりませんが、個人的な印象では、予想確度はもっと高いと思っていました。なぜなら業績予想の記事は、証券部の記者が決算発表の時期を見越して、担当企業の財務担当役員や経理部長への取材を申し込み、取材を受けた企業によって暗に示された数字をヒントに予想することが多いはずだからです。
取材を受けた時点で数字が固まっていないとしても、取材を受けた以上、ミスリードするような数字は答えるはずがありません。ブルームバーグの記事によると「業績予想記事が常に正しい数値とは限らない」としてかい離があったケースを紹介していますが、「感覚的に20回のうち1回程度しか外れていない」というファンドマネージャーのコメントが実態に即しているように感じます。
「朝こそ最も『美しい時間』」というのはうなずける面もありますが、意図されずに業績予想記事が日経に出てしまうと広報担当者にとって憂鬱な時間になってしまうことでしょう。
「日本株の風物詩、日経業績予想記事に飛び付く-正解率を信頼」http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N9VXFY6JTSFU01.html
橋本拓志広報コンサルタントTwitter ID:@yhkHashimoto
https://twitter.com/yhkHashimoto
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